タイトル | プラモギア |
プレイした機種 | PC フリーゲーム |
メーカー | もたもたBOX(ごみしき) |
満足度 | S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2024年6月13日 |
はじめに
クリアまで+一部を除いた敵にSランク勝利までプレイ。
もたもたBOX(ごみしき)さん製作のフリーゲームで、各種フリーゲーム配布サイトで無料配布中。RPGツクールMVで制作されている。
架空のバトルホビー『プラモギア』が大ヒットしている世界観で、ゲームとしてはオーソドックスなRPGシステムが採用されている。
- 使用するプラモギアは各キャラ固定。メインウエポン、サブウエポン、2つのオプションパーツはそれぞれ自由に変更可能で、好みの性能にカスタマイズすることができる。
- 装備したパーツによって使用できる技が変化する。
- 仲間キャラのメインウエポンは変更できない。サブウエポンは特定のイベント後に変更できるようになる。
- パーツの獲得方法はプラモギア屋での購入とパーツガチャでのランダム入手がメイン。
- バトルは3VS3のチーム戦。先に相手の機体を3”回”撃破したほうが勝ちというルールになっている。
- 戦闘不能になったプラモギアはターン終了時にHP全快で自動的に復活する。このため、数の暴力的にジリ貧になるような展開にはならない。
- 中には大型プラモギアという扱いで、1体撃破した時点で勝利になる機体を使用するキャラもいる。
- バトルのベースはターン制コマンドバトル。
- レベル制が廃されており、基本的にはパーツの変更によって性能を変化させて戦っていくことになる。
- レベルによるゴリ押しが効かない、という点でやや難易度は高め。
ストーリーとしては、念願の初プラモギアを手に入れた主人公が、町のガキ大将的なキャラクターに因縁をつけられプラモギアを奪われてしまい、取り返すべく奮闘するというもの。
- 平成バトルホビーアニメの王道を行く展開。全体的な演出やセリフ回しもバトルホビーアニメを意識している。
- 登場するキャラクターもメガネでオタク気質なプラモギアに詳しい友人、クラスのアイドル的な女の子、メガネデコ出し委員長、プラモショップのお姉さん、ガキ大将とその取り巻き、プラモギアを破壊することに喜びを感じる男など、平成バトルホビーのテンプレ的な属性が揃えられている。
良かった点
プラモギアを中心とした世界観の表現が素晴らしい。平成バトルホビーアニメの雰囲気が完全に再現されている。
- オープニングとしてプラモギアの紹介を行い、そのまま間髪入れずに主人公が初めてのプラモギアを入手する序盤の流れは使い古された手法ではあるが、やはり入り込みやすい。
- プラモギア、人間キャラどちらのデザインも可愛らしく、それでいてどんなキャラか(どんな性能か)が見た目で直感的に分かるデザインになっており、親しみやすい。
- 敵の使うプラモギアもどことなくイメージに合ったものになっている。
- プラモギアのデザインは藤岡建機氏の頭身低めメカ(メダロット等)の影響をかなり受けていそうで、近未来的でシャープなカッコよさと丸みのある可愛らしさが共存したデザインになっている。
- 各仲間キャラは戦闘を繰り返すと絆レベルが上がり、それに伴いちょっとした会話イベントが楽しめる。
- 仲間の組み合わせによっても会話が発生するなど、キャラの魅せ方に力を入れている。
- 無料のフリーゲームながらエンディングにはボーカル曲が用意されており、アニメのエンディングのような雰囲気を楽しめる。
バトル周りについても基本的には良好。バトルホビー物らしいカスタマイズ性に溢れたバトルを楽しめる。
- 仲間キャラはメインウエポンを換装できないためそれぞれの基本の役割に沿って戦うことになる。
- 良い点でもあり悪い点でもあるが、筆者的にはキャラごとの個性になっていて良いと感じた。
- 仲間は攻撃タイプ、防御タイプ、サポートタイプとバランスよく揃っている。主人公固定の3人パーティなのでどの2人を連れていくかでパーティのバランスが変化する。
- 主人公の機体は基本的に性能が低く、カスタマイズで特徴を付けて役割を持たせることになる。
- これも良い点でもあり悪い点でもあるだろう。カスタマイズ好きのプレイヤーなら前向きに受け止められる範囲だと思われる。
- 装備品の種類は各種揃っており、近接特化、射撃特化、防御特化、追撃特化、反撃特化、回避特化、反属性特化(炎と氷。凍った敵に炎攻撃を当てると大ダメージ)など様々なカスタマイズが楽しめる。
- 連れていく仲間のプラモギアの性能に合わせて主人公の機体の役割を決めると良いだろう。
- 敵も同様に、様々な能力を持ったプラモギアを使用してくるため、敵との相性も重要になる。
- 自分より遅い敵の行動を封じる防衛能力を持つ機体が自分より早い機体に対して無力というような、三すくみに近い要素もある。
- 難易度は高めではあるが、勝つだけならしっかりカスタマイズしていれば詰まることはなく、楽しい難しさになっている。
- 勝利後に受けたダメージなどからランクが算出される。最高評価を目指すとかなり高難易度。
- よくある『敵を全滅させる』『敵リーダーを倒す』ではなく、『敵を3回倒す』にしたことにより、概要にもある通り一方的な展開になることが少なくチームバトルとしてうまく機能している。
- 倒しやすい柔らかい敵を集中攻撃して3回倒してもいいが、そうすると他の敵がノーマークになり必殺技ゲージを用いた強力な攻撃を連打されたりする。戦略性に大きく寄与している。
- ただしこれが問題点にもなっている。
全体的に、とにかくバトルホビー物・チームバトル物のゲームとして楽しませることに特化しており、丁寧に作られているように感じた。
不満点
全体的なボリューム不足。これは悪い意味ではなく、『魅力的で面白いからもっと遊びたい』という前向きな意味での不満である。
- カスタマイズも楽しみつつ進めてクリアまで3時間弱。
- そもそも無料なのでこれでも十分ではある。
- ただフリーゲームのRPGでもっと長い物ももちろんあり、やや物足りなくは感じる。
- ストーリーはバトルホビーアニメなら序盤くらいのところで終わってしまう。
- もちろん打ち切りのような形で終わるわけではなく、ショートゲームのシナリオとして綺麗にまとまっている。
- ホビーアニメの序盤として捉えればよくできているが、普通のシナリオ重視ゲームと比べればオマケレベルに感じてしまう可能性あり。
- キャラも世界観も非常に魅力的に描かれているため、もっと先を見てみたくなる。
- 使用できるプラモギアに関しても、主人公+仲間3人(+2)の6種類しか使えない。せっかく魅力的なデザインなので敵が使っている機体も使ってみたかった。
- カスタマイズパーツも通常のRPGとして見れば豊富ではあるが、この手のゲームとしてはまだまだ少ない。
- もちろんこの点に関しても、無料であることを考えれば十二分ではある。
バトル面の不満点として命中率が低すぎる点と、テンポの悪さが挙げられる。
- 3VS3のバトルで戦闘不能になった機体はHP全快で復活するルールにより常に6体のプラモギアが行動するため、1戦1戦に時間がかかる。
- 普通はバトルが進むにつれ生き残りの数が減って1ターン当たりの時間が短くなっていくが、本作にはそれが無い。
- 敵味方問わず攻撃がやたらと外れる。これもテンポの悪さに拍車をかけている。
- 命中率バフを付与しても外れる。
- ヒドイと1ターン丸々、敵も味方もすべてミスということもあり得る。
- ただ、長いゲームではないためそこまで大きな不満にはなっていない。
細かい不満
- バフ・デバフについてアイコンが表示されるだけで、戦闘中に効能を確認することができない。
- 攻撃DOWNならATK↓、命中率UPならターゲットサイトのマークというように一目で効果が判るものもあるが、状態異常やターン数など戦闘中に確認したくなるものも多い。
- マウス操作にて、行きたい場所をクリックするとその場所まで自動で歩いてくれるが、場所によっては壁に引っかかって止まってしまう。
- ツクール側の仕様のため仕方ない部分はある。
まとめ
平成バトルホビーアニメを現代のゲームとして見事に再現した力作。プラモギアやキャラクターのデザインは特に素晴らしく、先日投稿した星影の館殺人事件もそうだがこれが無料でプレイできることに恐ろしささえ覚える。
無料ゆえの至らなさはさすがにあるものの、ミニ四駆やベイブレード、ビーダマンなどのバトルホビーを題材にした漫画やアニメが好きだった人、あるいはポケモンやメダロット辺りが好きな人ならまず間違いなく楽しめるだろう。
有料でもいいから続きを遊びたいと願わずにはいられない、素晴らしいゲーム体験だった。
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