タイトル | Dungeon Antiqua |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | Shiromofu Factory |
満足度 | A(満足。たいていの場合お勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2024年10月13日 |
はじめに
Steamにて図鑑コンプ&裏ボス2ターン撃破までプレイ。
『Shiromofu Factory』開発のレトロ調2Dダンジョンクロウル型RPG。
キャラクターを作成し最大5キャラのパーティを編成、ダンジョンに潜り敵との戦いや宝箱の獲得を経つつ、ダンジョンの最奥を目指していく。
- 拠点となる街とダンジョンを行き来する形でゲームが進行していく。
- 特に序盤は難易度が高く、少し探索しては街に戻って回復…というのを繰り返して進行していくことになる。
- 街では店での買い物、戦闘不能者の回復、キャラクターの作成・削除や転職、パーティ編成等が行える。
- キャラクターメイクでは性別・性格(善・中立・悪)・職業を選択して作成する。
- 職業は初期職4種、上級職4種。上級職はステータス・性格の必要条件を満たした場合に転職できる。
- 性格は決定後にもゲーム中の行動により変化する。人を助ける行動をとれば善側に、人を襲う行動をとれば悪側に変動していく。
- 善のキャラと悪のキャラは同時にパーティに編成できない。
- ダンジョンで入手したアイテムを売却することで、店売りの商品が増えていく。
- ダンジョンは自動生成マップが採用されている。
- セーブデータごとに内部構造が変わり、出入りのたびに宝箱やNPCの配置が変わる。
- 宝箱には罠が仕掛けられている場合もある。盗賊や魔法で看破でき、盗賊がいれば一定確率で解除できる。
- 戦闘はランダムエンカウント方式のターン制コマンドバトル。
- ダンジョン内には回復の泉の他、強制転移や一方通行、毒の沼地等のトラップ、他の冒険者などが多数点在。
- ストーリーは内容・演出共に最低限。バトルと探索を楽しむスタイルのゲームと言える。
- ダンジョンのどこかに隠されている『鍵』を探し出し、いにしえの装備を揃えることがダンジョン探索の主目的となる。
ここまでの説明や公式のゲーム画面を見ていただければわかると思うが、FC時代の『ファイナルファンタジー』と『Wizardry』を合体させたような作風となっている。
- 戦闘画面とキャラクター・ダンジョングラフィックは完全にFC時代の『FF』。キャラメイクや宝箱、所謂ハクスラ的なゲームデザインは『Wizardry』由来となっている。
- 両タイトルをプレイしたことがある人ならスッと遊ぶことができるだろう。
良かった点
『FF』と『Wizardry』を融合させつつ、全体的に簡易的かつ快適にまとめられている。
- 両タイトルを違和感なく融合させ、かつ『Wizardry』側のとっつきにくい部分は簡易化し、手軽に遊べるよう配慮されている。
- 特にアイテム類の『鑑定』の必要が無い点は大幅な簡易化点。筆者的には『ライトにFFとWizardryの融合体を楽しめる』作品だと受け止めているため高評価としているが、本格的に『Wizardry』を遊びたい人には物足りなく感じるかもしれない。
- キャラメイク時のランダムボーナスポイント、蘇生時のキャラロストも廃されている。
- シナリオ演出も最低限に抑えられており、FCライクとしても、ハクスラとしても邪魔にならず好印象。
- ダンジョン内の歩行スピードも速く、宝箱は入るたびに再配置されるがマップ構成自体はセーブデータごとに固定のため道を覚えれば簡単に再探索できる。
- ある程度ゲームを進行すると各階層へのショートカットも解放される。
- 各職業と、男女の組み合わせよってキャラグラフィックが変化する点は、FFとWizardryの親和性が高い点と言える。
- FF由来のサイドビューバトルにより『今の時代にあえてFCドット演出』をより活かせている。
- バトルを繰り返すハクスラ的にも見た目に退屈しなくて良い。
- バトルのテンポも非常に快適。
その快適性により、ハクスラとして非常にテンポが良い。
- 戦う、宝箱を回収する、帰るの流れをサクサク進められる。余計なプレイ時間の水増し要素がほとんどない。
不満点
ボリューム不足。
- 値段を考えれば十分ではあるが、1周当たりのプレイ時間で考えると『Wizardry』ライク・ハクスラとしてはボリューム不足感が否めない。
- 記事のためいろいろ試しながらでも6時間弱でコンプ。
- 良かった点で述べたように非常に快適であるため、とにかくパパッと終わってしまう。
- 自軍側の強さを考えると、もう1段階強いボスがいても良かったかもしれない。
- ただ、前述した通り『ライトにFFとWizardryの融合体を楽しめる』という観点で見ればちょうどいい長さではある。
- どちらかと言えば『職業などの組み合わせを変えて何度も最初から遊ぶ』タイプのデザインなのでその点で見ても適正ではある。
- 余計なプレイ時間の水増し要素がない分、プレイ時間に対する内容の密度はある。
敵の回避率が高すぎる。
- 『Wizardry』リスペクトなのかどうかは定かでないが、とにかく攻撃が当たらない。
- 雑魚にも避けられるし、魔法も避けられる。
- レベルを上げても命中率を上げても敵の回避率を下げても当たらない。
- 敗因のほとんどが『攻撃が当たらなかった』になりがちで、逆に負けた時と同条件でも攻撃が当たればあっさり勝ててしまったりと、戦闘バランスはかなり大味。
- MPを消費するのに当たらない攻撃魔法の価値がやや薄く、攻撃魔法以外で戦闘貢献しづらい魔法使いもやや使いづらい。
その他細かい不満点。
- パーティから外したキャラクターの装備が自動で全て外れてしまう。
- 敵がアイテムをドロップしないのがやや物足りない。
- 善悪の調整が少し面倒。
- テンポの良さから育成が楽なのも手伝って、1から作り直した方が早い場合も。
- 前衛・後衛の人数が3:2で固定のため、(無理をしなければ)パーティ編成の幅はやや狭い。
- この辺りもライトさ、カジュアルさと引き換えか。
- FFとWizardryの融合ではあるが、ゲーム性は(簡易的ではあるが)ほぼWizardry。
- チュートリアルはそこそこ丁寧なものの、Wizardryをまったく知らない場合はやや戸惑うかもしれない。
まとめ
FC時代のFFとWizardryを融合させ、カジュアルに楽しめるようWizardryのとっつきにくい部分を簡略化、全体的に快適調整を施し手軽に楽しめる一本となっている。
ストアページの画像や動画を見てピンと来た人ならほぼほぼ楽しめると思われるが、カジュアルさと引き換えにWizardryらしさをある程度削ってしまっているため、純粋なWizardryライクを求めていると肩透かしに合う可能性はある。
1周あたりのボリュームはやや不足気味なものの、裏を返せば繰り返し遊びやすいという長所でもある。カジュアルなWizardryを求めている人にオススメの作品だ。
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