タイトル | カルドアンシェル |
プレイした機種 | ニンテンドーSwitch |
メーカー | インティクリエイツ |
満足度 | A(満足。たいていの場合お勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年10月29日 |
関連作品の感想はこちら |
精霊機フレイリート |
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はじめに
Switch版にて全ステージクリア+いくつかのステージ、難易度を星3クリアまでプレイ。
『蒼き雷霆ガンヴォルト』シリーズや『ぎゃる☆がん』シリーズなどで有名なインティクリエイツ開発のローグライトカードバトルRPG。
プレイヤーはネットにまつわる事件を取り扱う探偵である主人公『ネオン』となり、開発中のフルダイブゲームに他のゲームのキャラクターが現れる事件の謎を追う。
- 拠点とダンジョンを行き来し、カードバトルを繰り返しながらストーリーを進行していく。
- 拠点ではカードの確認やネオンの強化、ヒロイン『アンシェ』との交流等が行える。
- ネオンのレベルが上がった際に獲得できるポイントを消費してバトルに有利な各種能力を獲得できる。
- 拠点でのアンシェはLive2Dによるイラスト表現によりぬるぬる動く。
- ゲームの進行によってより親密になり、会話の内容が変化する。
- 俯瞰視点の電脳世界ダンジョンでは敵とのバトルやカードの獲得・強化を行う。
- ダンジョンといっても無数の部屋が通路で繋がれただけの簡素なもの。
- 各部屋には敵やアイテム、ボスなどが配置されている。
- 敵は雑魚敵、リーダー敵、ボス、エリート、ディーバの5種類存在。
- ボス以外は無視して進むことも可能だが、無視をするごとに『メモリゲージ』が上昇、一定値以上になると特殊ルール(だいたいプレイヤーに不利なもの)が発動する。
- 敵を倒したり、後述のボーナスで回復を選択することでメモリゲージが下がっていく。
- リーダー、ボスがいる周囲の部屋は敵が強化される(侵食レベル)。
- 侵食レベルが高い状態で敵を倒すと獲得できるカードのレアリティが上がる。
- ディーヴァ敵の周囲の部屋ではディーヴァにより特殊な効果が発動している。
- ディーヴァ敵を倒すことで後述する『ディーヴァカード』を獲得できる。
- 部屋内の敵をすべて撃破するとボーナスを選択可能。『回復』『強化』『設置』の3種類。
- 『回復』はプレイヤーのHPの回復と、前述したメモリゲージの低下効果。
- 『強化』は所持しているカードに後述する『チートコード』を付与する。
- 『設置』では所持しているカードの中から選択した1枚をその部屋の守護者として設置。階層内で使用できなくなる代わりにその部屋に敵がリポップしなくなり、周囲の部屋で戦闘を行う際バフが発動するようになる。
- 後述する『ディーヴァカード』を設置した場合、周囲の部屋で設置したディーヴァカードが自動発動する。
- 設置しない場合、部屋から出ると雑魚敵がリポップする。
- 設置したカードはボスを倒して次の階層に移動する際に回収される。
- ボスを倒すと次の階層へと進み、3階層のボス撃破でダンジョンクリアとなる。
- クリア時には倒した敵の侵食レベルやエリート撃破の有無、かかったターン数から評価が行われる。評価が高いほどネオンの強化に必要な『デコードトークン』が多く手に入る。
- クリア後はダンジョン内で獲得したカードをすべて持ち帰ることができる。
- 付与されたチートコードはリセットされる。
- 持ち帰ったカードは『ワイルドカード』に設定することで次回のダンジョン攻略で使用することができる他、『総力戦』と呼ばれる特殊ルールのダンジョンで使用することができる。
- ワイルドカードと総力戦以外で使用することはできず、ダンジョンで使用するデッキは毎回リセットされる。
- その他のプレイモードとして日替わり・週替わりでルールが変化するダンジョンや、ランダムで用意されたデッキで戦うオンライン対戦などが存在。
バトルについて
- 戦闘はカードバトルとなっている。
- 縦3マス横6マスのフィールドをそれぞれ3×3マスずつが自陣・敵陣に分けられる。
- 各敵には次の攻撃の攻撃範囲と攻撃までの猶予時間が表示される。
- こちらがカードを1枚使用するたびにすべての敵の猶予時間のカウントが1進み、0になると攻撃され、その後は次の攻撃に備えて移動を行い、また猶予時間のカウントが始まる。
- 各敵は1ターン内の行動が決まっており、すべての行動を行うとそのターン内は攻撃も移動もしなくなる。。
- カードはコスト制となっており、基本は各ターン3コストが配布され、その中でやりくりする。
- 各カードにはコストを消費してカードに書かれたを発動する通常使用と、コストを消費せずカードに書かれた方向に移動する移動使用の2パターンの使い方がある。
- 基本的にはカウントに注意しつつ各カードを使いつつ、敵の攻撃までに攻撃範囲外に移動する、という流れになる。
- デッキ内のカードを使い果たした場合は捨て札が再び山札となる。
- HPとバランス値。
- 敵にはHPの他にバランス値が設定されている。ブレイクカードを使うことでバランス値にダメージを与えることができ、バランス値が0になった敵はそのターン移動も攻撃も出来ず、HPへのダメージが倍になる。
- ブレイクカードを使用するとバランス値だけでなく敵の攻撃力も低下させることができる。バランス値を0に出来なくても、攻撃力を0に抑えれば実質的に無力化することができる。
- 特殊なカードとしてアクションカードとディーヴァカードが存在する。
- アクションカードは敵の猶予カウントが1の状態で攻撃範囲内にいる場合に使用、タイミングよくボタン入力を行うことで敵の攻撃をその場で回避しつつ反撃ができる。
- それ以外の状態では通常のカードと同じように使用可能。
- ディーヴァカードは通常のカードとは別枠で獲得するカードで、戦闘中にカード毎に決まった条件を満たすことで自動的に発動し、以降その戦闘中自動で効力を発揮し続ける。
- また、ディーヴァカードが発動した際は必殺技ポイントも獲得でき、消費することで通常カードの効力をアップさせることができる。
- このポイントが無い状態でも必殺技自体は発動可能だが、その場合使用したカードは消滅し、失われる。
- バトル後にはランダムでカードが3枚排出され、そのうち1枚を選択して獲得する。
- ステージによって獲得できるカードが異なる。
- 各カード最大3つまで『チートコード』と呼ばれる付加能力を付与することができる。
- ダメージUPやコスト削減、追加ドローなど様々。
- カードはすべて『カルドアンシェル』の世界で発売されているゲームのキャラクターとなっており、入手時や使用時はもちろんのこと、戦闘中やダンジョン探索中などにもボイス付きでしゃべってくれる。
良かった点
作中に登場する『架空のゲーム』の魅力がしっかり描かれている。
- 多くがあくまで『架空のゲーム』であり、実際にプレイしたりゲーム画面を見ることはできないが、設定の作り込みがすごく、(実在する作品が混ざっているというのもあって)まるで実在するかのよう。
- 古いゲーム(という設定)はイラストやキャラデザインもちゃんと『その年代』っぽいものになっている。
- 実在するゲームをオマージュしていると思わしき要素も多く、ゲームを知っているほどニヤリとできる。
- ダンジョン内の演出等でまるで実在するかのようにゲームについてのエピソードが語られ、遊んでみたいと思わせられる。
- 実在するインティの過去作品についても同様。
- 公式サイトに各作品の紹介も用意されている。
ローグライトカードバトルの中毒性が高い。
- ランダム入手のカードでデッキを組み、カード同士のシナジーや思いもよらないコンボを発見し、遊ぶたびに使えるカードが変わるといったローグライトカードバトルの楽しさはしっかりと再現されており、時間が溶ける。
- そこにロックマンエグゼ風なマス目フィールドと、上記した架空のゲーム要素、ガンヴォルトシリーズ譲りの歌要素が組み合わさり、独自の面白さや爽快感を生み出すことに成功している。
- ガンヴォルトシリーズ譲りの要素として難易度調整も挙げられる。『クリアするだけなら簡単だけど、高評価でクリアしようとするとかなり難しい』という調整が徹底されており、最初は低評価でクリアしてシナリオを追いつつシステムを理解し、慣れてきたらシステムをうまく活用して高評価を目指すという遊びの導線が上手く出来ている。
- この難易度調整が何度も繰り返し遊ぶローグライトカードバトルとよく噛み合っている。
- エグゼ風のマス目フィールドはアクションでのリアルタイム移動はできないものの、カードに『移動』の使い道を用意してコストの重いカードのリスクを低減したり、どのカードを移動に使うかという戦略性に繋がっている。
- カード毎に移動できる方向が異なるため、よく考えて使わないと回避できなくなる。
- カードにはそれぞれ『変身』『リブート』『除外』などの能力やテーマがあり、組み合わせを考える楽しさがある。
- ゲーム作品ごとに能力やテーマが決まっているため、特定のゲームのカードを集めればある程度シナジーがあるデッキが組めるのでわかりやすい。
- ダンジョンごとに登場するカードが違うため、ダンジョンによって自然に違う戦術が楽しめるようになっている。
- 能力の説明はゲーム中常に表示してくれるため、覚えられなくても困らない。
- 公式に『ぶっ壊れコンボを決めよう!』とあるように、最終的にはほとんどの能力・テーマで実質コスト無視で大量のカードを使い倒して敵を蹂躙するような戦い方ができるようデザインされている。爽快感がある。
ディーヴァカードを活用したバトルが楽しい。
- ディーヴァカードによる爽快感が抜群。
- どのカードも効果が非常に強力。発動条件と効果が噛み合っているため発動条件を満たせるデッキを組めば自動的に効果の恩恵を得られるようになっている。
- ほとんどが上手く活用すれば必殺級の強烈な効果を持っている。
- 50種類ものディーヴァカードそれぞれに歌が用意されており、カード発同時には歌が流れる。
- 歌はそれぞれ『登場するゲーム作品でそのキャラが歌っていた曲』という設定になっている。
- 当然ながら架空のゲームにもしっかり曲が用意されている徹底ぶり。どの曲も各ゲームの世界観に合ったものになっている。
- 戦闘中に歌が流れるのは単純に熱く爽快感があるし、複数のディーヴァカードを発動することで目まぐるしく曲が切り替わっていくのも気持ちが良い。
- 例外を除き、基本的にダンジョンに入った際に1枚ディーヴァカードが手に入るようになっている。デッキづくりの指針になりわかりやすさにも繋がっている。
- 上記した『作品ごとに能力やテーマが決まっている』のがここでも活きてくる。特定の作品のカードを集めて、それを使うことで同作品のディーヴァカードが発動し、その作品の曲が流れ、集めたカードが必殺級の効果を獲得するという流れが綺麗。
ヒロイン『アンシェ』がエロカワイイ。
- この要素はかなり好みが分かれるところと思われるが、筆者的には気に入っている。悪い点も目立つのでそちらは後述。
- 拠点ではアンシェが自動的に喋ってくれる。ダンジョン出撃・帰還時の出迎えや見送りもあり、バカップル感というか新婚感というかが濃い。
- おそらくはネオンのレベルに応じてトークの内容も変化する仕様になっており、新しいパターンの会話が見られるのも楽しい。
- 後述する気になる点もあるが、ダンジョン攻略のインターバルとして、あるいは熱めなシナリオ展開に対しての『ご褒美』として機能しているように感じる。
不満点
自由にデッキを組むことができない。
- ローグライト故に仕方のないことではあるが、手に入れたカードを自由に組み合わせた理想のデッキを組んで遊ぶことはできない。
- ランダム入手でデッキを組む都合上どうしても『必要なカードが集まらない』『余計なカードが手に入ってしまう』ケースが多く、シナジーの楽しさや強烈なコンボの爽快感があるが故に完璧なデッキを組みたいと感じてしまう。
- ローグライトカード系のジャンルの中ではカードの獲得手段や特定のカードを狙って獲得する手段、手に入れたカードの削除手段が乏しいのも大きな要因。
- 上記理由によりデッキ構築ローグライトとしてもデッキ構築の運要素がかなり強い。
- 似たジャンルの他のゲームではキャラが複数いてキャラごとに排出されるカードが異なる、単純にカード獲得回数が多い、余計なカードの削除をある程度の枚数できるといった形で運要素をある程度制御しているが、本作はそういった工夫が弱い。
- ダンジョンごとに排出されるカードが違うとはいえそれでも3種くらいのテーマが混在しているし、初期獲得ディーヴァと噛み合うカードが全く手に入らないでグダグダになることも多い。
- いっそ初期ディーヴァは選択可能にして、選んだディーヴァによって相性のいいカードの排出率が上がるくらいはしても良かったかもしれない。
- 総獲得カードがしっかりと記録され、総力戦という今まで手に入れたカードすべてを使う特殊ルールも存在するのに、それらを使って自由なデッキを組むことができないのは残念。
- 理想のデッキ同士でオンライン対戦を遊んでみたかった。
ダンジョンやバトルが抱える問題点。
- 1ダンジョンや1戦闘にかかる時間がやや長く慣れるまではテンポが悪く感じる。
- 慣れてくると『無視して良い敵』がわかるようになり、1ターンで戦闘が終わることもザラになってくるため解消されるが、慣れるまでは1つのダンジョンや1バトルにかかる時間が長めに感じる。
- とはいえバトルが楽しいため、不快に感じるほどではない。よく言えば時間が溶ける。
- どのダンジョンも見た目が変わらずマンネリ感を感じやすい。
- 登場するディーヴァによって背景が変化するものの、画面全体として大きな変化が無いため視覚的な飽きを感じやすい。
- ダンジョン内のBGMも1曲しかない。
- ボリュームが過剰すぎる。
- 難易度設定は各ダンジョンにイージー・ノーマル、そして9段階のハードが用意されている。
- 9段階のハードは最初からすべて解放されているわけではなく1つずつ解放されるため、全ステージ全難易度の最高評価を獲得するのは相当な回数のプレイが必要になる。
- ネオンのレベルと獲得できる強化の数も膨大。
- ボリュームが多いのは良い点とも言えるが、これは過剰の域。
- せっかくの楽しいバトルが非常に作業的になってしまう。『中毒性が高くてゲーム的に意味は無くても自主的に遊ぶ』のと『ゲーム的に意味が用意されていて終わるまで遊ぶ』のでは同じボリュームでも体験の質が変わってくる。
- とはいえ価格が安めであることを考慮すれば破格のボリュームではある。
- 初見殺し要素が多い。
- 主にボス戦にて、敵が復活したり突然強化されたりといった初見殺しとも言える要素が多く、戦略的なカードバトルに合っていない。
- 敵の位置とこちらの攻撃範囲を合わせられない。
- 敵は基本的に攻撃が当たる位置に移動する。正面への攻撃が多いため必然的に主人公の正面に立つ=横位置の攻撃範囲を合わせるのは簡単だが…
- 反面、縦位置はほとんどの敵がランダム移動となる。このため、『縦3マス攻撃』や『十字に攻撃』といった縦要素の攻撃範囲を持つカードの範囲を活かすのがやや難しい。
シナリオや『架空のゲーム』の設定は楽しいが、やや置いてけぼり感を感じることも。
- どこまで行っても架空のゲームであり、プレイヤーにそのゲームを遊んだ記憶はなく将来的に遊ぶことも出来ないため、作中での盛り上がりに着いていけないように感じる場面がどうしてもある。
- 実在・架空合わせた総作品数とダンジョンの数が合っておらず、シナリオ上であまり取り扱われなかったゲームも存在する。
ヒロイン『アンシェ』の問題点。
- 距離の詰め方が異常で、仲良くなるスピードの速さに違和感を感じやすい。
- 一応シナリオ設定的に理由はあるが明らかになるまでに時間がかかるし、対等なバディというよりはどうしても『都合のいいエロい女』感が拭えない。苦手に感じる人もいるだろう。
- この点も置いてけぼり感の一因と言える。
- 拠点での会話が鬱陶しく感じることも。
- 自動で喋るため、ネオンの強化やワイルドカードの設定などの最中にも背景で喋っている。
- 逆にこちらから話しかけることはできず、聞きたいセリフがある場合は放置して待つ他ない。
- 膝枕モードにすると1度ダンジョンに出撃しない限り元に戻せない。
まとめ
ローグライトカードゲームにマス目フィールドや歌の要素などを取り入れ、独自の戦略性や爽快感を生み出している良作。やや過剰ではあるものの、ローグライトの持つ中毒性に応えるボリュームも用意されており、値段に対しての満足感はかなりのもの。
システム・シナリオ・世界観設定をリンクさせた楽しさはさすがインティ産といったところで、全体的に良くまとまっている。
運要素が強くプレイの再現性が低いなど新規タイトル故の粗削り感はあるし、ヒロインの好みが分かれそうなところではあるが、体験版もあるためローグライトカード好きを中心に気になった方はぜひ触ってみてほしい。
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