タイトル | 就労!!わんわんヒューマン |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | samezakistudio |
満足度 | A(満足。たいていの場合お勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2025年3月22日 |
はじめに
Steamにてエンディングコンプまでプレイ。
samezakistudio開発の短編アドベンチャーゲーム。プレイヤーは人間、悪魔、天使が混在する混沌の街で矯正官となり、罪人を教育していく。
基本システム
- シナリオはテキストアドベンチャー形式。
- 各所に選択肢があり、それにより小分岐するほか様々な条件によってエンディングが分岐する。
- ゲームの流れは尋問パート→会話イベント→お仕事パート→尋問パートを繰り返すというもの。
- ゲームはチュートリアルなど例外を除き5日間で終了。
尋問パート
- 悪魔に誑かされた疑いのある罪人に尋問し、”教育”の必要があるかを判断する。
- 罪人は日ごとに固定。
- 尋問は罪人への質問によって進行していく。
- 1度の尋問につき質問は4回まで。すべての質問をすることはできない。
- 質問をすると新たな質問が出てくることも。
- 当然選んだ質問によって得られる解答が変わり、プレイヤーが得られる情報に差が出る。
- 4回の質問が終わると推理に進む。
- 容疑や事件の全貌を明らかにするための問いが投げかけられ、正解の選択肢を選ぶという形。
- 不正解でもゲームは進行するが、この後の”教育”が出来なくなる。
- 推理が終わると”教育”へ。
- ”教育”の必要があるかどうかを選択。
- 教育するを選択し、尚且つ推理で正解できていると教育が行われ、罪人は文字通り”犬”になる。
- 推理が外れていると罪人には逃げられる。
- 教育しない選択も可能。いずれのパターンでも異なる反応が楽しめる。
- 教育後はオマケ(ご褒美?)として罪人の記憶が見られるUSBメモリを入手できる。
会話イベント
- 尋問パートが終わると昼食を誰と(どこで)過ごすかの選択ができる。
- どの場所にどのキャラがいるかは表示される。
- 会話カードを選択して会話を楽しむ。
- 1度の会話イベントで選べる会話カードは2枚まで。
- 何度か会話しないと出現しないカードもある。
お仕事パート
- 昼食後は雑用。3種類のお仕事ミニゲームから1つを選択してプレイする。
- 嘘レビュー・売店レジ・ラジオ修理の3種類。
- 嘘レビューではレビュー文にプレイヤーが実際に文字を入力し、悪魔の店の評判を貶める。
- 文章は穴埋め式になっている。キーボードを使い、文字数制限内で好きな文章を制作できる。
- 売店レジは次々に客が訪れ注文をしてくるため、正しい商品のアイコンを選んでいく。
- 商品はアイコンが表示されているだけで商品名は初回の説明でしか確認できない。記憶力が試されるミニゲームとなっている。
- ラジオ修理は連打ゲー。連打しすぎると注意される。
- どのミニゲームもどんな結果になろうとシナリオの進行に支障はない。
その他
- エンディングリスト、罪人の資料確認、ワード確認、オマケ部屋あり。
- 無料でプレイ可能。
良かった点
個性的な登場人物を活かした尋問パート
- 登場人物は罪人も同僚も皆個性的でバリエーション豊か。
- 一癖も二癖もあるキャラクターたちの秘密を尋問で暴いていくというスタイルはありがちながらやはり楽しい。
- 『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』あたりが好きな人なら特に楽しめるだろう。
- そんな登場人物の個性を存分に活かした尋問パート。
- キャラクター毎のリアクションの違いが楽しい。
- 容疑の内容や会話から”どの質問が最も核心的なところを突けるか”予想しながら選択する奥深さもある。
- 奥深さはあるとは言っても選択肢の数は多くなく、後述するが周回も快適にできるため周回前提ならすべての選択肢を網羅するのは楽で、無料ゲームならではのお手軽感は損ねていない。
- 教育によって文字通り”犬になる”という独特な世界観が面白い。
- 取り返しがつかない感、悪いことをしたとはいえここまでする必要があるのか?という問いかけ、それを自分の選択1つで実行できる快感や葛藤を味わえる。
- 登場人物が個性的で魅力的だからこそ輝く表現だろう。
- 犬のデザインも元のキャラクターの個性が反映されたものになっており、ぶっ飛んだ設定でありながらもどこか愛嬌を感じさせる。
シナリオや会話イベントも興味を惹くものになっている
- 主に尋問パートを通して展開されるシナリオは変化やハプニングを織り交ぜて興味を惹き続ける構成になっている。
- オチはありがちではあるが、キャラクター性・テンポ・構成の良さから素直に楽しめる。
- 同僚のベルシーを交えてのコント的なやり取りのおかげで全体的に軽い読み口になっており、ゲームのテキストとしてスッと頭に入ってきやすい。
- 上記コント的な会話込みで、ベルシーに愛着がわきやすい構成になっている。
- 若干の難点有り。詳細は不満点の項で。
- 間に挿入される会話イベントもキャラクター性が良いおかげで積極的にすべての会話を見たくなる。
- この会話イベントは世界観の補完的な側面も持っている。変に本編内で長々と語らせず、会話イベントに散りばめる形にしているのがGood。
その他良かった点
- 全体的にテンポが良い。
- 尋問パートも会話イベントも回数制限があるおかげで1周当たりのテキスト量が制限されており、長くなりすぎずサクサク進む。
- 高速テキスト送り想定の2周目以降はさらにサクサク。分岐回収はかなり快適に行える。
- 短編ながらボリュームも十分。
- エンディングは16種類。尋問や会話の細かい差分も含めたボリュームはなかなかで、無料という点を考慮すれば十分すぎるボリューム。
- 上記した通りサクサク回収でき、尚且つ内容も興味を惹くものになっているためボリュームに対して中身が無いということも無く、最後までプレイフィールを損なわない。
- 1部ではあるが、エンディングリストから分岐条件を推測できるのも面白い。
不満点
ミニゲームが若干面倒
- 3種類のミニゲームパートは若干面倒さが勝る。
- ミニゲームの出来自体が悪いわけではない(むしろ嘘レビューあたりは単体で見ればそれなりに面白い)が、尋問パートともシナリオとも面白さがリンクしていない独立したものになってしまっている。
- 一応嘘レビューを筆頭に適当にプレイしても進むようにはできているため大きな問題ではないが、尋問と尋問のインターバル的に毎回挿入されるためどうしても印象が悪い。
- 適当に流すこと前提でも売店レジとラジオ修理は拘束時間がやや長く、せっかくのテンポの良さを損ねてしまっている。
- 一般的なこのジャンルのゲームによくあるような捜査パートのようなものにした方が面白さのリンク性があって良かったと思うが、無料のゲームにそこまで求めるのは酷か。
流石にやや人を選ぶ
- 独特すぎる世界観、絵柄、罪人を犬にするという展開などさすがに万人にオススメできる内容ではないように感じる。
- 無料の小規模製作ゲームならではというところか。
- 筆者自身は大変満足した。
その他不満点
- 尋問パートに関して、選択した質問の内容によっては事件の全貌が全く分からないまま推理→犬化の選択へと進んでしまい少々モヤっとする。
- 勘で答えることになってしまうのは推理要素として少々不親切。
- シナリオに関して、「大きな物語が完結した」感が無いため、フワッとした読後感になる。
- どのエンディングでも「これで終わり?」感が漂う。
- この点が災いして、天使長と大魔王にイマイチ良い印象が残らない。
- バグや設定ミスがかなり多い。
- プレイに支障が出るレベルのものではなく、無料なので我慢できる範囲。
まとめ
独特な世界観と個性的なキャラクターが魅力的で、その魅力をしっかりと活かした尋問パートが楽しい、無料のレベルをはるかに超えたゲーム。
シナリオの構成、テンポ、キャラクター性が良くサクッとプレイでき、中身が伴ったボリュームで満足度は高い。
さすがに万人にオススメできる内容ではないが、ストアページを見てピンと来た人は間違いなく楽しめるだろう。
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