タイトル | AFTER IMAGE |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | Aurogon Shanghai/Maximum Entertainment |
満足度 | D(不満が勝る。たいていの場合お勧めできない。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年2月24日 |
はじめに
Steam版を実績コンプリートまでプレイ。メトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルの2D探索アクションゲームで、同ジャンル内では随一の広大なマップが特徴。
多彩な武器種やスキルツリーでの育成、ボスを倒したりサブクエストをクリアすることで新たなスキルを取得、それにより探索能力が拡張され新たな道が拓ける…と、同ジャンルの基本的な部分はだいたい押さえている。
良かった点
このジャンルはピクセルアートの作品が多くそれはそれで好みではあるが、この作品は手書き風の2Dとなっており、特に背景は非常に美しい。
- もちろん最新の3Dグラフィックと比較すれば劣るが、これはこれで味がある。
- 町、廃墟、草原、森、洞窟、炎系、水系、氷系、城、塔などファンタジー世界のテンプレートとも言えるロケーションは網羅しており、この点は満足のいく出来だった。
主人公『ライネ』もかわいく、フルボイスで『かわいいキャラを操作して広大な世界を探索する』という欲求はしっかりと満たすことができるだろう。
中身を考えなければ、値段に対してのプレイ時間はたいしたもの。
不満点
せっかくの広大なマップはどこまで行っても同じことの繰り返しで、広さの中で面白さを維持する工夫は全くない。
- 似たような隠し場所の宝箱、似たようなイライラ棒系トラップが非常に多い。
- 対して、少なすぎるファストトラベル地点(以下FT地点)にボス部屋などの重要拠点は悉くFT地点から離れている。
- 宝箱などから入手できるアイテム類も調整不足で、入手難度に中身が見合っていないのは茶飯事、手に入る順番なども明らかに作りこみ不足で『こんなのいまさら貰っても…』が多発する。
- 探索のアクション性は悪い意味でお手本通りで、2段ジャンプなどアクションの拡張はあるものの、それがあること前提のデザインになっているマップが多く、結局想定通りのことしかできないためすぐに飽きが来る。
武器は複数種類あるが似たような近接武器ばかり。ある程度差別化はされているもののプレイ感そのものに大きな差はない。
- 武器毎のスキル攻撃やパッシブスキルも明らかに数稼ぎの使い物にならないものが多い。
- 魔法も空中発動できないせいで使いどころがほとんどなく、結果として一部の使い勝手のいいスキルばかり使うことになる。
戦闘は敵との接触ダメージ有りで無敵系の回避手段がほとんどない、ロックマンタイプのデザインになっているが、こちらも問題が多い。
- 攻撃モーションから当たり判定発生までが早すぎる。
- 攻撃と攻撃のインターバルが短すぎる。
- モーションと攻撃範囲が嚙み合っていない。
- 画面やキャラの大きさに対して攻撃範囲が広すぎる。
- 場に残るタイプの攻撃(地面に刺さった槍など)の当たり判定持続時間が長すぎる。
- 敵の追尾攻撃の追尾性能が高すぎる。
- 敵や攻撃が背景と同化してしまう。
たいていの敵がこのいずれか、あるいは複数に当てはまっており、難易度が高いとかの話ではなく調整がしっかりできていない印象。
- その割にレベルやステータスの概念があるため、アクションを習熟するより先に数字によるゴリ押しが容易にできてしまう。
育成面についても、スキルツリーらしきものがあるがレベル制限が非常に多く設定されており、『開けられるところを全部開けてもポイント余ってるけど、レベル制限でこれ以上開けられない』の繰り返し。
- 武器種毎にルートが分かれているが上記の仕様によりすぐに全ルート埋まるためスキルツリーの意味をまったく成していない。
ストーリーは海外産ゲームによくある低クオリティ翻訳+造語連発+記憶喪失+登場人物全員もれなく必要なことを喋らないせいで非常にわかりにくい。
- 次にどこに行くのかもよくわからないし、突然出てきたボスがいったいどこの誰でなぜ戦っているのかもよくわからないし、ボスを倒して手に入れたアイテムが何なのかもよくわからない。
- そのくせところどころに製作者からのメッセージのようなメタ的なテキストが見られ没入感や緊張感は微塵もない。せっかくの綺麗なグラフィックによる世界観表現も台無しである。
次にどこに行くのかわからないという点は、うまく調整すればマップを探索する動機づけになるが…
- そのためそれそのものを批判するものではないが、上述した通りマップが広すぎる+広さに対してFT地点が少なすぎる+そもそも探索要素が面白くできていない点に加え、特に横方向への移動を強化する手段が実質的にほぼないためストレスのほうが勝ってしまっている。
その他細かい点としてドロップアイテムの取得や会話、テキストイベントの閲覧はすべて上入力になっているが、アイテムの取得だけやたらと反応が悪くなかなか拾えない。
- 逆にテキストイベントは食いつきが非常によく、移動中になんども反応して鬱陶しいことこの上ない。
BGMは悪くはないが地味で、プレイ後に耳に残るような曲はなかった。
- これも探索が退屈に感じる一因だろう。
まとめ
総じて、『ぼくのかんがえたさいきょうのメトロイドヴァニア』といった感じで、『広大なマップ』『複雑なシナリオ』『スキルツリーや豊富な装備による多彩な育成』と、面白くなりそうな要素だけ用意してみたが、なぜそれが面白いのかを理解していないのかうまく調整できておらず、中身の伴わないまやかしのボリューム感だけ膨れ上がってしまった張りぼてのようなゲームという感想。
素材は良かったと思うのだが、調理の仕方が悪かった典型。
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