【Switch】ENDER MAGNOLIA:BLOOM IN THE MIST 感想

エンダーマグノリア タイトル画面 Switch
タイトル ENDER MAGNOLIA:BLOOM IN THE MIST(エンダーマグノリア:ブルームインザミスト)
プレイした機種 ニンテンドーSwitch
メーカー BINARY HAZE INTERACTIVE/Adglobe/Live Wire
満足度 S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。)
要点
  • ビジュアルとBGMによる圧倒的な世界観表現
  • シンプルながら丁寧に作り込まれたシステム周り
  • 長押しスキルがやや使いづらい
  • 余韻感は大きくパワーダウン
執筆日 2025年1月29日

 

 

はじめに

エンダーマグノリア タイトル画面

Switch版にて実績(クエスト)コンプまでプレイ。

幻想的な世界観やビジュアルと骨太アクションで人気を博した2Dアクション『エンダーリリーズ』の数十年後を描いた続編で、ジャンルは前作から変わらず2D探索アクション、いわゆる『メトロイドヴァニア』となっている。

暴走する人工生命『ホムンクルス』によって衰退の一途をたどる世界で、ホムンクルスを救う力を持つ『調律師』の主人公『ライラック』は失った自身の記憶とホムンクルスや世界の救済を求め、広大な煙の国での冒険に身を投じていく。

 

基本システム

  • 仲間になったホムンクルスの力を借りて戦い、探索するメトロイドヴァニア。
    • ホムンクルスの能力は攻撃に関するものだけでなく、特定の壁を破壊出来たり水中で自由に動けるようになったりと探索や移動に関するものまで様々。
    • 攻撃系のホムンクルスはそれぞれが3種類のスキルを習得。切り替えることで同じホムンクルスでも違った攻撃を繰り出すことが出来る。
    • 攻撃スキルは最初からすべて使えるわけではなく、探索で入手できるアイテムを消費して習得していく。同様に強化も可能。
  • 攻撃スキルは制限なく自由に使えるメインスキル、使用後は再使用までに一定の時間を要するリキャストスキル、ボタンを押しっぱなしにしている間攻撃し続けるリピートスキル、独立して自動で攻撃してくれるオートスキルの4つにカテゴリ分けされている。
    • リキャストスキルに関しては前作ではクールタイムに加えて回数制限もあり、使い切ったらレストポイント(回復エリア)に戻らないと再使用できなかったため、前作からの改善点と言える。
  • ストーリーの進行で仲間のホムンクルスが増え、アクションが拡張され、探索できる場所が増え、ストーリーが進む…というのが基本的な流れとなる。

 

成長システム

  • 戦闘を重ねることでライラックのレベルが上がる他、様々な要素で能力のカスタマイズが可能。
    • シェル・左右バングル・エイドの4か所の装備、攻撃系ホムンクルスの内誰のどのスキルをセットするか(こちらも4か所)、コスト制の特殊装備『レリック』が該当。
    • 左右バングルは基礎ステータスの補強。防御力を中心に各ステータスを強化できる。
    • シェルは回避行動の拡張。タイミングよく回避行動をすることで敵に反撃できる『パリィ』のようなアクションが使えるようになる。
    • エイドは回復に関する能力。回復回数の増加や瀕死時に自動で回復、回復時に攻撃力アップなど。
    • レリックはいわゆる各種パッシブ能力。各種攻撃ホムンクルスの火力をアップしたり、獲得できる経験値を増やしたり、受けるダメージを軽減するなど。
  • これらの装備は探索で見つけての入手に加え、本作ではショップでの購入も可能。
    • 前作は生きたキャラクターがほぼ登場しない世界観だったためショップが無かった。

 

ストーリー

  • 前作同様すべてが語られるわけではなく、各仲間ホムンクルス救済時のムービー演出や探索中に入手できるTipsアイテムなどの断片情報からプレイヤーが読み取っていく形式で進行。
    • 前作との繋がりを匂わせる要素もあるが、前作未プレイでも本作だけで楽しめる内容になっている。
  • レストポイントでは仲間になったホムンクルスたちとの会話イベントが発生することもあり、関連のある場所やホムンクルス同士でのやり取りなど、背景描写の補強がなされている。

 

その他

  • 敵との接触ダメージが無くなった。
    • 探索重視のアクションゲームとして重要なポイント。
  • レストポイントでは自由に難易度の調整が可能。
    • イージー、ノーマル、ハードといったプリセットの他、項目ごとにプレイヤーが自由に調整できるカスタム難易度も用意されている。
  • 敵を倒すごとに入手できる『フラグメント』というポイントを利用して、ライラックの衣装(主にカラー変更)、敵含む各キャラクターの詳細データ、設定資料などを購入可能。
    • 獲得できるフラグメントは難易度を上げると増加する。

 

良かった点

幻想的なビジュアルと儚げなBGMによる圧倒的な世界観表現

  • 前作から引き続きビジュアルとBGM周りの完成度が非常に高く、圧倒的世界観表現により高い没入度を誇る
    • 生きたキャラクターがほとんど登場しなかった前作と違い、滅びゆく世界とはいえ生きた人間やホムンクルスが登場する設定を反映してか、ビジュアルの色使いやBGMの雰囲気が前作とやや異なる。違和感はなく世界観を表すのにいい方向に機能している。
    • 雰囲気が違うとは言っても、色数が少ない中で赤や青が強烈に映えるビジュアル、儚く悲し気なメロディのBGMという基本は引き継いでいる。
  • ムービーやTipsによるシナリオ演出も引き続き秀逸で、強力なボスを倒したご褒美感、謎を解いてアイテムを入手した達成感といった感情を刺激しつつ、考察をプレイヤーにゆだねることで没入感を高めている。
  • レストポイントでの会話イベントや、異なるホムンクルスのスキルを同時に使用できるバトルシステムなど、仲間ホムンクルスと一緒に戦っている感の演出もすばらしい。
    • 前作のバトルモーションはどちらかと言えば『怯える少女を護る仲間』という構図で描かれていたが、本作は『少女の意思で共に戦っている』構図で描かれており、この辺りの違いは前作経験者なら見ていて楽しめる要素となっている。

 

シンプルながら作り込まれたシステム周りで触り心地も抜群

  • 操作性や各種モーションなど込みのゲームスピードの作り込みは徹底されており、ゲームを始めてすぐに手に馴染むプレイ感の良さが素晴らしい。
    • 倍速機能などテンポの良さと引き換えに見た目の楽しさを犠牲にする作品も多い昨今、モーションの調整により見た目の楽しさ・美しさとゲーム的なスピード感を両立したちょうどいいバランスになっている。
  • ある程度ゲームを進めるとどこからでもファストトラベルできるようになったり、前作から続投の要素として地図が非常に優秀だったりと便利機能もしっかりしており、ほとんどストレスなく探索を楽しむことが出来る。
    • 隠し通路などの発見難易度は難しすぎず、かといって不必要にゲームテンポを損なわないようにという気遣いが徹底しているように感じられる。
  • 各種アクション追加のタイミングもテンポ良く、飽きさせないようどんどん拡張されていく。
    • アクションの種類も横方向、上方向、下方向バリエーションに富み、それがマップのバリエーションにも寄与していて最後まで楽しくプレイできる。
    • シェル装備によるパリィアクションも操作性と演出の爽快感がよく積極的に使いたくなるものに仕上がっている。

 

全体的に前作からパワーアップしている

  • ボリュームはとんでもないことになっており、『そろそろ終盤かなと思ったらまだ中盤に差し掛かったかどうかくらいだった』レベル。
    • とにかくマップが広く、敵やアイテム、ギミックの配置も充実しているため探索のし甲斐がある。
  • エリアごと、敵毎に有効な攻撃方法が明確に存在し、同じホムンクルス・同じスキルをつけっぱなしにするのではなくプレイヤーが能動的に付け替えながら進行できるように練られた構成になっている。
    • 前作は強力なスキル点けっぱなしでゴリ押すデザインだったため、装備の充実と併せてカスタマイズ要素をより楽しめるようパワーアップしていると言えるだろう。

 

不満点

一部長押し系スキルの使いづらさが目立つ

  • ダッシュ系のスキルや突撃系のスキルの長押し発動の待機時間が長く、この点だけは操作性の良さやゲームスピードを損なう要素になってしまっている。
    • 前作では横方向のダッシュスキルは長押し即時発動だった。
    • 待機時間が長いことを利用したギミックもあるため何とも言えないところではあるが、やはり全体的なテンポへの影響が気になる。
  • 特に中盤から終盤のエリアはマップの広さに対してレストポイントが少なく、必然的に移動距離が長くなるため機動系アクションの使い勝手の悪さが目立つ。
    • 突撃系スキルを多用するマップもあり、探索テンポがかなり悪い。
  • 長押し待機時間を短縮するレリックが存在し、装備すればある程度解消されるものの、装備状態がデフォルトで良いくらいのテンポ感。

 

ストーリーの余韻感はパワーダウン

  • この点はかなり『人による』ところであり、筆者も言語化が難しいところであるが、ストーリーの余韻感は前作よりパワーダウンしているように感じられた。
    • 上記ダッシュ系の使いづらさを除けば全体的に大きくパワーアップしており、プレイ中も間違いなく満足して遊んでいたはずなのだが、プレイを終えた時の余韻は前作の方が圧倒的に強い。と言うか本作は余韻がほとんどなかった
    • 情報開示がやや唐突かつ情報が少ない点であったり、全体的に少々プレイヤーにゆだねすぎた感があり、没入はしているのになぜか入りきれない感が終始感じられ、その影響が大きいと思われる。
  • この余韻感は前作の良さを語る上で重要なポイントだと筆者は感じているため、そこがパワーダウンしたという感情は無視できない。
    • 前作で感じた感動を求めていると、少々肩透かしに感じるかも。

 

その他不満点

  • ストーリー展開のプレイヤーへのゆだね具合からの弊害ではあるが、マップの導線がやや弱い。
    • 次にどこに行くのかがわかりづらく、新たに追加されたアクションで行けるところを総当たりして進んでいくシーンが多くなっている。
    • 『現時点では絶対に届かない箇所』と『頑張れば届くところ』の区別がつかない箇所が見受けられる。
    • タイミングによってはまだ行かなくて良いところに行けてしまうことも。
  • 一部の敵の攻撃の当たり判定継続時間が長すぎる。
    • 多段ヒットして一瞬で戦闘不能になる攻撃が見受けられ、少々ストレス。

 

まとめ

美しく幻想的な世界観を圧倒的な表現力と確かな作り込みでゲームとして楽しめるものに仕上げたハイクオリティなメトロイドヴァニア。

多くの面で前作よりパワーアップしており、それでいて前作とはいい意味で雰囲気を変え、続編として求められる要素を高い水準で満たしている。

ただ、シナリオ周りからの余韻感が弱いという前作プレイ者には決して無視できない問題も抱えており、諸手を挙げて『エンダーリリーズ』の正当な続編と迎え入れられるか、と言われるとモヤっとした気分になるのも事実。ゲーム自体のクオリティに問題はなく満足度Sとしているが、前作が文句なしにSとすれば本作は前作のオマケでギリギリSというのが筆者の正直な感想だ。

とはいえ純国産でここまで丁寧に作り込まれたメトロイドヴァニアは今や貴重で、今後ともシリーズとして展開を続けてもらいたいと素直に感じさせてくれた。

前作経験者やメトロイドヴァニア好きに限らず、すべての2Dアクション好きに遊んでもらいたい素晴らしい作品だ。

 

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