【iOS/PC】アッシュエコーズ 感想

アッシュエコーズ タイトル画面 iOS
タイトル アッシュエコーズ
プレイした機種 iOS iPad Pro/PC
メーカー Aurogon Shanghai/Ujoy Games
満足度 B(やや満足。条件付きでお勧めできる。)
要点
  • 編成を組む楽しさ
  • 非常に快適なサクセス風育成モード
  • あらゆる面で魅せ方が下手
  • シナリオは冗長すぎる長文+造語連発
  • 味がするところまで噛み続ければ楽しい重度のスルメゲー
執筆日 2024年11月16日

 

はじめに

アッシュエコーズ タイトル画面

iOS版にて実装済みのメインシナリオ全部+コンテンツを一通り触って理解するところまでプレイ。

当ブログ初期のころに紹介した『アフターイメージ』と同じ『Aurogon』が開発を手掛ける新作スマホゲーム。基本無料で、ジャンルはRTS(リアルタイムストラテジー)となっている。

基本的なシステムについて。

  • 基本はよくあるステージ選択型のスマホゲームで、ステージ一覧の中からシナリオステージだったり、キャラクターや装備の強化素材獲得用のステージだったり、腕試し用の高難易度ステージだったりから好きなステージを選択して遊ぶスタイルとなっている。
    • スタミナ式で、バトルのないシナリオだけのものと高難易度の腕試し用ステージ以外はだいたいスタミナを消費する。
    • バトルで敗北したり、途中であきらめて撤退した場合はスタミナは返還される親切設計。
  • ガチャはキャラクターと武器。所謂『闇鍋』ではなく、キャラと記憶烙印(サポートカード、詳しくは後述)で完全に別々になっている。
    • 最高レアの排出率はキャラが1.2%、サポートカードは2%。自力排出が厳しい代わりに天井低めでカウントはガチャが切り替わっても引き継ぐ、中国産スマホゲームによくあるタイプ。
    • 天井については明記されていないが、60連以降最高レアの排出率が上昇していくと書かれている。原神等に近いシステムだろう。
  • キャラクターとの交流機能としては、ホーム画面に設定したキャラと触れ合えるいつものやつに加えて、一緒にドリンクを飲む『ティータイム』といったシステムが用意されている。
    • 他にもダーツなどミニゲームが遊べる。

キャラクターの育成要素について。

  • 育成素材を消費してキャラクターのランクを上昇させる。
    • ランクを上昇させることによって、ステータスが上昇し、後述する探索モードにおいてスキルを獲得出来たりといった恩恵がある。
    • 星5以上のキャラクターはランクを上げることでイラストが解禁される。
  • 育成素材を消費してスキルのレベルを上げる。
    • 各キャラクターが最初から所有しているスキルの効果を上昇させることができる。
  • ガチャでのダブりによる通称『凸』
    • 各キャラクターの凸スキルのレベルが上昇するほか、特定段階では追加の能力を獲得できる。
  • 一般的なゲームにあるようなレベルの概念は本作には存在しない。
  • その他、親愛度を上げることによって各種特典を獲得できる。
    • 親愛度は編成に入れてステージをクリアしたり、ドリンクを一緒に飲むことで上昇する。

キャラクター育成モード『探索』について。

  • 通常のスタミナとは別枠の回数を消費してプレイする。
  • キャラクターを1名選択し、その後記憶烙印(この手の他のゲームで言うところのサポートカード)を5枚+フレンドのものを1枚選択して開始する。
    • サポートカードによってステータスの伸び方や獲得できるスキルに違いがある。
  • 探索内では様々な選択が出現。『どちらのスキルを獲得するか』『どのステータスを強化するか』といった選択を何度も繰り返し、時に運にも左右されながら理想のキャラクターを作成していく。
    • 探索内には敵も出現する。選択したキャラクター1名で戦うこともあれば、通常通りパーティを編成して戦うこともある。
    • プレイヤーの選択によって出現する敵が強化されていく。敵が強い状態の方がより強いキャラクターを作りやすいが、勝てないと勝利時のボーナスがもらえない。
  • こうして作成したキャラクターは『リーダー』として使用することができる。
    • 通常のバトルではリーダーにしたキャラの持つスキルやステータス補正がパーティに共有される。
    • 一部のバトルコンテンツでは指定したロールのリーダーを用意しないと挑戦できない仕様になっているため、そちらでも使用することになる。
  • 所謂『サクセスモード』と呼ばれるゲームモードであり、スマホゲームで言えば『シャニマス』『ウマ娘』『学マス』などに採用されている育成モードに近い。
    • スマホゲームの育成システムとしては一般的にプレイフィールが重く敬遠されがちだが、中毒性がありハマる人はかなりハマるシステムである。
  • 探索モードにはランキングも存在。
    • キャラクター毎にどれだけ強くできたかの評価値で順位が決まる。
    • 報酬はない模様。
    • ランキング上位者の使用したサポートカードなどが見られるため、参考になる。

バトルについて。

  • 基本的にはフィールドの四方に出現する敵から自陣の『戦術端末』を護るという、タワーディフェンスに近いスタイルで戦う。
    • 戦闘中は敵味方ともリアルタイムで動き、攻撃を行う。
    • プレイヤーは各キャラクターに移動とスキル使用の指示を出すことができる。どちらもクールタイム有り。
  • パーティは最大8人編成。戦闘に参加するのは4名で、残りの4名といつでも入れ替えることができる。こちらも入れ替えにはクールタイム有り。
    • キャラクターにはロールが設定されている。『重盾』ならタンクとして敵をひきつけたり、『尖兵』は敵のバリアを素早く剥がせたり、『遊撃』や『遠撃』なら空中の敵に攻撃出来たり、『加護士』なら回復やバフなどが得意だったりといった具合。
  • ほとんどのステージがウェーブ制で敵が出現するようになっている。すべての敵を撃破すればステージクリア。
    • 一部のステージにはステージギミックが存在。そちらもプレイヤーの操作で介入する要素となる。
  • 便利機能としては倍速とオートが用意されている。

元素反応について。

  • 戦闘中、さまざまな属性の組み合わせによって特殊な効果が発動する。
    • 水溜まりの上にいる敵に雷の攻撃を当てることで『感電』となり麻痺状態にしたり、燃える地面の上にいる敵に水攻撃を当てると『蒸発』となり蒸気の中での被ダメージを軽減したりといった具合。
  • 基本的には水溜まり=水エリア、燃える地面=炎エリアといった形で『特定の属性のエリア上で特定の属性の攻撃を当てる』ことで元素反応が発生する。
    • 属性エリアは特定のキャラクターのスキルで生成したり、ステージによっては初期状態で発生していたり、ギミックで発生したりする。
  • 元素反応を起こせるのは『炎』『水』『氷』『雷』の4属性のみで、『風』『蝕』『物理』は元素反応を起こすことはできない。
    • 『風』は霧を吹き飛ばせたり空中の敵に追加ダメージを与えたり、『蝕』は蝕属性の攻撃を重ねて『蝕爆値』を稼ぐことで強力な全体攻撃が発生したりと、元素反応が無い代わりに特殊な能力を持っている。
  • 上記したロールと併せて、キャラクター単体での強さよりもパーティ編成が重要視されるゲームスタイルとなっている。

その他の要素について。

  • 通信要素として、『フレンド』『クラブ(ギルド)』機能が存在する。設定したキャラクターや記憶烙印をレンタル出来たり、フレンドやクラブでしか獲得できないコインを各アイテムと交換することが出来る。
    • 一部の高難易度コンテンツではレンタルキャラクターは使用できない。
    • 現状はこれらの機能を活用したイベント等は無く、コインで入手できるアイテムもそこまで重要なものは無いため必須の要素ではない。

 

良かった点

元素反応やロールを活かしたRTSバトルと編成が楽しい。

  • 様々な元素反応を活かすためのパーティ編成を考える楽しさがある。
    • 元素反応を発生させるためには属性エリアを作らなければならない点が他のゲームとの差別化点として機能している。
    • 『激励』というバフシステムをどう活用していくか考えるのも楽しい。
    • リリース直後でキャラの数も多くないため、エリアを作れるキャラは低レアリティでも重要度が高い。
  • アクションゲームではなくRTSとしたことで、こういったシステムにありがちな順番に属性を付与していくだけで毎度同じことの繰り返しになる点がある程度誤魔化せている。
    • 単属性で固めたほうが強い『蝕』など、各属性差別化も出来ている。
  • ロールについては現状タンクがいるかどうかと、バリア(ゲーム内ではブロック)持ちに対して尖兵がいるか、飛行ユニットに対して遊撃・遠撃がいるか程度のものになってはいるが、同じ編成で全部OKとはいかないようになっているためマンネリ化をある程度抑制してくれている。
    • 特にバリアに対しての尖兵はいるといないとで大違い。かといって尖兵を常用すると飛行ユニットで止まるようになっている。
  • 下記の探索での育成も含めて、こういった編成の楽しさというのは、キャラや装備をガチャに頼ったゲームでは非常に重要。
    • ガチャに課金してもらえるかという意味でも重要。
    • とは言え問題点も多い。後述。

サクセス風育成モードの探索が非常に面白い。

  • 全体的に非常にサクサク進んでいくため快適。
    • 快適というだけでもこの手のシステムとしては上々。
  • 何度かクリアするとオートモードも解禁され、途中の分岐をどちらに進むか、どのサポートカードの育成を優先するかを決めたら後は自動で進行してくれる。
    • 探索で作成したリーダーは1人しか編成できない、ランダム性も強すぎないということで、編成全員を何度も何度も上振れを狙って育成し続けるということにはならない。
    • この手の育成は繰り返しによる虚無感とプレイ感の重さが問題になりやすいが、その辺りはよく配慮されている。
  • どんな元素反応を活かしたパーティにするのかによって使用すべきサポートカードや優先して習得するべきスキルも変化する。こちらも編成の楽しさが存分に味わえる。
    • こういったゲームでサクセス風育成システムというのは非常に珍しいが、しっかりと適した形に調整されている。
    • ただ、せっかく良く出来ているのにもったいない点もある。後述。

シナリオやティータイムの演出は良好。

  • シナリオは立ち絵かスチルの紙芝居がメインだが、立ち絵がLive2Dで動いたり、スチルも動いたり、一部アニメーションが流れたりと紙芝居としてはリッチな演出が目立つ。
    • 主人公以外はフルボイス。
    • イラストそのものは一昔前に流行った絵柄で今となっては好みが分かれそうだが、個人的には雰囲気に合っていて良いと判断。
    • 演出は良いものの、中身は…。後述。
  • ティータイムも隣同士の席で仲良くドリンクを飲む雰囲気がしっかり出ており触り心地が良い。
    • ドリンクはいくつかの選択肢から自分で作ることが出来る。
    • 作ったドリンクは記録されるため、面倒なら同じドリンクを作れば手間が省ける。
    • もちろんキャラごとに味の好みがあり、反応を楽しめる。
    • 反応の種類は多くないが、オマケのモードとしては十分だろう。

 

不満点

ゲームの中身自体は良いのだが、それを活かせていない。

  • 例えばキャラクターグラフィック。好みや元絵の再現度といった問題はあるにせよクオリティ自体は決して悪くない。
    • だが、シナリオは立ち絵での紙芝居だし、バトルはクォータービューでキャラが小さく、スキル使用時以外は顔が全く見えない。
    • 記事執筆時点で開催中のイベントでは3Dのグラフィックを活かしたダンジョン散策が用意されているが、ただシナリオとシナリオの間を歩いて移動するだけのものであり、活かせているとは言い難い。
  • バトルも元素反応やロールを活かした戦略性は楽しいが…。
    • 上記したようにクォータービューでキャラが小さくゴチャゴチャしている上、エフェクトや効果音も非常に地味なためイマイチ爽快感が無く、元素反応を発生させても気持ちよくない。
    • 操作性もかなり悪い。特に移動しながらスキルを使用する際の操作は罰ゲームかというレベル。
    • 元素反応やロールを活かしてパーティを組めるようになるまでが遠く、序盤のうちはイマイチバトルの楽しさが伝わってこない。
    • 序盤で貰えるキャラクターが元素反応を発生させられない物理属性中心なのもバトルや編成の楽しさを早い段階で感じられない要因になっている。
    • 一応プレイヤーレベルが一定値になると元素反応を発生させられるキャラのセットがもらえるが、そこまでが遠すぎる。
  • シナリオも中国製のゲームにありがちな冗長すぎる文章+造語連発で非常に入りづらい。
    • とにかくアウトプットが絶望的に下手。読む人がどういう気持ちになるかを一切考えていない。
    • ローカライズだけの問題ではないだろう。
    • これも中国製にありがちだが、中国系の名前のキャラや地名がそのまま中国読みの漢字で実装されているため最早読み方も人なのか地名なのかもわからない名詞がたくさんある。記事執筆後に難読キャラは振り仮名表示が追加された。
    • 鳴潮』の序盤に近いものがある。ゲーム的にストーリーの比率が重い分、こちらの方がヒドイ。
  • 探索についても同様。
    • 前述のように探索自体は重くなりがちなサクセス風システムを上手くこの手のゲームに落とし込んでいるのだが、(石やアイテムで回復しない限り)1日1回しかプレイできない。
    • ウマ娘や学マスのように何度も何度も周回するようなデザインではないとはいえ、それでも複数体のリーダーが必要になるコンテンツもあり、何よりせっかく良く出来ているのに遊ばせないというのは何がしたいのか…。
    • もちろん苦手な人も多いシステムではあるため『遊ばなくても良い』という選択肢なら良いと思うが、『遊びたくても遊べない』は違うだろう。
  • オートバトルが用意されているが…。
    • ギミック類はオートだと一切触れてくれない。
    • ギミックの多くは活用すると楽になるという程度の物なので基本的には問題ないが…。
    • 問題は霧のギミック。霧の中にいる敵は姿が見えずキャラクターたちは霧の中の敵には一切攻撃をしてくれない。
    • 霧は扇風機などで飛ばして無効化することが出来るが、オートだとやってくれないため霧中の敵を倒すことが出来ず敗北する。
    • 他にも一定範囲内に大ダメージを与えてくる敵に対して、攻撃範囲外に移動することで攻撃を回避するギミックがあるが、こちらも移動してくれないため余程の戦力差が無いとほぼ即死確定となる。
  • もちろんこれらは手動操作ならなんの問題も無いのだが、スマホゲームである以上はオートで遊ぶ人が多いのは当然のことであり、何らかの対処が必要だろう。
    • バトルが複雑で、これらの問題以外はそれなりに優秀なオートであるが故に、初心者だと手動よりもオートの方が強いことが多いのもこの問題に拍車をかけている。

全体を通して、『どう見えるか、見られるか』が全く配慮できていない。

  • 上記の問題もすべてそうだし、他にプレイヤーレベルによる制限や日付でのロックがかなり多く見られる。
    • こういった制限は『初心者のうちは難しいから』『複雑になりすぎないように』等のプレイヤーからもわかる理由があれば導線として納得感があるが、本作のこれらは多くが単に足止め以外に理由がなさそうに見える。
    • メインストーリーも4章からは日付でロックされている状態で実装されている。同じ日付で”アップデートによる追加”であればユーザー感情は『更新速くてやる気あるな』となるが、最初から実装済みなのにロックされていると『引き伸ばし、時間稼ぎ』と感じる。
  • UIもゴチャゴチャしていてわかりづらい。
    • 文字が非常に小さく、じゃあその分画面を有効活用できているのかと言えば全くそんなことはない。
    • 2重表示になってしまっているものや、何もない空間が多く『そこに表示しろよ』『その分文字大きくしろよ』と突っ込まざるを得ない。
    • ゴチャゴチャしているのとは別の問題だが、タップ(クリック)の反応がやたら悪いのも気になる。ボタンを押しても音がするだけで反応が無く、イチイチ2~3回タップする羽目になることが非常に多い。記事執筆後に、タップ反応は改善された。
  • UIだけでなくゲーム自体がごちゃごちゃしていてわかりづらい。
    • シナリオや雰囲気に力を入れているタイプの作品なのは間違いないが、その割にテキスト周りはローカライズを甘めに見ても出来が悪いし、リリース時点では3章までしか遊べないし(以降は日付でのロックがかかっている)、バトルはRTS+αという複雑で重いものが採用されている。
    • じゃあバトルがメインなのかといえば上記したように地味だしちょっと触った程度では面白さが伝わらない作りになっている。
    • ただでさえ複雑で面白さが伝わりづらいRTSバトルなのに、イベントで別のタワーディフェンス風RTSを遊ばせて来るのも質が悪い。
    • そしてなぜかサクセス風育成の探索の出来が良い。が、これは1日1回しか遊べない。もう何が何やらである。
  • 面白いゲームを作ろう、良いものを作ろうという努力は伝わってくるし、実際部分部分で見ればそれなりのものは作られている。
    • ところがそれをプレイヤーにどう遊ばせるかというところまで詰められておらず、結果として楽しさがどこにあるのか、何が売りなのかが見えず、スルメゲーと呼ぶにも味が無い部分が多すぎる形となってしまっている。
    • スマホゲームは序盤のプレイフィールが非常に重要であり、どんなに良いものを作ってもゲームを開始していきなり数十分もなんて読むのかすらわからない文章をダラダラ見せられたらアンインストールされる世界であるということを、もう少し意識するべきだろう。

 

まとめ

部分部分で見れば良く出来ており、しっかり味わえば間違いなく味はある作品ではあるのだが、どう遊んでもらうのか・何が売りなのかがブレブレで伝わりづらく、おそらく多くの人が序盤で脱落してしまうであろう問題作。

探索は非常に良く出来ており、筆者個人としてはスマホで遊ぶサクセスモードの中ではトップの出来だと思う(満足度も探索の出来で押し上げられている)が、それが活かされているとは言い難く全体的にとっ散らかっている印象。

属性やロールを活かしたパーティ編成・サクセス風の育成が好きで、なおかつ少なくとも鳴潮の序盤レベルの意味不明シナリオが気にならないという条件でならオススメできるが、果たしてそんな人がどれだけいるのか…。

この内容では正直売れないだろうなと思いつつも個人的には嫌いではない。とはいえそれは筆者が味がするまで何とかして噛み続けたからこそ。そういった遊び方ができるタイプの方は試しに1度触ってみてほしい。

中途半端に3D採用で低コスト運営というようにも見えず、サービスがどれだけ継続するかはかなり不安なところだが、わかりづらいだけで面白さそのものはしっかりあるため今後魅せ方を改善できればワンチャンスある…かもしれない。

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