タイトル | 制服カノジョ2 |
プレイした機種 | Windows PCソフト |
メーカー | エンターグラム |
満足度 | B(やや満足。条件付きでお勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2025年2月10日 |
制服カノジョ シリーズ作品の感想はコチラ |
制服カノジョ(1作目) |
制服カノジョ まよいごエンゲージ(スピンオフ) |
はじめに
Windows版でエクストラの項目をすべてコンプまでプレイ。
エンターグラムより展開中の『制服カノジョ』シリーズ最新作。『制服カノジョ(以下、前作)』で各ヒロインと付き合った後の物語を描くほか、前作ではサブキャラクターだった『桃尻芹香』が4人目のヒロインとして昇格実装されている。
シナリオ
- 前作からヒロイン続投の3人に関しては完全に前作からの続きというわけではなく、一部設定に若干の手が加えられている。
- シナリオ最序盤で『誰と付き合っているか』を選択肢で決定する。
- 基本的な流れは前作と同様で、学校での生活や制服モデルグループ『制服カノジョ』として活動しながら、ヒロインとの関係性を深めていく。
- 本作からヒロインに昇格した『桃尻芹香』のみ、ゲーム開始時から付き合っておらず、本作のシナリオを通して付き合うことになる過程が描かれる。
基本システム
オーソドックスなテキストアドベンチャー形式で進行。
- 本作からの新システムとして、『いちゃらぶ成長システム』が追加されている。
- シナリオ中、頻繁に『いちゃらぶタイム』が発生。『アイテム』と『タッチ』をそれぞれ3つの候補から決定、選択した内容によって『ラブラブ度』『いちゃいちゃメーター』『フォロワー数』の3つのパラメータが変化し、エンディングが分岐する。
- アイテムとタッチの選択ではなく、デートプランの選択になるパターンも存在する。
- それ以外に、『コンスタグラム』『LIME』も前作から続投。
- 『コンスタグラム』はシナリオの進行に応じて各ヒロインたちが投稿を行う。
- イイネで反応するとフォロワー数が増える。
- 本作ではどちらかと言うと選ばなかったヒロインたちの『一方そのころ』的な使われ方になっている。
- また一部シーンではカメラ撮影が可能で、撮影すると自動的にコンスタグラムに投稿される。ちょっとエッッッなアングルで撮っても文句の1つも言わずに投稿してくれる。
- LIMEでは大きなデートイベントの際に、行き先を選択できる。
- あくまで選択肢イベントの表現の一環程度のものではあるが、前作同様に行き先によってデートの内容が大きく変化する。
- コンスタやLIMEの演出は前作から続投としたものの、『まよいごエンゲージ』ではオミットされていたため、3作順番通りに遊んでいると復活した要素とも言える。
その他
- 各キャラクター毎にフォロワー数を一定数稼ぐことでちょっとしたオマケシナリオが見られる。
- 前作同様、舞台となる福岡に実在する観光スポットやゲストVTuberが多く登場する他、本作ではシナリオ次第で福岡以外の九州地方や沖縄にも赴くことになる。
- 2から始めた人用に、前作の簡単なダイジェストを見る機能も搭載されている。
良かった点
前作や『まよいご』と比較して、(ルートによるし力技ではあるものの)シナリオが改善された。
シナリオに関してかなり低い評価をした前2作と比較して、本作のシナリオはルートにもよるが大きくマシになっている。
- 本作では桃尻芹香を除いてシナリオ開始時からすでに付き合っているという設定によるところが大きい。
- これにより本作単体で見た場合、かなり力技ではあるが前作の欠点であった”仲良くなる・付き合うまでの描写の薄さ”をかなり誤魔化せている。
- もちろん前作からの続きとして考えれば誤魔化しきれてはいないのだが、前作の中身が無さ過ぎたのが良い方向に作用して、都合よく記憶を消して楽しむことが出来る。
- ひまりルートと芹香ルートは普通に楽しめる内容になっている。
- あくまで本作のコンセプトと思われる”イチャイチャ重視で重くならないように”という範囲の中でではあるが、ドラマ性があり恋愛を通して成長していく過程が描けている。
- ひまりルートは『まよいご』要素も組み込まれており、この点もシリーズを追ってきた人なら楽しめるだろう。
- 芹香ルートは上記した『最初から付き合っていることによる誤魔化し』も無く、前作で消化不良だった主人公のトラウマもしっかりと内容に組み込み、芹香と各キャラの関係性の変化等まで描き切っている。
- 後述する問題点の多くもこの2つのルートではあまり気にならなかった。
- 『まよいご』に見られた意味不明な展開や不快な要素は無くなっている。
ゲーム性が強化され、シナリオも含めてボリュームに対して適正な内容になっている。
- いちゃらぶ成長システムはシンプルながら飽きずにゲームを進められる原動力として適度に機能している。
- 説明不足による解りにくさは少々感じられるものの、分岐やプレイ指針の目安としても機能している。
- 関連して、動くイラスト演出や、お触りシーンである『スキンシップタイム』も数が増えた。
- 上記したシナリオも含めて、全体的な『中身』がボリュームに対して適正になっている。
- 前作はボリュームに対して中身が無さ過ぎた。
相変わらず充実したオプション周り。
- 各種設定項目は圧倒的な充実具合。
- 弄れないところは無いレベルであらゆる項目を調整できる。操作性で不満を感じることはないだろう。
不満点
前2作から改善されたとはいえ、まだまだ問題のあるシナリオ・テキスト。
前2作と比較して、特にひまりと芹香のシナリオは楽しめる内容になったものの、まだまだシナリオやテキストが抱える問題は多い。
- ゆいと実桜のシナリオは前作同様中身がほとんどない。
- 特に実桜のシナリオは新キャラとして実桜の妹が登場するのだが、妹が実桜とすこしキャラ被りしている上、途中で妹にフォーカスを当てた展開になるため、肝心の実桜の内容がかなり薄くなっている。
- やはり『制服カノジョ』は空気気味。
- 前作よりはマシになったが、制服カノジョとして活動するシーンも本筋に影響のない取ってつけたようなものが多く、舞台装置以上の存在意義を確立できていない。
- 大げさに言えば、『制服カノジョ』という設定を別の設定に挿げ替えても成立してしまう話になってしまっている。
- 相変わらずシーンの継ぎ目がぶつ切り。
- ぶつ切りなだけならまだしも、シーン切り替え時に派手めな演出が入るせいで没入度がリセットされるような感覚がある。
- 特にゆいと実桜のシナリオで顕著。
- ”イチャイチャ重視で重くならないように”というコンセプトが悪い方向に作用してか、広げられそうなネタがあっても何の展開も無く終わって次のシーンへ、という場面が非常に多い。
- これもゆいと実桜のシナリオで顕著。
- 併せて、『〇〇なのだった。』で締めるシーンが多すぎる。ナガノか。
- 締めに関連して、コメディシーンで書かなくてもいいようなオチまで書いて笑いのテンポを損ねてしまっているシーンも多く見られる。
- 背景や心情の描写がポンと事実を書くだけになっている。
- この影響で、前2作同様にセリフのやり取りが冗長に感じられる。
- テキストベースのゲームとしてはやはり質が低いと言わざるを得ない。
- 一部矛盾が気になる。
- ルートによっては主人公と同じクラスのハズのゆいが修学旅行に行った写真をコンスタグラムに載せるが、主人公は修学旅行に行っていない。(もしかしたら語られていないだけで行っているのかもしれないが、少なくともプレイヤーには行っていないように見える)
その他不満点
- いちゃらぶ成長システムの説明が不足しすぎており、理解するまでプレイ感が悪い。
- チュートリアルがイマイチ説明になっていない。
- また、いちゃいちゃメーターの演出とヒロインの反応がスキップ出来ないため、分岐回収のために周回する際はかなりのストレスになる。
- エンディングリストが無い。
- 30種を超えるエンディングを回収し切れたかどうか確認する術はない。
- イラストのクオリティが不安定。
- 以前から不安定ではあったが、本作も顕著に見られる。
- もっとも、前作の発売が2024年2月22日、『まよいごエンゲージ』が同年9月26日、そして本作が2025年1月23日と1年も経たないうちに立て続けのリリースとなっているため仕方がない面はある。
- イラストに関連して、前作の魅力だった『フェチ強めのエッッさ』は全体的にかなり弱体化している。
- ボリュームに対して適正な中身にはなったが、値段に対してはかなりボリューム不足。
- フルプライスのテキストアドベンチャーとしてシナリオはかなり短い。
- 『ヒロイン続投』『最初から付き合っている』等の要素もあって、続編というよりはファンディスクのような触り心地。
- そもそものフルプライスもだが、限定版などかなり強気の価格となっている。
まとめ
当ブログとしては評価が低いシリーズの最新作だが、まだまだ問題点も多いものの、前2作から明確に進歩が感じられ最低限楽しくプレイできるようになった。筆者はゆい→実桜→ひまり→芹香とプレイし、最初の2人で『今回も同じか……。』と落胆したが、そこからひまりと芹香のルートで評価をひっくり返した。
とは言っても、もちろん『めちゃめちゃ面白い』というわけではなく、あくまで『イチャイチャ重視の等身大の恋愛アドベンチャー』として普通に読めるという程度のものであり、フルプライスという値段にはまだまだ見合わない。
テキスト自体の質の悪さや、『制服カノジョ』という一番重要な要素を活かしきれていない等決して褒められたものではないのだが、少なくとも前2作よりは明確によくなっており、本作単体で考えれば一般的なイチャラブ美少女ゲームとしてそれなりの水準には達しているように感じられる。そこは素直に評価すべきだろう。
金額をあまり気にしない人、ゆい・実桜よりもひまり・芹香が気になるという人なら普通に楽しめるレベルには仕上がっているため、前2作を遊んだ人は本作も遊んでみてもいいかもしれない。また、今後セール等で安くなることがあればある程度はオススメできる。
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