【Steam】クロノアーク 感想

クロノアーク タイトル画面 Steam
タイトル クロノアーク
プレイした機種 PC Steam
メーカー Al Fine
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • ローグライトカードバトルに特化
  • バトル周りの完成度や中毒性は非常に高い
  • 全体的に導線が弱い
  • 低価格なりのチープさ
執筆日 2024年5月22日

 

はじめに

クロノアーク タイトル画面

Steam版で難易度ハードと一部の縛りクリア+DLC第一弾までプレイ。

韓国のデベロッパー『Al Fine』開発のローグライトカードRPG。約4年という長いアーリーアクセス期間を経て正式リリースされた。

  • ランダム要素のあるダンジョン構成、ドロップアイテムや獲得できるカードもランダム、出現するボスもランダム、さらにはパーマデス(リトライ回数を使い切って全滅すると一部要素のみ引き継いで最初から)など、ローグライト…というか韓国インディーゲームにしばしば採用される要素が多く取り入れられている。

基本の流れとしては2名のキャラクターを選択してダンジョンに侵入、ランダム生成されたダンジョン内を探索し、敵出現ポイントに踏み込むとバトルが始まる。

  • プレイヤブルキャラクターは基本20名。それぞれまったく別々のカードやパッシブスキルを持っており、得意とする戦い方が違う。
  • 多くのキャラクターやアイテムはゲーム開始時にロックされており、条件を満たすまで使用できない。
  • レベルアップでカードを獲得できるが、その際はそのキャラのカードの中からランダムで選ばれたカード群の中から選択して獲得する。
  • ダンジョンはランダム生成だが、あまり広くはなく実質的にはイベントオブジェクトの内容が変動する程度。
  • 各階層にはボスが出現、こちらも数パターンからランダム。倒すと次の階層へ行ける。
  • 階層間には休憩所があり、キャンプで回復やパーティメンバーの増員、プレゼントを渡すなどできる。
  • 増員できるパーティメンバーも、使用可能なプレイヤブルキャラの中からランダムで選出されたキャラの中から選択する。
  • リトライ回数を使い切って全滅した場合、ストーリーの進行状況、クレジット(ゲーム内通貨のようなもの)、仲間やアイテムの解禁状況、プレゼントと絆のみ引き継ぐ。

バトルはコスト制カードゲーム。ターンの概念はあるが敵味方入り乱れて行動する。

  • コストの範囲内で自由にカードを使用できる。
  • 同一ターン内に同じキャラのカードを複数回使用するとコストが重くなっていく。
  • カードを使用すると待機カウントが進み、カウントが0になった敵がその時点で攻撃してくる。
  • これらの同キャラコスト増やカウントの概念に縛られない『迅速』効果を持つカードもある。
  • ボス戦はギミック的な行動も多い。こちらのデッキに邪魔なカードを混ぜてくる敵や、指定したカードを使わないと大ダメージを与えてくる敵、デバフを仲間内で分散しないといけない敵、中にはこちらの手札をすべて切り落としてくる敵までいる。

ストーリーを追いながら繰り返しプレイし、仲間やアイテムを少しずつ解禁していく中で自分に合った戦い方や探索の流れ、上記したようなボスのギミックへの対処法を見つけ、それに伴ってより奥まで進めるようになる…という形で進行していく。

  • 最初から解禁されているキャラやアイテムが弱く後から解禁されるものが強いということはなく、初心者向けの扱いやすいキャラやアイテムが初期解禁されている。
  • 後から解禁されるキャラの中には強制2人1セットのキャラや、半ば無限ループのようなコンボができるキャラなどクセのあるものが多い。

その他の要素としては集めることでストーリーや世界観をより深く知ることができるアーカイブ、普通のプレイでは満足できない人用のハードモードや各種縛り要素などが用意されている。

 

良かった点

まずはローグライトカードバトル部分が非常によくできており楽しめた。

  • カードバトルではあるが同じキャラのカードを使い続けることが難しい仕様上、パーティの組み合わせが重要なデザインとなっており、いろいろな組み合わせを試すのが楽しい。
  • 上記したようなギミックボスも多いが、ギミックが濃すぎてギミックだけで終わってしまうようにはなっておらず、ギミックは知識で処理しつつ、元々の戦い方をねじ込んでいくことができる。ちょうどいい塩梅。
  • 獲得できるカードがランダムな為、同じキャラを使っても毎回違うデッキになる。繰り返し遊ぶ楽しさに繋がっている。
  • と言ってもある程度カード獲得手段が供給されるため、低排出率のカードが必須のコンボ戦術以外はある程度安定して形になるようになっている。

このゲームの楽しさの大半はこのバトルとデッキ構築部分に集約されている。

  • その点でバトル周りの完成度は非常に高く満足度が高い
  • 強いキャラや組み合わせはあるが、目立って弱いキャラは(おそらく)いない。20名ものプレイヤブルキャラそれぞれに特徴を持たせつつこのバランスが保てているのは素晴らしい。
  • 上記の通りギミックにもこちらの編成を強制してくるようなレベルのものが無く、ある程度自由な組み合わせで遊べる。

ストーリーも特別完成度が高いわけではないが『何度も繰り返しプレイするローグライトゲーム』に絡めた内容になっており、終盤の展開はなかなか楽しめる。

  • ただし後述するが序盤は退屈など問題点も多い。
  • 演出は基本的に絵とエフェクトだけで安っぽさはあるが、意外と臨場感がありよく調整されている。
  • ストーリーに絡むキャラはごく一部だが、それ以外のキャラも焚火でのプレゼントにより会話を楽しめる。
  • ストーリー上は出番が無いキャラでも焚火での会話を進めると本筋に関係する設定が明かされたりもする。この辺りも楽しめる内容になっている。

BGMも非常に好みだった。ボス戦のBGMが豊富に用意されており、かなり盛り上がる。

 

不満点

全体を通して導線が非常に弱い。

  • 序盤は簡単なバトルの説明が入った後はほぼ丸投げ。ある程度『このゲームがどういう遊び方をするゲームなのか』を知っていないと不親切に感じてしまうだろう。
  • カードゲームとローグライトということで専門用語やジャンル的な定番要素が多いのがこの問題に拍車をかけている。
  • シナリオも序~中盤は非常に退屈で、導線としての役割が弱い。後半は思い出したように導線が強くなるが、そのころにはもう導線などなくても良い状態になっている。
  • キャラクターも性能面で最低限の説明はあるものの、ほとんどが性格的にも性能的にも1度連れて行かないとどんなキャラなのかわからない。
  • このため一度お気に入りのキャラや安定してクリアできるパターンができてしまうと他のキャラを使おうという気が起きづらい。
  • 各キャラ解禁時に少しでも会話イベントが発生するなどあれば良かった。

シナリオ面は序盤退屈という以外にも難点がある。

  • ローカライズの問題か、テキストが非常にくどい。
  • 同じような話を何度も繰り返すシーンが多く、退屈さをより強調してしまっている。
  • テキスト主体のゲームではない点を考えるとデモシーンが長すぎる。
  • 夢中になってローグライトカードバトルを遊んでいる時が一番楽しいゲームデザインであり、デモシーンによってプレイを中断する時間が長いというのはノイズになってしまっている。
  • ほとんどの展開が基本的に言いなりで進んでいくため、読まされている感が強い。
  • 世界観はよく練られているが、見せ方が弱かった印象。残念。
  • こういったゲームは最低限のシナリオしかないものも多い中で、このボリュームのシナリオが実装されているのは評価するべきではある。
  • 良かった点で述べたが終盤は楽しめる。それでもテキストはくどいが。

バトル面の完成度は高いが、それ以外の部分で作り込みが甘い。

  • コントローラーに対応しているが操作性がかなり悪い。
  • デモシーンのあとに一瞬マップが映ってすぐに暗転するなどRPGツクール製のようなチープな挙動も見られる。
  • オブジェクトが消失したり、会話イベントがある戦闘が強制終了したりと不具合もチラホラ。

全体的にバトル周りに特化している印象。

  • とにかくバトルが楽しめるかどうかが評価の分かれ目となる。
  • 約4年という長いアーリーアクセスでバトル面の調整は練られているが、導線のような『繰り返し触っていると気にならない部分』の調整がうまくいっていないように見受けられる。
  • バトルの完成度自体は高いが、高難易度モードは全体的に運要素を強化する方向で難易度調整が施されており、本編よりも人を選ぶ。

 

まとめ

とにかくローグライトカードバトルに特化した、遊びごたえのある作品。シナリオや導線など粗も目立ち、かなり人を選ぶきらいがあるものの、バトルにハマれれば時間を忘れて遊び倒すことができるだろう。

低価格ながらバトル面の完成度や中毒性は非常に高い。ローグライトカードゲームが好きな人はぜひ遊んでみてほしい。

 

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