【iOS】キャットファンタジー 感想

キャットファンタジー タイトル画面 iOS
タイトル キャットファンタジー
プレイした機種 iOS iPhone13/iPad Pro/PC
メーカー FUNDOLL
満足度 C(満足できなかったが不満は小さい。)
要点
  • 膨大なプレイボリューム
  • BGM良好
  • あらゆる面で中途半端、『悪くはない』止まり
  • ボリュームがありすぎてサブゲー・放置ゲー適正低め
  • どう売り出したいのかも中途半端
執筆日 2024年9月23日

 

はじめに

キャットファンタジー タイトル画面

iOS版、PC版で実装済み分まで一通りプレイ。

中国『FUNDOLL』が開発したスマートフォン向けアプリゲームで、iOS・Androidの他PC版も同時リリースされている。

タイトルの通り、猫が擬人化した美少女キャラクターたちがフィーチャーされたタイトルで、プレイヤーは物語の舞台となる『新海市』の治安を守る新人調査官として、人の姿になれる猫『フェリニアン』たちと様々な事件に巻き込まれていくストーリーが展開される。

  • ゲームとしてはスタミナ有り、ガチャ有りの一般的なソシャゲ。
  • ガチャはキャラクターの入手のみで、昨今珍しく武器やサポートカードのようなもののガチャは無い。(別枠で『ガト』と呼ばれるネコ型サポートアイテムのガチャが存在するが、ガチャも使用するリソースも完全に別)
    • 同キャラのバージョン違いがサービス開始段階からこれでもかというくらいある。
    • レアリティはR・SR・SSR。育成することで下位レアリティのキャラも上位レアになるタイプ。初期レアリティとしては存在しないが、SSRの上の育成段階としてURも存在する。
    • 同キャラを重ねる、所謂凸も有り。最大6凸。
  • ストーリーはテキストアドベンチャー形式。フルボイスで、3Dモデルやイベントスチル、アニメーションなどによる演出が楽しめる。
    • オート、倍速オート、スキップ、バックログ有り。
    • ストーリーの合間合間にバトルパートが挿入される形式。
  • バトルはターン制+マージカードバトル。
    • パーティは4名。属性ありで、赤→緑→青→赤…の三すくみに3属性に強い白↔黒を加えた5属性。
    • 別バージョンの同キャラは同時編成不可。
    • パーティの合計戦闘力で先攻・後攻が決定する。
    • 各キャラの攻撃スキルがカード扱いされ、画面右側にカードが積み重なる。同じカードが隣り合うと合体して効果が上昇する。
    • カードを使用したり、上記したカードの合体が起こったキャラはSPポイントがたまり、最大まで溜まった次のターンにSPスキル用のカードがドローできる。
    • 倍速やオート機能有り。
  • 育成はキャラレベル、レベルの上限解放、中国産らしいセット効果+ランダムサブ能力の装備、衣装のレベル、凸、専用装備がある、それぞれ別の素材を集める必要がある。
    • 衣装のレベルというのはやや珍しい。基本的に通常衣装とURまで育てると解放される色違い衣装の2種類で、キャラやバージョンによっては追加の衣装(主に課金入手)が存在。すべての衣装にステータスボーナスがあり着用していないもののボーナスも発揮される仕様。
    • 全キャラの総育成状況による全キャラ共有のステータスボーナスも有り。
    • その他、特定のグループごとのステータスボーナスやこれまた別素材で解放する全キャラ共有のボーナス、さらにはパーティ内の同属性キャラの人数によって補正がかかったり、各キャラごとに様々なパッシブバフを持っていたりと、ステータスに関わる要素が非常に多い。

 

  • その他様々なコンテンツがサービス開始時から実装されている。
    • 各種素材集めステージはもちろん、釣りのミニゲーム、料理システム、カフェ経営、2種類のPvP、協力バトル要素、ギルド、ひたすら敵と戦い続けるモードと属性縛りで戦い続けるモード、ボスに対して規定ターン内に与えたダメージ量を競うモード、猫の姿で謎解きマップを攻略するモードなどとにかく多彩。
    • BGMは『NieR』などで知られる岡部啓一氏が参加している。

 

良かった点

様々なコンテンツによりプレイボリュームは膨大。大作スマホゲームと遜色ないボリューム。

  • ストーリーだけでもサービス開始時点で17章。
    • 作品ごとに章当たりのボリュームは異なるとはいえ、サービス開始時点でのストーリー量としては他作品と比較してもかなり多い。
    • 内容も序盤こそ退屈だが、序盤の終り頃からは(スマホゲームのシナリオとしては)それなりに楽しくなる。
  • バトル系のコンテンツは何戦分あるのかわからないレベル。
    • 報酬もしっかり美味しいものが用意されている。
  • 釣りやカフェ経営など、触っているだけで気づけばかなりの時間が経っている。
  • ただしこれらは一概にいい点とは言えない面が強い。詳しくは後述。

BGMは抜群に良い。

  • ジャジーでオシャレな感じの曲が多く、曲としての良さもさることながら作品の雰囲気にも合っている。

昨今の3D演出スマホゲームとしては動作が軽い。

  • 後述するように決してハイクオリティとは言えないが、容量も軽い。

 

不満点

大きな問題こそないものの、肥大化したゲームボリュームに対して全体的に作り込みが追い付いておらず、小さな問題が山積している。

3Dモデル

  • 3Dモデルの出来は悪くはないが2024年の新作スマホゲームとして見ると数段劣る出来。
    • キャラによる差が酷く、イラストのクオリティとの乖離が激しい。
    • ストーリーにおける3Dモデルの止め絵演出は、3Dモデルの微妙さが如実に出てしまっている。
  • 単純比較すべきではないが、同年に『鳴潮』『学園アイドルマスター』『ゼンレスゾーンゼロ』と3Dモデルのクオリティが高いゲームが連続でリリースされていたためどうしても比較されてしまう。
  • 敵について、主に序盤で頻繁に戦うウサギのぬいぐるみ型の敵は良いが、中盤以降の敵キャラのデザインや3Dモデルは魅力が弱い。

お色気

  • アプリ初起動時のデータダウンロード中にはキャラクターの1人のお触りパートを自由に遊ぶことができるなどお色気要素を推し出しているが、その点でも中途半端さが目立つ。
    • お触りできるのは現状ごく一部のキャラクターや衣装のみ。
    • 上記した通り3Dモデルの出来が微妙なこともあり、売りに出来るほどのエッッさは無い
    • キャラを絞っている割にはお触りの反応も少ない。
    • お色気スチルもあるが、全体的に『アズールレーン』や『ブラウンダスト2』『スノウブレイク』には大差で劣る印象。

シナリオ

  • 中国産ゲームにありがちな『微妙なローカライズ』『造語連発』『冗長を通り越してくどい長文』が目立つ。
    • 特にテキストが長すぎる点に関しては、ゲームのシナリオ文としての推敲が全くできていない印象。
    • 誤字・誤翻訳も多い。
  • ボイスやモーションなどの演出のテンポも悪い。シーンにもよるがオートは倍速でもやや遅く感じるレベル。
  • シナリオ(ステージ)選択画面のあらすじやロード画面のスチル表示でチラホラネタバレしてくる。
  • 一部キャラの演技が浮いている。
    • 特に男性キャラに目立つ。
    • 演技自体に問題は無くとも、翻訳の問題でセリフそのものに違和感があるシーンも多い。
  • 突っ込みどころもあるが内容そのものは悪くない。

バトル

  • 先攻後攻が非常に重要なバランスになっているため戦力ゲー
    • PvP有りで戦力ゲーなのでどうしても課金額による差が出やすい。
  • 上記したようにステータス(戦力)に関係する要素が多すぎて煩雑になってしまっている。
    • 長くサービスを続けていく中で、後から成長要素を追加するなどして煩雑になることはよくあるが、サービス開始時点でここまで煩雑だと触り心地は悪い。
  • マージカードバトル自体が地味。
    • キャラによる差はあるがカード合体による効果量の増加が地味なため、マージ系なのに派手さや爽快感、わかりやすさに欠ける。
    • 合体させたらカードの絵が変わる(お色気に走るならそれこそ露出度が上がっていくとか)等あれば良かったかもしれないが、カードイラストの表示が小さいのでそれでも派手さは無い。
    • 『リバース1999』辺りと同等のシステムだが、これで成功しているゲームが無い気がする…
  • 一部バランスが非常に悪い。
    • 全体攻撃が無いと絶対に倒せない敵が存在。手持ちやカードの引き次第で難易度が異常に高くなる。
  • オートはポンコツ気味。
    • 必ず全キャラ1枚ずつカードを使用する・パーティの並び順にカードを使用する・SPスキルを最優先で使用する辺りがポンコツの主な要因。
  • 決して悪いわけではない。地味。
    • 地味な割に各種モーションがもっさりしておりテンポが悪い。
    • 2倍速は自由に使用できるが3倍速は課金者専用。課金者優遇は全く構わないが、PvPやギルドがある以上は無課金の人数も必要であり、無課金を切り捨てるような形での課金者優遇は問題だろう。

カメラワーク

  • (クオリティは置いておくとして)せっかく3Dモデルなのに戦闘中はSPスキルの演出以外常に背後からのアングル
    • これもバトルの地味さに拍車をかけている。
    • お色気売りしている割に『NIKKE』のようにお尻にフォーカスしているわけでもない。
  • お触りモードでもカメラアングルが制限されている。
    • カフェ内は自由に操作でき、そこは悪くない。

各種システム

  • 様々なコンテンツが乱立するが、ボリュームがありすぎてプレイ時間が嵩む。
    • これ自体は悪いことではないが、2024年水準でメイン格のスマホゲームと戦えるほどのクオリティが無く、サブゲームとして考えるとボリュームがありすぎる、ということ。
    • ここまでボリューム過剰にするなら、ストーリーはスタミナ消費無しでも良かった。
    • 料理の材料集めにもかなりのスタミナを持っていかれる。
    • 釣りなど明らかにオマケ枠の要素すら育成や進行にある程度関わってくる。
    • ネコの姿で探索するモードなどは空気な割にいざやると時間がかかり、そもそも露骨にお色気売りしている本作でこのモードを求めている人がどれだけいるのか…
  • 多彩なコンテンツに対してUIも煩雑。指(マウスカーソル)があっちこっち移動し、ちょっと遊ぶだけで何画面も行き来させられる。
    • 主にガチャに使用する所謂『石』も、課金時に直接付与されるそのままではガチャに使用できない石、各種報酬で入手できるそのままではガチャに使用できない石、ピックアップガチャでのみ使用できる石、恒常ガチャでのみ使用できる石、お得ガチャでのみ使用できる石とやたら複雑。
    • 釣りにチケットが必要で尚且つリールや糸・餌などアイテムも必要、料理もすべて別々の素材が必要など、凝ってはいるがボリューム面でプラスに作用するよりも煩雑さを高めるマイナス側に作用している。
    • UIに目を瞑れば、出来が悪いわけではない。特に猫探索と釣りはよくできている。遊ばせ方やボリューム調整の問題。

売り方

  • お色気売りしている割には上記した通りお色気面でパッとせず、さらには男キャラや人外(そもそも美少女キャラも猫なので人外ではあるが)も多い。
    • 男キャラについてはSSRは元々存在していたものがなぜか削除されている。
    • そこまでしたのにRやSRの男キャラや人外が残っているのはガチャのハズレを減らしたくなかったのか。
    • そもそも猫の擬人化が主軸のはずなのに、プレイヤブルすら猫に関係ないキャラが目立つ。
  • ネコ要素自体がほぼ空気。
    • たまに思い出したように猫になって正体を隠す程度で、特に猫であることがシナリオやシステム周りにいい影響を与えてはいない。
    • ネコのデザインも、猫の姿に人間の顔を貼り付けたようなデザインになっており、(好みの差はあるだろうが)正直可愛さよりも不気味さが勝る。
    • 同じ猫でも、猫モチーフのサポート装備枠である『ガト』はデフォルメされた猫で可愛く出来ている。
    • カフェ内に配置したガトが歩き回る様は非常に癒される。
  • リアル時間の経過によるゲーム内リソース補給があるため所謂『放置ゲー』の気質もあるのだが、その割にはカフェ経営のスタミナなどで放置ゲーとしてはかなり短いスパンでのログインを求められる。
    • 好感度を上げることでカフェ等で使うスタミナが上昇するため、長い目で見ればこの点はある程度解消されると思われる。
  • 先に少し触れたが、メインゲームとするには各要素の作り込みが甘く、そもそも(様々な要素があるとはいえ)各要素の内容は10年前…甘く見ても4~5年前レベルのものであり、メインゲームとして2024年の新規スマホゲーム市場で戦える器ではない
    • しかしこちらも先に触れた通り、サブゲームとして遊ぶにはプレイボリュームがありすぎて、相当時間に余裕のある人でないと掛け持ちするには重く、さらには放置ゲー譲りの課金誘導も目立つ。
    • サービス開始時点ですでにガチャからは排出されない課金限定キャラが存在。
    • ただ、各課金要素はしっかりお得ではあるため、課金しようと思えば普通に楽しめる。
  • このように、売り方自体も中途半端でどういった層に売り出したいのかが見えてこない。
    • 全体的に『悪くない』止まりであり、数あるスマホゲームの中からこの作品を選ぶ取っ掛かりに欠ける。
    • 取っ掛かりの無さに加え、テンポの悪さやテキスト面などの問題でスマホゲームに重要な序盤のプレイフィールは最悪。
    • デイリー要素に関わるコンテンツの解放も遅すぎる。当ブログ内では様々なゲームで同じことを言っているが、中でも本作は群を抜いて遅い。

 

まとめ

擬人化美少女猫のお色気売りが目立つ作品ではあるが、蓋を開ければお色気要素は薄目、美少女猫要素も薄め。

ゲームとしても決して悪くはないが全体的に古く、作り込みや最適化が足りていない印象。

あらゆる面で中途半端で、大きな問題こそないものの何もかもが『悪くはない』という感想に落ち着く、薄味でパンチに欠ける作品となった。

ただ、人は選ぶもののスルメゲーのきらいはあり、劣悪な序盤のプレイ感や中途半端さの壁、プレイボリュームから来る要求時間や手間を乗り越えられる一部のプレイヤーは中盤以降楽しめるようになる可能性はある。

事実、筆者も中盤くらいからは徐々に楽しさが見え始め、もう少しだけ続けてみようと言いながら結局全コンテンツを触ってしまった。

もちろんスルメとしても薄味であり、あくまで各コンテンツが『悪くはない』程度に遊べるが故のことではある。筆者自身が今後も継続して遊ぶかと問われれば微妙なところでもある。とはいえ序盤で切るのは少々勿体ないかなとは思う。

正直このままでは厳しそうだが、まだ話題になるうちに序盤の掴みを改善しつつ、『どの層に売り出したいのか』をハッキリし、その層に合わせた展開・調整ができれば低空飛行にはなるだろうがサービス継続できそうなポテンシャルは感じる。

  • とは言っても中国等で先行配信されており、基本的にはそちらの展開に沿って日本版も展開するはずなので大きな方針転換は見込めないだろう。
    • ちなみに件の先行版は一度サービスを打ち切り、ブラッシュアップしなおして再リリースしている。各要素が変に膨れ上がっていたり、キャラによってモデルの出来に差があるのはこの辺りが原因だろう。

 

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