【iOS】学園アイドルマスター 感想

学園アイドルマスター タイトル画面 iOS
タイトル 学園アイドルマスター
プレイした機種 iOS iPhone13/iPad Pro
メーカー QualiArts/バンダイナムコエンターテインメント
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • 圧倒的なクオリティの3Dモデル
  • 遊びやすく改善された快適育成ゲーム
  • 目新しさは全くない
執筆日 2024年5月18日

 

はじめに

学園アイドルマスター タイトル画面

iOS版で現時点で解禁されている要素まで一通りプレイ。

アイドルマスターシリーズ(以下アイマス)新規タイトルの新作スマホゲームで、開発は『IDOLY PRIDE』等のQualiArts、運営はバンナムがそれぞれ担当。

ゲーム内容としては『パワプロ』や『ウマ娘』、アイマスとしては『シャニマス』や『シャニソン』でおなじみの育成ゲームで、ボーカル・ダンス・ビジュアルの3つのステータスをレッスンの選択によって強化していくというもの。

  • 『シャニソン』よろしく、レッスンや試験にはカードバトル要素が盛り込まれている。
  • カードによってパラメータの数字を稼ぎ、規定ターン内にレッスンの場合は一定量を超えられればクリア、試験の場合は他のアイドルより稼げれば勝ち。
  • カードによってはバフ効果を持つものもあるが、『シャニソン』ほど複雑なものにはなっていない。

アイドルは実際に育成する『P(プロデュース)アイドル』と、レッスンの効果を高めたり専用の強力なカードが使えるようになったりといった効果を持つ『S(サポート)アイドル』に分かれている。

  • この辺も『ウマ娘』『シャニマス』『シャニソン』と同様。どれかを触ったことがある人ならすんなり始めることができるだろう。
  • レアリティは高い順にSSR、SR、Rの3段階。
  • 当然ながらこれらは主にガチャやイベントで入手することになる。ガチャはP・S両方ごちゃまぜの闇鍋方式。

最大の特徴は育成したアイドルの能力値に応じて、育成終了後のライブパートの出来が変化すること。

  • 能力値が低いと歌声が安定せず、ダンスもおぼつかなく、表情も険しいものになる。
  • 逆に能力を高く育成できると、歌声が安定し、ダンスも切れが良くなり、表情も柔らかいものになる。
  • グラフィックそのもののクオリティもスマホゲームとしてはトップクラスに高い。そのこだわりは衣装のほつれまで表現されていたり、二の腕や太ももまで揺れているほど。
  • ライブ後半になると汗も流れる。

プレイヤブルキャラは9名。その他主人公のプロデューサー、恒例の事務員ポジションに当たる指南役の先生、ライバルアイドルが数名登場。

  • アイマスシリーズとしてはプレイヤブルキャラの数は少ない。
  • キャラによって『センス』『ロジック』というスタイルが割り当てられている。これにより扱うカードの種類に違いがある。
  • センスでは重複可能な永続攻撃力UP『集中』とダメージ1.5倍の『好調』を組み合わせて一気にパラメータを稼ぐことができる。
  • ロジックは重複可能で毒のように継続ダメージを与える『好印象』と、ややこしいため説明は割愛するが耐久補助の『やる気』でじわじわと稼ぐ戦い方ができる。

その他のコンテンツとしては、非同期型のPvP『コンテスト』や、3Dアニメ風のシナリオ(コミュ)、実装済みの楽曲を自由に聴けるミュージックプレイヤーなどがある。

  • 3Dアニメ風のシナリオシーンは画面の左右をタップすると前のセリフに戻る・次のセリフに飛ぶことができる。
  • 音声はカットされるが倍速再生なども可能。
  • ミュージックプレイヤーに関しては共通曲の『初』以外の楽曲は各キャラのSSRを獲得しないと解放されない

 

良かった点

まずはグラフィック面。2024年リリースのゲームとして恥ずかしくない、既存のスマホゲームと比較しても圧倒的なクオリティ。

  • キャラデザや質感の好みはあるだろうが、単純な作り込みはトップクラス
  • 上記した通り汗をかいたり二の腕まで揺れたり、能力値によってライブの出来が変化したりと、単にクオリティが高いだけでなくこだわりも相当なもの。
  • ライブシーンのダンスも良く動き、『シャニソン』のような不自然さはない。
  • 開発のQualiArtsはサイゲームズと同じCA系列なので、『ウマ娘』の技術も共有されているのかもしれない。
  • 圧倒的クオリティと引き換えに、本作のライブシーンは基本的に1人のアイドルのソロライブとなる。が、その点で物足りなさは全く感じない。

ゲーム面も『シャニソン』の反省を活かしてか、既存のスマホ育成ゲームと比較してかなり遊びやすい調整がされている。

  • スキップや既読文の自動倍速を始め、全体的な操作レスポンスが非常に良く、かなり快適にプレイが可能
  • 初期の『シャニソン』に多く見られた不快な運要素もほぼ排除されている。
  • 育成パートは慣れれば15分程度で終わる。もちろんスマホゲームとしては重い部類だが、快適さのおかげで15分にかかる労力は思ったより小さい。
  • 育成もバトルもかなり直感的に遊べるようになっており、初見でもとりあえずお勧め通りに動けばクリアはできるなど、快適さも併せてとにかく遊びやすくという方向で調整を頑張ったのが伺える。

最終試験やPvPのコンテストでは各ターン毎に参照する能力値が変動するシステムになっている。

  • 例えば1ターン目はダンスの能力値で攻撃力が決まり、2ターン目はボーカル、その後はビジュアル・ビジュアル・ボーカル・ダンス…のように回る。
  • この仕様のため、3つの能力それぞれを均等に鍛えれば毎ターン安定してパラメータを稼ぐことができるが瞬間火力が出しづらくなり、逆に1点に特化して育成し、低い能力値が参照されるターンはバフなどの下準備に費やして本命のターンで一気にパラメータを稼ぐなど、わかりやすい中で戦術性も確保されている。

デイリー・ウィークリーといった所謂『日課』は関連コンテンツの解放まで進行すれば軽い。

  • ただし後述するがその関連コンテンツの解放が遠い。平日リリースなこともあり最初は難儀するかもしれない。

 

 

不満点

まず第一に、新鮮さやこのゲームならではという要素がゲーム的には全くない点。良かった点のほとんどが『既存作品と比較して良くなっている』というものであり、身も蓋もない言い方になるが後発作品である以上当然とも捉えられる。

  • このため、同ジャンルの既存作品をすでにプレイしており、それに時間やお金をかけた人がわざわざこのゲームに乗り換えるかというと怪しいところ。
  • プレイフィールは完全に『ウマ娘』。BGMまで『ウマ娘』感が漂っている。
  • ただし、多くのスマホゲームが『後発作品である以上当然』の出来にすら届いていないことを考えると、このクオリティでリリースできただけ凄いとも考えられる。

長く遊ぶ前提のスマホゲームとして見ると、育成ゲームとして遊びやすく改善されていることや、グラフィックが優れていることが良い方向に作用していない。

  • もちろん遊びやすく改善されていることそのものは長く遊ぶという視点で良いことではあるが、そもそも育成ゲーム自体がスマホゲームとして長く遊べる人が限られるジャンルである。
  • グラフィックに関しても能力値によってライブの出来が変わると言われても、それを毎日見たいかと言われると…。
  • 力を入れている部分が継続率や課金率に繋がってこなさそうに見えるのは運営型タイトルとして不安要素になる。

既存タイトルのブラッシュアップ版にしかなり得ておらず、どの層を狙ってどのように売り出していこうとしているのかわからない。

  • 上記した通り似たジャンルの既存タイトルをプレイしている人が乗り換えるかどうかは微妙なところ。
  • アイマスとしてもリズムゲームの『デレステ』『ミリシタ』、そして似たような育成ジャンルである『シャニマス』『シャニソン』とプレイ感重めの作品が並んでおり、いずれとも掛け持ちは厳しそうである。
  • こういったプレイ感重めのスマホゲームは最初こそ楽しめるものの、同ジャンルの作品が増えるにつれだんだんと『もういいや…』となっていく。かつてのスマホ音ゲーもジャンル内で食い合った結果寿命を縮め『音ゲーはもういいや…』となったものである。
  • 既存タイトルのブラッシュアップ版であり、新規タイトルとはいえアイマスを名乗っている以上、新規も見込めるかは怪しい。
  • 差別化点と思われる『学園』要素も現状はたいして機能しておらず、差別化になっていない。
  • そもそも同じアイマス内で僅か半年前に『シャニソン』をリリースしたばかりであり、企業態度を疑う。
  • 今の時代にこのゲーム内容でPC版が無いのもかなり痛い。

育成ゲームとしては非常に遊びやすく作り込まれているが、スマホゲームとしては細かい不満点がチラホラ。

  • 基本は縦持ちだが、ライブなどのムービー時は横持ちに切り替わる。特に序盤は頻度が高くかなり鬱陶しい。
  • インターフェースは操作性自体は悪くないものの、オシャレさ重視でやや散らかっている印象。
  • 起動から操作可能になるまでがやや長い。
  • デイリーやウィークリーに関連するコンテンツの解放が遅すぎる。

全体的に、ゲームそのものではなくスマホゲームとしての不満点が目立つ印象。

 

まとめ

スマホの育成ゲームとしては遊びやすさを重視した高水準の完成度を誇り、グラフィック面でもスマホゲーム最高峰のキャラグラフィックとこだわりのライブシーンを楽しむことができる。

間違いなく優れた作品ではあるが、これが長く売れ続けるかというと…バンナム運営なのも相まって微妙なところ。今後限定アイドルやイベントランキングなどでインフレしていった際にどれだけのユーザーが着いていけるかはかなり不安である。

  • この出来でも将来不安というのがスマホゲーム市場のヤバいところである。
  • 少なくとも初動は良さそうなので、何とかうまく繋いでいってほしいところ。

全体的な出来自体は現状のスマホゲーム界隈でトップクラスだと思うため、惹かれるものがあればプレイしてみてほしい。

 

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