【Steam】深夜1時の交換手 感想

深夜1時の交換手 Steam
タイトル 深夜1時の交換手
プレイした機種 PC Steam
メーカー ツノウサギの家/House of the Jackalope
満足度 S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。)
要点
  • ゲームならではの推理体験が秀逸で没入感が高い
  • 電話、過去といったテーマに沿った切ないシナリオ
  • 没入し切れないと作業感高め
執筆日 2025年1月16日

 

 

はじめに

深夜1時の交換手

Steamにてクリアまでプレイ。

小規模サークル『ツノウサギの家』開発のアドベンチャーゲーム。

作中世界では”深夜1時に『001』に電話をかけると『深夜1時の交換手』に繋がり、過去に電話を繋いでくれる”という都市伝説が流行っている。

主人公のアサヒもある後悔と願いのもと、この都市伝説を試すと本当に『深夜1時の交換手』を名乗る女性に繋がってしまい……というのがあらすじ。

プレイヤーは主人公アサヒとなり、『深夜1時の交換手』を通して様々な番号に電話をかけ、シナリオを進めていく。

 

基本システム

  • 作中スマートフォンに『001』~『099』の番号をプレイヤーが自由に入力し、電話をかけていく。
    • 電話をかけた相手は様々な悩みや後悔、それに関連する事件などを抱えている。
    • 必要に応じて過去に電話を繋げ、悩みや後悔、事件を解決していくことでシナリオが進行し、やがて主人公の抱える問題が明らかになっていく。
    • 時には主人公の方に電話がかかってくることも。
  • 次にかけるべき番号などヒントを教えてくれる人も存在するため、一通り電話をかけていけば進行に詰まることは無い。
    • 番号と電話の内容は逐次ゲーム内メモに記録されていく。

 

その他

  • 一部メディア等では本作をホラーアドベンチャーとも紹介しているが、ホラー苦手な筆者から見てもホラーではないと感じた。
    • 都市伝説というテーマや軽度な流血表現、自殺に関係するエピソード等が含まれているという程度。
    • むしろ推理アドベンチャーのほうが表現的には近いか。
  • 一部のセリフのみボイスあり。
  • クリアまでややのんびり進めて5時間程度。

 

良かった点

電話をテーマとした、ゲームならではの推理形式による高い没入度。

  • 作中スマートフォンで実際に番号を入力し、通話の内容がメモされ、得た情報から別の番号にかけ、最終的に過去を改変して事件を解決していく。
    • 実際に番号を入力させることにより、プレイヤーを世界観に没入させられるシステムとなっており、ゲームならではの表現として秀逸と感じた。
    • 番号によっては『現在使われておりません』等の定型メッセージがボイス付きで流れる。小さなことではあるが、こういった表現の積み重ねが丁寧にされている。
    • 1つの番号だけではわからなかったことが、別の番号にかけた先で『あれはこのことか!』と繋がった時の快感が気持ちいい。
    • ゲームならではの推理進行に秀でた作品として『未解決事件は終わらせないといけないから』にプレイフィールは近い。『過去の事件を探る』という点でも近い作風と言えるだろう。
  • 通話の内容によっては常に画面上に表示されている『深夜1時の交換手』なる女性がちょっとした反応を示す。
    • セリフなどがあるわけではなく、動くイラストを活用してちょっと表情が変わる等小さなものだが、これにより『今のは何の反応だったんだろう』『本筋に関連してるのか』とプレイヤーに疑問を投げかけ、より没入感を向上させている。
    • 映像とプレイヤーの体験がリンクするゲームでこそ活かせる表現方法と言える。
  • BGMもよく合っており、雰囲気の向上に寄与している。

 

電話で進行していくゲーム性に合わせた切ないシナリオ。

  • シナリオは”主人公の事情”を主軸とし、そこに電話をかけた相手が抱える問題が小エピソードとして枝のように連なる形となっている。
    • 1つ1つのエピソードから主軸の話へ少しづつ繋がっていく流れと、上記した高い没入度がマッチし、シナリオに惹き込まれる。
    • 電話口での応対のため、登場人物は『深夜1時の交換手』を除いて見た目のグラフィックが一切用意されていないが、それでもプレイヤーの中で作中世界のイメージが構築できてしまうレベル。
  • ネタバレになるのでこれ以上言えないが、切ないシナリオで心にグッとくること請け合い。

 

不満点

番号の数が多く、作業感を感じることも。

  • 作中の電話で使用できる番号の数は200近くに上る。
    • 番号の入力作業により没入度を高めている反面、没入し切れないと作業感が非常に強い。
    • こういった演出的なゲーム性に没入できる人かどうかで印象が180度変わりそうな点だ。
  • ゲーム内メモに番号ごとの内容が記録されるが、メモ画面と電話画面の行き来にホーム画面を経由するため操作がやや面倒。
    • メモと電話間を直接アクセスできる形にしてほしかったが、ホーム画面があることでスマートフォン感を表現しているとも言えるため何とももどかしい。
    • 『システムによる没入感と作業感が隣り合わせ』という点でも『未解決事件は終わらせないといけないから』に近い。

 

オートセーブかつバックログが無い。

  • 進行度は常にオートセーブされ、データを分けたり戻ったりはできない。
    • 設定から丸ごとデータリセットできるのみ。
  • 通話の内容もゲーム内メモに自動で記録されるが、シナリオの進行に応じて内容が書き換えられ、前の状態には戻せない。
    • バックログも無いため、その時点でメモに残っておらず、かつ電話をかけ直しても喋ってくれない情報をもう一度確認することが出来ない。
    • 稀なケースなので大きな問題ではない。

 

まとめ

電話にまつわる都市伝説を通して過去を解き明かし、やがて自分自身の過去にも向き合っていくシナリオを丁寧に描き切った力作。それにゲーム性がしっかりとリンクし、圧倒的没入感で作中世界を堪能できる。

演出性を重視したゲームシステムに多少の向き不向きはあると思われるものの、補って余りある没入度を誇り、一気にプレイし尽くしてしまえる魅力がある。

軽度とはいえ流血表現やイジメに関連したエピソードがあるため、そういったものに抵抗感が無い人には是非ともオススメしたい作品だ。安価で手に取りやすいのもポイント。

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