はじめに
1996年にゲームボーイで第一作を発売して以降、現2024年まで常にヒットを続け、日本のコンテンツの中でもひときわ大きな存在となったポケットモンスターシリーズ。
それだけヒットすれば当然、ポケモンの真似をして2匹目のドジョウを狙う者が多数出てくるもので、つい数か月前にも『パルワールド』が大きく話題になりました。
それでも最近は露骨に影響を受けたタイトルはあまり出てこなくなり、特にバージョン分け商法を真似る作品はほぼほぼ見られなくなっています。
しかしゲームボーイで第一作が発売された当時は、『パルワールド』なんて目じゃないくらい露骨なポケモンフォロワーが多数登場し、2匹目のドジョウ枠を競い合っていました。筆者も当時はそんなポケモンフォロワーゲームを多く遊んできました。
その中でも取り分け、当時刊行されていた児童誌『コミックボンボン』とタイアップしていたものを『ボンボン系ポケモンフォロワー』と称し、筆者の思い出やシリーズの歴史を紹介していきたいと思います。
メダロット
1997年11月28日 | メダロット カブト/クワガタ(GB) |
1998年3月20日 | メダロット パーツコレクション(GB) |
1998年5月29日 | メダロット パーツコレクション2(GB) |
1999年5月4日 | メダロット パーフェクトエディション カブト/クワガタ(WS) |
1999年7月23日 | メダロット2 カブト/クワガタ(GB) |
1999年10月29日 | メダロット2 パーツコレクション(GB) |
1999年11月25日 | メダロットR(PS) |
2000年3月10日 | メダロット カードロボトル カブト/クワガタ(GB) |
2000年3月16日 | メダロットR パーツコレクション(PS) |
2000年7月23日 | メダロット3 カブト/クワガタ(GBC) |
2000年11月24日 | メダロット3 パーツコレクション Zからの超戦場(GBC) |
2001年3月23日 | メダロット4 カブト/クワガタ(GBC) |
2001年9月7日 | メダロット・ナビ カブト/クワガタ(GBA) |
2001年12月14日 | メダロット5 すすたけ村の転校生 カブト/クワガタ(GBC) |
2002年7月19日 | メダロットG カブト/クワガタ(GBA) |
2002年12月25日 | メダロット弐CORE カブト(GBA)(コミックボンボン誌上先行販売) |
2003年4月18日 | メダロット弐CORE カブト/クワガタ(GBA) |
2003年11月28日 | メダロットBRAVE(GC) |
2004年12月16日 | 真型メダロット カブト/クワガタ(GBA) |
2010年5月27日 | メダロットDS カブト/クワガタ(DS) |
2012年9月13日 | メダロット7 カブト/クワガタ(3DS) |
2013年11月14日 | メダロットDUAL カブト/クワガタ(3DS) |
2014年8月28日 | メダロット8 カブト/クワガタ(3DS) |
2015年12月24日 | メダロット9 カブト/クワガタ(3DS) |
2016年3月10日 | メダロット ガールズミッション(3DS) |
2017年12月21日 | メダロット クラシックス カブト/クワガタ(3DS) |
2020年1月23日 | メダロットS(スマホ) |
2020年11月12日 | メダロット クラシックス プラス カブト/クワガタ(Switch) |
青字は筆者のお気に入りタイトル。
1997年に第一作が発売。おそらく純粋にポケモンのヒットから生まれた作品の中では一番有名かと思います。今回紹介するポケモンフォロワーの中でもっともシリーズ作品数が多く、唯一の(一応)今でも展開が続いているシリーズです。
メダルで動くロボット、略してメダロットを集めて、育てて、戦う要素が主軸になっています。ほとんどの作品がカブト・クワガタの2バージョン展開となっており、バージョンによって初めて手に入れるメダロットなど登場するメダロットが異なり、通信機能を活用しないとコンプリート出来ないようになっているのはポケモンと同様です。
明確にポケモンフォロワーでありながらも、ロボットそのものではなくメダルが成長するシステムであったり、2作目からはアニメ展開と併せてストーリーやキャラクター性に力を入れていたり、作品によっては恋愛要素とそれに伴う分岐要素があったりと、かなり独自の要素を組み込んだ作品となっています。この作品で男の娘に目覚めた男子も多かったとか…
特に1作目は戦闘中の風向きだったり後継作との熟練度と行動の仕様の違いなど、粗削りながらもかなり作り込まれており、ただのポケモンフォロワーで終わらない魅力…というかクセがあったと言えるでしょう。その分複雑で子供のころには理解していない部分が多かったです。
またポケモンで言うところのマイナーチェンジ枠として『パーツコレクション』というタイトルが登場します。これは拡張キットという扱いで、本編とは全く異なる内容でカブト・クワガタ両方のすべてのパーツとメダルが入手できるというものでした。一作目が限定販売で、親に無理を言って買ってもらった記憶があります。3作目で打ち切られてしまいますが、個人的には好きでした。今ならDLCとしてやりそうなことをこの時代にやっていたというのがすごいですね。
この『パーツコレクション』があったからか、当時のポケモンフォロワーゲームとしては珍しく、イベント限定配布キャラが存在しないシリーズです。(パスワード限定メダロットは存在します。当時TVCMやキャンペーンで配布されていました。)このため今プレイしても頑張れば全メダロットを入手できます。(五作目は除く)
表を見てもらえばわかると思いますが、『イッキ編』と呼ばれる2作目から4作目、新章に当たる5作目辺りまではメディアミックスの展開に合わせてかなり速いペースでリリースされています。いくらゲームボーイとは言え、半年も経たないうちにポンポンと新作がリリースされており、人気は高いですが実際のゲーム内容は開発期間の短さゆえの粗や使いまわし、調整不足も目立ちました。
5作目なんかは未完成でリリースしたと思われる点が多々あり、今と違って後からアップデートで追加・修正するようなことも出来なかったため、今でも謎の多い作品となっています。戦闘バランスをはじめとして、完成している部分に関してはかなり出来が良いだけに、もったいない作品です。
ちなみにカードゲームも展開されていました。初期のものと中期以降のものでルールやカードデザインが異なります。初期の方のカードゲームはGBでゲーム化もされました。筆者は初期のほうのみ集めていて、デザイン変更後のカードはほとんど集めていませんでしたが、今見ても初期の方が見た目もルールもいかにも『カードゲーム』と言った感じですね。
漫画版も多数展開されました。ゲーム版の原作者やメダロットデザイナーでもあるほるまりん氏によるナンバリングタイトルの漫画版、同じくメダロットデザインを手掛ける藤岡建機氏の『メダロッターりんたろう』シリーズ、前述したカードゲームのうちデザイン変更後のものを題材にした舵真秀斗氏の『男!度胸メダカードファイターズ』など。
ほるまりん氏による漫画版は子供向けとするにはやや小難しい作風でしたが、それが一層メダロットシリーズの魅力を引き立てていました。逆に『メダロッターりんたろう』シリーズは比較的わかりやすい子供向け&お色気といった感じで少年漫画らしい魅力があり、どちらも楽しんで読んでいました。
そんなこんなですが、メディアミックス展開の軸となっていた『コミックボンボン』の陰りと共にシリーズの展開も一時停止し、6作目までかなり間が空きました。
久しぶりの新作となるその6作目はリメイクなどを除いた本編シリーズとしては8年ぶりの新作となり、広告もそこそこ力を入れて認知度、期待度共に盛り上がっていましたが、肝心の出来が正直かなりイマイチ…というか、個人的には次作の7と並んでワースト1くらいの出来となっており、8年ぶりの復活は盛大にコケる結果となってしまいます。
その後7作目~9作目まで精力的にリリースされましたがどの作品も予算不足か技術不足かセンスの問題か、絶妙な完成度の低さとバグで評価も売り上げも落としていき、迷走の果てにお色気に走った『ガールズミッション』を最後に、コンシューマ向けの新作展開はストップしています。個人的には9作目はもう少しちゃんと作っていれば名作になり得たと思っています。
その後は過去作のコレクション作品をリリースし、今はスマートフォン向けアプリゲーム『メダロットS』がサービス展開中であり、非常に息の長いシリーズとなっています。
今なお展開が続いているとはいえかつての栄光から衰退した理由として個人的には、粗製乱造的にリリースを早めすぎた点、コミックボンボンの衰退等によりメディアミックスも途絶えた点、GBAの時代に子供向けで通信機能を活かしたゲームの人気がロックマンエグゼに移ってしまった点、復活の大チャンスだったDSであまりにも盛大にコケた点、その後もクオリティを改善できなかった点、ナンバリングしてしまった点、戦闘テンポの悪さ、カブトクワガタに拘り過ぎてマンネリ化を避けられなかった点辺りが考えられます。
ゲームボーイ時代の独特なノスタルジックさであったり、ポケモンとはまた違ったキャラクターの見せ方だったり、ポケモンのヒットから出てきた作品ではありますが、ポケモンとは違った方向で独自の魅力を築いた作品であり、まぎれもない名シリーズです。
ニンテンドーSwitchでGBシリーズの主要タイトルをまとめたコレクション作品が遊べるため、気になった方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
オススメタイトルピックアップ紹介
メダロットパーフェクトエディション カブト/クワガタ
ワンダースワンで発売された唯一のメダロットで、初代メダロットに様々な追加要素を加えた完全版です。
グラフィックを中心に演出面が大幅に強化された他、原作のGB版で問題になっていた一部のストーリー導線の弱さや店売りパーツのバランス調整が行われ、それに伴いいくつかの追加イベントも用意されています。
原作で入手が難しかった通信必須機体も多くが通常入手可能に。とはいえこの点は原作GB版を収録したコレクション作品でも改善されているため今からプレイする場合は大きなメリットにはなりませんね。
メダロットに限らずワンダースワンのソフトとしてもおすすめの良作ですが、ワンダースワンというハードゆえに今からプレイするのはなかなか難しい作品です。
環境がある方にはぜひ遊んでもらいたい作品です。
メダロット クラシックス プラス カブト/クワガタ
GBの初代~5までの本編、GBAの弐CORE・ナビ・Gの全8タイトルを収録したコレクション作品です。どこでもセーブや倍速モード、戦闘のスキップなど便利機能も搭載されており、今からメダロットに触れるならこの作品が1番ですね。倍速モードや戦闘スキップのおかげでメダロットシリーズ最大の難点であるテンポの悪さが気にならないのが素晴らしいです。
各タイトルのクリア後に通信をせずとも全パーツ入手状態にできるなど、『当時プレイしたけどコンプまではできなかった』人も楽しめる仕様が嬉しい…のですが。
難点はせっかくすべてのパーツが入手できるのにメダルの入手機能が無い点と、各パーツコレクションや上記したパーフェクトエディションが収録されていない点。特にメダル入手に関しては、せっかく入手できないパーツ・メダルが多かった5やナビにおいて救済策とも言える機能なのに肝心のメダルは結局揃わないため非常に残念です。2や3においても、パーツコレクション限定のメダルがあるためそれらの入手手段が存在しません。
メダルコンプまで1つのソフトで出来てしまうとバージョンの意味がほぼなくなるとはいえ、せめて本編だけでは入手手段が存在しないメダルだけでも入手できるようにしてほしかったですね。とは言えそれ以外は特に問題を感じないので、純粋に今からメダロットで遊んでみたいという人には最適なタイトルだと思います。
と思わなくもないですが、遊びやすくてお勧めです。
ナンバリングタイトルのストーリーを追うだけでもかなり楽しめるのではないかと思います。
ロボットポンコッツ
1998年12月4日 | ロボットポンコッツ サン/スター(GB) |
誌上通販 | ロボットポンコッツ ボンボンスペシャル(GB) |
1999年12月24日 | ロボットポンコッツ64 ~七つの海のカラメル~(N64) |
1999年12月24日 | ロボットポンコッツ ムーン(GB) |
2001年9月13日 | ロボットポンコッツ2 リング/クロス(GBA) |
青字は筆者のお気に入りタイトル。
1998年に第一作目が発売。略称はロボポン。こちらもロボットを題材にしたポケモンライクゲームで、同じくコミックボンボンで漫画版が連載されていました。やはり少年=ロボットみたいなイメージなんでしょうか。漫画版の女性キャラの超乳ぶりは今でも語り草になっています。
メダロットとはまた違ったロボットものになっており、装備するソフトの組み合わせで使える技が変化したり、通常のコマンドバトルの他にミニゲーム的なバトルが数種類用意されていたり、簡易的ながら会社経営要素があったりと、こちらも差別化のために様々な工夫がなされています。
一番の特徴はソフト本体に内蔵された電池による時計機能で実際の時間と連動してゲーム内イベントが発生する仕組みでしょう。ポケモンも金銀で時計機能を実装しましたが、それに先駆けて採用していました。時間になると内蔵スピーカーからアラームが鳴って知らせてくれる機能も搭載されており、この機構のためにソフトがかなり縦長で本体から飛び出るのが印象的でした。
赤外線通信にも対応しており、テレビのリモコンで進化したり、制限は多いですが無線通信できたりと当時としてはなかなか先進的で、気合の入ったタイトルだったことが伺えます。
ストーリーも一部を除くキャラデザインも今思うとかなり酷いんですが、子供のころはあまり気にせずプレイしていた記憶があります。コミックボンボンで連載されていた漫画版の方はストーリーがかなりアレンジ・補完されており、こちらも読んでいたのが楽しめた要因かなとも思います。
タイアップしていたコミックボンボン誌上で『ボンボンスペシャルバージョン』の限定販売も行われました。サン/スターの内容に加えてボンボンの他作品とのコラボイベント等が追加された、ポケモンのピカチュウバージョンに当たる作品です。こちらもメダロットのパーツコレクション同様、子供のころの筆者は親に無理を言って以下略。
さらにこの『ボンボンスペシャルバージョン』の内容からボンボン要素を一般向けに再構築して通常販売した『ムーンバージョン』も発売されました。この作品は同時発売の64版に登場するロボポンも含めてほぼすべてのロボポンをソフト1本で入手でき、ポケモンライクゲームでありながら通信の存在意義が問われるタイトルでした。しかも64版からの追加ロボポンはほとんどが既存の機体よりも圧倒的に強く、この辺りのキャラクターの扱いというのはポケモンフォロワーの中でもちょっと雑さが目立ったかなと思っています。
また、イベント限定配布キャラが存在しますが、ポケモンのミュウやセレビィのようにソフト内に元からデータが入っているわけではなく、追加データとして配布されたためチートやバグを使っても入手できず、昔の作品、しかもバッテリーバックアップの時代のゲームのため、当時イベントで受け取ったうえで今でもデータが残っているソフトはほぼ存在しないと思われます。持っている人はメチャメチャ貴重だと思うので大切にしてあげてください。
GBAにてロボットポンコッツ2が発売されますが、一作目が『ヘンテコな部分は多いけど尖った魅力もあるゲーム』だったのに対し、二作目は『ただのヘンテコなゲーム』になってしまった印象です。様々な部分が改修され、良くなった部分も多いんですが、それ以上に悪くなった部分が目立ちました。
大きな問題として、一作目ではポケモンで言うモンスターボールのように磁石を使って野生のロボポンを捕獲できたんですが、64版や2作目はそれができないんですね。おそらくポケモンとの差別化を図ろうとしたものと思われますが、この手のゲームの面白さって『捕まえて育てる』ことが根底としてあるので、その点が弱くなったのは残念でした。
磁石の代わりにロボポンを入手する手段として導入された要素にも問題が多く、通信機能を使ってほしすぎて通信限定ロボポンがかなり多いうえに、人気機体が軒並み通信限定にされており、ソロプレイだとろくなロボポンを揃えられないのが評価を落とした大きな理由だと思います。
また、メダロットはリリースが早すぎた作品でしたが、こちらは逆にリリースが遅すぎたかなとも思います。マイナーチェンジに当たるボンボン・ムーンでは人気を繋ぎ留められなかった感がありますし、そのムーンからも間が空いての二作目だったため、ボンボンの衰退と併せて子供たちの関心は他に移ってしまっていた…という結果になってしまいました。
非常に癖が強く、ゲームとしては決して面白いとは言えないシリーズではありますが、少なくとも1作目はコミカライズも含めて尖った魅力を持つ作品であり、ただのポケモンフォロワーとして埋もれてしまうにはもったいないタイトルです。
移植等もされておらず今からプレイするのはなかなかハードルが高いですが、環境がある方はぜひ遊んでみてください。また漫画版は電子書籍で復刻販売されているため、こちらも併せて楽しんでみてはいかがでしょうか。
ちなみにこのシリーズもカードゲームが存在しましたが…原作ゲームすらマイナーなのでそのカードゲームとなると本当に誰も持っておらず、筆者もスターターセットを買ったのみで集めも遊びもしなかったためよくわからないです。
オススメタイトルピックアップ紹介
ロボットポンコッツ ボンボンスペシャル
コミックボンボン誌上で限定販売されたバージョンです。名前の通りタイアップを前面に押し出した追加要素が加えられており、特に一部ロボポンのデザインが漫画版デザインになっているのが気に入っています。続編の2でも漫画版デザインは登場しますが、ゲーム性が…ね。
追加要素がボンボンを購読している人には喜ばれる内容でまとまっており、非常に満足度の高い限定版でした。起動時のデモムービーでオリジナルデザインのロボポンが漫画版デザインのロボポンに交代するバトルシーンが流れ、とてもかっこいいです。
完品だとそれなりの値段になるため、ボンボン要素に特にこだわりが無ければほぼ上位互換のムーンバージョンのほうが良いでしょう。
それでも不思議な魅力を感じてしまうゲームなんですよね。
漫画版の功績が大きいとは思いますけども。
ロボットポンコッツ ムーン
上記ボンボンバージョンの追加要素をコラボ無しの一般向けに調整し、さらに64版に登場する新ロボポンを追加実装した初代ロボポンの完全版ともいえるバージョンです。
元々バランスが良いゲームではないとはいえ、新ロボポンをはじめとした一部の機体があまりにも強すぎて完全にバランス崩壊していますが、当時の筆者はもう4周目のプレイだったためサクサク進められて逆に良かったです。
このソフト1本でほとんどのロボポンを入手できるため、今から遊ぶならこれがお勧めです。
最初のうちは家族がインターホンの音と間違えてました。
いい思い出です。
真・女神転生デビルチルドレン
2000年11月17日 | 真・女神転生デビルチルドレン 黒の書/赤の書(GB) |
2001年7月27日 | 真・女神転生デビルチルドレン 白の書(GBC) |
2002年3月28日 | 真・女神転生デビルチルドレン 黒の書・赤の書(PS) |
2002年11月15日 | 真・女神転生デビルチルドレン 光の書/闇の書(GBA) |
2003年7月25日 | 真・女神転生デビルチルドレン パズルdeコール!(GBA) |
2003年9月12日 | 真・女神転生デビルチルドレン 炎の書/氷の書(GBA) |
2004年11月4日 | 真・女神転生デビルチルドレン メシアライザー(GBA) |
2011年7月13日 | 真・女神転生デビルチルドレン(フィーチャーフォン) |
青字は筆者のお気に入りタイトル。
タイトルの通り、アトラスの有名シリーズ『女神転生』シリーズを子供向けにアレンジしたシリーズです。こちらもコミックボンボンでコミカライズが連載されていました。ボンボン、ポケモンに対抗しすぎだろ…。
ポケモンフォロワーといえば『集めて育てて戦う』ですが、女神転生シリーズは元々悪魔を集めて合体させて戦うゲームなので、厳密にはポケモンから生まれたとは言えないかもしれません。とはいえ子供向けにアレンジし、バージョン分け商法や携帯機による通信プレイをフィーチャーしたという点は紛れもなくポケモンのヒットを受けてのことなので、ポケモンが無ければ生まれなかったタイトルと言えるでしょう。
子供向けの可愛らしいデザインの悪魔たちは非常に魅力的で、当時あまり子供に浸透していなかった女神転生の名を子供たちに知らしめた功績は大きいでしょうね。
1作目は黒の書/赤の書で、バージョンによって入手できる悪魔だけでなく主人公まで違いました。主人公が違うことで、シナリオもそれぞれの視点で描かれており、バージョンによって通る道筋が違ったりします。また、女神転生シリーズのキモとも言える悪魔合体のシステムもバージョンによって異なり、基本的なシステムや大まかなシナリオの流れは同じながらも、全く異なるゲーム体験ができるという点で、積極的にバージョン分け商法を活用していたと思います。
また、子供向けではあるもののシナリオはしっかり『女神転生』らしいものになっており、シナリオが薄い作品が多いポケモン系ゲームの中ではかなり楽しめます。持ち込み企画だったらしいのですが他にも2バージョンほど作れるくらい練り上げられた設定があったらしく、そのあたりがシナリオの楽しさに繋がっているのでしょうね。
翌年には2作目の白の書が発売されます。この作品は黒/赤の書の続きの物語として、主人公も新キャラクターになり新たなデビルも多数追加、マップもシナリオも新規に作られた新作です。
1バージョンでの発売だったため、前作黒/赤でバージョンごとに分けられていた悪魔合体のシステムがソフト単体ですべてできるようになっており、新たに赤外線通信を使用した合体が追加されたり、前作より多くの悪魔をソフト単体で入手できるようになっていたりと非常に豪華な作品でした。
漫画版も当然コミックボンボンで連載。黒の書を基本にした展開を中心にしつつもオリジナル色が濃く、児童誌のレベルをはるかに超えたシリアスさで子供ながらに衝撃を受けた記憶があります。ちなみに黒/赤のアニメも放送されていましたが、こちらは漫画版と違いいかにも子供向けといった感じで、当時はゲームや漫画版の印象が強かったためかなり違和感を感じ途中で見るのをやめてしまいました。特に黒の書主人公はゲーム版とアニメ版で印象が全く違い、子供のころは受け入れられませんでした。
カードゲームも展開されました。漫画版の作者のイラストを使用したカードをはじめとして全体的に当時のゲーム原作カードゲームとしてはイラストに力が入っていた印象で、今見てもカッコイイカードが多いです。周りに遊んでいる人が全くいなかったためプレイしたことはないですが、コレクション目的で集めていました。
その後は初代である黒/赤の書を1本にまとめて追加要素を加えたPS版が発売。新デビルやアニメ準拠のボイス追加などが行われた作品ですが、こちらもアニメ準拠の声優のため黒の書主人公の違和感がすごかったです。演技自体は素晴らしいんですが…ロードも長く、正直なところGB版のほうがお勧めです。
その後ハードをGBAに移し、登場キャラクターを一新した完全新作である光/闇の書と、その続編である炎/氷の書がリリースされました。ゲームシステムとしてはGB時代のものを踏襲し、バージョンによる主人公やシナリオ視点の違い、登場デビルや合体方法の違いなどはそのままに、真デビルが多数追加されたり、戦闘で3体のデビルを使用できるようになったりとパワーアップしています。
なのですが、それ以上にGB時代の魅力であった『子供向けながらもメガテンしてるシナリオと深く魅力的な設定』は大幅にパワーダウンしてしまい、GB時代の作品が『子供向け女神転生』だったのに対してGBA時代は『子供だましのデビルチルドレン』になったと筆者は感じています。シナリオ周りが弱くなったことでキャラクターの魅力もあまり感じられませんでした。
また、ゲームシステムも全体的にGB時代を踏襲しつつパワーアップしてはいるのですが、当時水準でも面倒な移動周りであったり、合体関連の不親切さ、戦闘バランスの悪さや女神転生の醍醐味である交渉が簡素すぎる点などGB時代の問題点もほぼそのまま残っています。
漫画、アニメ、カードも光/闇の書基準のものが展開されましたが全体的にGB時代のものより軽めの作風になりました。番外作品としてパズルdeコール!とメシアライザーの2本も発売されるも、こちらもミニゲームの趣が強く、ゲームとして普通に遊べる内容ではありますが『デビルチルドレンのゲーム作品』としての魅力はあまりないです。
と言ったところで上記した番外タイトルであるメシアライザーを最後に、シリーズの展開はストップします。光/闇の書を除いたGBA作品は出荷数が少なかったのか現在はやや高騰しており、特に炎/氷の書の完品はかなり高値になっています。余談ですが、逆に光/闇は生産しすぎたらしく大量に余り、当時球場で野球観戦の来場者に無料で配布されたそうです。当時はそんなこと知りませんでしたが。
シリーズの展開が止まったおよそ7年後、フィーチャーフォン向けにGREEのアプリ(のちにモバゲー版も)がリリースされますが、筆者は最近まで存在も知りませんでした。現在はサービス終了しています。この頃は筆者もフィーチャーフォン向けアプリゲームを普通に遊んでいたため、それで知らないということはおそらく広告にあまり力を入れていなかったのかなと推察していますが、当時知らなかったうえに今も情報がほとんど残っていないため知る由もありません。知っている人(当時遊んでいた人)、いたら教えてくださるとうれしいです。
ポケモンフォロワーとしてはシリアス寄りな作風でコアなファンを獲得したにも関わらず勢いを落とした要因としては、白の書から光/闇の書までやや間が空いてしまい世代交代がうまくいかなかったこと、その間に子供向け通信要素強めゲームの関心がロックマンエグゼに移ってしまったこと、特にGBAへの移行で期待されていたほどゲーム性の進化が無かったこととそれに伴うマンネリ化、ファンは成長していくのに反してゲーム側は子供向けにシフトしていったことなどが考えられるでしょうか。
今はペルソナシリーズのヒットによってポップ寄り女神転生がヒットしやすそうな状況なので、贔屓目で見る前提ですがうまいこと作れば復活できそうなシリーズなのかなと思っています。倍速機能や通信限定要素の緩和を設けたコレクション作品のリリースくらいは望みたいのですが、現状気配はなさそうです。
オススメタイトルピックアップ紹介
真・女神転生デビルチルドレン 白の書
GB時代の2作目です。黒/赤の続編のため黒/赤を遊んだことがある前提ではありますが、筆者としては1番楽しめたタイトルです。
記事内で紹介した通り、すべての合体がソフト単体で楽しめることや登場デビルの多さが魅力です。デビルの数だけならGBA作品のほうが当然上ですが、やはりシナリオが足を引っ張るためどうしてもGB時代の作品の方を推してしまいます。
なお、シリーズで唯一この作品だけはイベント配信限定デビルが存在します。ロボットポンコッツの方と違いデータは入っているためチートで入手することはできますが、やはり正規入手のデータはかなり貴重でしょう。正規入手のデータが残っている方は大切にしてください。
また、クロダンシャクというデビルは設定ミスか入れ忘れか、それともまだ発見されていないだけなのか、現在も入手方法が不明となっています。没データの消し忘れという話もあるものの、攻略本の図鑑欄にも載っていてカードゲームでも登場していたのでさすがに没ではないと思うのですが、真相は不明です。
今やると当然GB作品故の『しょぼさ』みたいなものは感じてしまいますし、上記した通り正規の方法ではコンプリート出来ないとはいえ、デビルチルドレンとしての完成度はこの作品が1番だと個人的には思っています。
高騰しすぎているのでさすがにお勧めしかねます…。
白の書は当時の全パートナーデビルを連れまわし可能だったり、
周回プレイも出来たりとボリュームもバッチリです!
携帯電獣テレファング
2000年11月3日 | 携帯電獣テレファング パワー/スピード(GB) |
2002年4月26日 | 携帯電獣テレファング2 パワー/スピード(GBA) |
青字は筆者のお気に入りタイトル。
スマイルソフト(現在はメダロットのロケットカンパニーに吸収合併されたらしい)開発のポケモン風ゲームで、タイトルの通り携帯電話をテーマにした作品です。モンスターボールのような道具で捕獲する形式ではなく、バトルで勝利して電話番号を交換するという形で仲間を増やしていくのが特徴です。
購入特典としてGBに装着するアンテナが付属しており、ゲーム内で電話がかかってくると連動してアンテナが光るようになっています。無くてもプレイできるのでフレーバーアイテム的な感じですが、『GB本体の通信コネクタに装備する』『光る』というのは子供心によく刺さっており、気に入ってました。
アンテナの説明で少し触れましたが、このゲームはプレイ中、電話番号を交換した仲間から電話がかかってきます。電話の内容はモンスターの進化条件や世界観の補足説明からどうでもいい小話まで様々です。通話すると親密度が上がって戦闘で有利にもなり、携帯電話を題材にしている以上大きな特徴と言えるシステムなのですが…正直これが鬱陶しいんですね。
かなりの頻度で掛かってくるためすぐに飽きますし、全ての着信に対応しているとテンポがかなり悪いです。さらに2作目では電話に出ないと仲間から愛想を尽かされなんと勝手に電話番号を削除されてしまいます。
ポケモンで言うとボックスに預けておいたポケモンが勝手に逃げだしているようなものであり、さすがに勘弁してほしいシステムでした。記事を書くにあたって久しぶりに再プレイしてみましたがやっぱり鬱陶しくて番号消されまくりました。
携帯電話周りのシステムでもう一つ難点がありまして、本作のバトルは連れ歩いている仲間1匹以外は電話で都度呼び出している設定になっています。このため、仲間の生息地から戦闘が発生した場所までの距離で呼び出せるのにかかるターン数が変化します。
雑魚敵もそれなりに強いため、すぐに駆け付けてくれないと連れ歩いている仲間がボコボコにされます。しかし育てたお気に入りの仲間は生息地が遠く到着まで2ターン掛かります…なんてことになるため、仲間は基本現地調達。お気に入りの仲間を育てて使い続けるよりも現地人を集めたほうが戦いやすく、ポケモン系ゲームなのに仲間に愛着を持ちづらいという大きな難点になっていました。2作目では上記の通り電話を無視していると容赦なく番号が消されていくため、より仲間を使い捨てて乗り換えていく感が強くなっています。
ダンジョンが広すぎるのも辛かったですね。この点も2作目のほうが強化されているように感じました。敵とのエンカウントが1作目はランダム、2作目はシンボルなんですが、ダンジョンの広さのわりに通路は狭く、シンボルを避けられる場面がほとんどないためどちらもエンカウント率は高めです。
個人的な感想ですが、全体的にモンスター(電獣)のデザインが『カッコイイとカワイイを足して2で割ったものにキモイをかけた』感じなのも問題です。バージョン限定のパートナー電獣など一部の電獣はカッコイイ、カワイイの子供受けしそうなデザインになっているのですが、全体的にはちょっとどこ向けなのかわからないデザインが多かったです。属性が見た目でわかりにくいのもデザインの問題点だったと思います。
とはいえ携帯電話を題材にしたゲーム性は1作目当時としては魅力的で、ゲーム内でオリジナルの着信メロディを作れたり、GBのゲームとしてはイベントスチルなど演出面でも頑張っていたりと見どころも多い作品でした。コミックボンボンで連載されていた漫画版も絵が可愛くて好きでしたね。
なにより『捕獲』するのではなく『電話番号を交換して友達になる』という設定が子供心に熱いものがあったのを記憶しています。2作目では友達いなくなりますけども…
ということで、筆者的には2作目が非常に不評です。1作目で難点だったダンジョンの広さと移動の不便さ、電話の鬱陶しさが2作目で解消されるどころかひどくなっており、さらに戦闘中に回復アイテムが使えるようになったのですが、(1作目は回復アイテムが無かった)モンスターの手番を消費せずに使用できるため回復アイテムゴリ押しができるようになってしまい戦略性も崩壊してしまったのが原因ですね。
当時水準で考えてもシステム面で非常に粗が多く、とても今からお勧めできる作品ではありませんが、当時の最先端だった携帯電話を題材にしGBにアンテナを装着して携帯電話に見立てる遊び心は、ポケモンフォロワーたちのなかでも『こどもが喜ぶもの』をしっかりと見据えていたように思います。この作品も当時のポケモンフォロワーを語る上で欠かせない作品と言えるでしょう。
本作も2作品とも配布モンスターが存在しますが、限定配布ではなく『隠し電獣と友達になれる電話番号(要するにパスワード)』をCMやお店で配るという形態だったため、番号さえ知っていれば今でも入手可能です。中にはかなり強い電獣と友達になれる番号もあるため、序盤から無双することも出来ます。そういう意味ではある程度楽に遊べる作品と言えるかも。
ネットワーク冒険記バグサイト
2001年11月2日 | ネットワーク冒険記バグサイト アルファ/ベータ(GBC) |
上記『携帯電獣テレファング』を開発したスマイルソフトが手掛けるポケモンフォロワー作品第2弾です。本作は当時普及し始めていたインターネット、ウイルス、バグといったものを題材にしています。テレファングもそうでしたが、『ポケモン風+最先端』という作風は魅力的で、子供心を掴むのが上手いですね。
本作はワクチンを使ってモンスター(バグ)を仲間にします。電話番号を交換して友達になるテレファングと比べるとやや普通というか没個性ではありますが、PC関連用語を元ネタにしたバグのデザインがすばらしく、GBC後期に発売されただけありドットグラフィックが美麗で、モンスターの魅力と言う点ではテレファングと比較して…というよりポケモンフォロワーの中でもかなり上位だと個人的には思っています。
そして本作にも購入特典としてGB本体の通信ポートに装着する『バグセンサー』が付属しています。バグが近づくと光って知らせてくれるものになっており、テレファングのアンテナ同様、子供心によく刺さるアイテムでした。テレファングもそうですが、無くても遊べるとは言え中古で買うとこれが付いていないことが多いのは残念です。
ゲーム性自体は非常にオーソドックスなポケモン式RPGですが、特に戦闘のテンポが非常に悪く、今ではやや遊びづらいタイトルとなっています。パートナーバグをはじめとしてあまりにも強すぎるバグがチラホラいてバランスもあまり良くないです。とはいえ電脳世界をGBのドットでうまく表現したスプライトは秀逸で、見た目のポイントがかなり高いです。
テンポの悪さに関しては当時のポケモンフォロワーとしては特筆するほど目立つ難点と言うほどでもなく、全体的には無難にまとまった作品です。モンスターもカッコイイ。にも関わらずあまり振るわず1作で終わってしまった原因はもちろん『ロックマンエグゼ』でしょう。
バグサイトの発売は2001年11月。この頃にはすでにGBAが発売されており、ローンチタイトルだったロックマンエグゼの1作目がすでにリリースされているどころか、バグサイト発売の翌月には2作目が発売しています。このタイミングで旧ハードのGBC、しかもインターネットだのウイルスだの電脳だの、ゲーム性は全く違うとはいえテーマが完全にかぶっています。さすがに厳しい闘いでしょうね。そもそもこのタイミングで1作目というのは、ポケモンフォロワーとしてもかなり遅いです。
もう少し早く発売していればまた違った結果になった可能性もありますが、ポケモンフォロワーとしては忘れ去られがちな不遇な作品です。逆に言えばGBAとロックマンエグゼさえなければもっと輝いていた可能性は感じる、ポケモンフォロワーの中でも輝くものを持っていた作品でもあります。なによりテレファング同様、『こどもたちが喜ぶもの』をしっかりと見据えていたと思います。
とはいえ当時は筆者もクリスマスにバグサイトとロックマンエグゼ2を買ってもらい、ロックマンエグゼ2ばかり遊んでいました。
格闘料理伝説ビストロレシピ
1999年9月30日 | 格闘料理伝説ビストロレシピ ワンダーバトル編(WS) |
1999年10月8日 | 格闘料理伝説ビストロレシピ 激闘★フードンバトル編(GB) |
1999年12月10日 | 格闘料理伝説ビストロレシピ 決闘★ビストガルム編(GB) |
こちらはバンプレストが手掛けたポケモンフォロワーゲームで、その名の通り料理をモチーフにしています。料理がモンスターになって戦うというのはイメージとしては子供にもわかりやすくてよかったと思います。
3作発売され、発売間隔が非常に短いのが特徴です。しかもポケモン系ゲームお得意のバージョン分け商法ではなくGBの2作は前編・後編の2部作になっていて、WS版もGB2作とは違う時間軸のシナリオになっています。これだけ聞くと特にシナリオ面でかなり力が入っていそうな印象を受けますが、実態としては開発費や開発期間がかなり制限されていたんだろうなと推察してしまうお粗末な出来になっています。
(単純なバージョン分けではなく前後編の2部作仕様とは言うものの、前後編で入手できるモンスター(フードン)が異なり、通信機能を用いることでコンプリートが目指せる形になっているため、実質的にはバージョン商法ではある。)
GB2作に関しては2作合わせたとて、ボリューム面でも内容面でも当時のGBのRPGとしての水準に遠く及ばないというのが正直な感想です。本家ポケモンも初代のころはシナリオは無いようなものではありましたが、わざわざ2部作構成にしてこの内容の薄さはさすがに厳しいです。
モンスター(フードン)のデザインはごく一部酷いものも見受けられるものの全体的には可愛らしくまとまっており悪くないのですが、料理である都合上進化という概念が無く、たとえばチャーハン→エビチャーハン→カニチャーハンは矢印の順に上位種なのですが、進化系ではなく別物扱いになっています。新しく制作した料理はレベルが1桁から育て直しなため、初期から育っているチャーハンを解雇してレベル1桁のカニチャーハンに入れ替える必要があり、この手のゲームとしてはかなり不親切な仕様です。
そもそもチャーハンよりエビチャーハンが、エビチャーハンよりカニチャーハンが強いというのもイマイチわかりづらいですし、属性の概念もタマゴがゴハンに強いとか、カレーがスープに弱いとか、わかるようでわからない相関のものが多く、世界観のゲームへの落とし込みが全体的に雑な印象を受けます。料理の度に差し込まれるミニゲームも、プリンを作っているのに『たこ焼きが焦げる前にひっくりかえせ!』だの、おにぎりを作っているのに『卵が割れないように鍋に入れろ!』だの、GBのゲーム故仕方ない面はありますが子供心に『なぜ?』と思ったものです。
バトルバランスも大変なことになっており、状態異常の上書きが出来てしまうため氷・睡眠の行動不可状態を付与する技を連打するだけで簡単にハメが成立してしまいます。技を連打するだけのお手軽ハメ故、運が悪いと敵からハメられることもあります。
また、属性やチーム戦の概念があるにも関わらず交替することができないため、不利な相手でもそのまま戦わなければなりません。ステータスは少しの上昇だとほとんど変化が無いのに、防御が一定値を超えると急にダメージが0~1になるため、不利な相手に有効打を与えられないまま防御バフを積まれると詰む場合もあります。テンポも悪く、使いまわしだらけの技エフェクトは飛ばすことができず、ボス戦など1部5対5のバトルは非常に時間がかかります。
そもそもマップ探索が無いというのも、ポケモン系ゲームとしての楽しさを大きく欠いていると言わざるを得ません。GB版2作はマップがすごろくのようなマス目になっており、1マスずつ進んで敵が出てきたら倒すだけです。WS版はちゃんとマップ探索ができるのですが…なぜこれをベースにできなかったのか。
ただ、上記したようにモンスターデザインはなかなか悪くなく、ドット絵での元イラスト再現度も当時のGB作品としては優れていました。人間キャラクターもメイン所は可愛らしく、イベントスチルも質・量ともにGB作品としては合格ラインといったところで、ビジュアル面は良かったです。
続編で間隔が開きすぎるのも問題だとは思いますが、いくらなんでもハードを跨いでこのペースで出して着いてこられる子供たちがどれだけいたかは不明です。料理+ポケモン風という根っこの部分は決して悪くないですし、せっかくのキャラデザがもったいない作品でした。
ちなみにコミックボンボンで連載されていた漫画版は、超乳で有名なロボットポンコッツとは違った方面で話題になる作品です。アニメ版も放映されていましたが筆者は観たことが無いのでこちらはなにも語れません。
料理をフードンにするためにカードを使用するので、
もしかしたら開発初期はカードゲームのつもりで作っていたのかなと思ったり。
王ドロボウJING
1999年3月12日 | 王ドロボウJING エンジェル/デビル(GB) |
メサイヤ発、コミックボンボンで連載されていた漫画『王ドロボウJING』のゲーム作品。(漫画版は後にマガジンZに続編として移行、現在マガジンZは廃刊、連載は無期限休載中)
王道コマンドバトルRPGの形をとりつつも、モンスターを捕獲し、育てて戦わせる・バージョンにより出現モンスターが変わる・通信要素といったポケモン風の要素を取り入れたゲーム性となっています。
王ドロボウJINGといえば、児童誌らしからぬ重厚な世界観、絵画のような表現を用いた高い画力が評された作品で、各話に登場する『ジンガール』と呼ばれるヒロインや独特な敵キャラクターをはじめとした特徴的なキャラクターデザインも作品の魅力の一つでした。
そんなJINGのゲーム版ですが、世界観やモンスターデザインはまさにJINGらしいものとなっており、どこかアメコミチックで、どこかオシャレさもあり、それでいて子供向けらしいカッコよさ、可愛らしさもある独特なデザインは数あるポケモンフォロワーゲームの中でも唯一無二と言えるでしょう。原作漫画に登場したキャラクターも多数収録されているため、ファンアイテム的な楽しみ方もできます。
ただ、発売がそこそこ早い時期なのもあってか、ゲーム内ドット絵のイラスト再現度はそこまで高くありません。雰囲気は出てますし、ハード等考慮すれば決して悪くはないんですけどね。
本家ポケモンでは人間とのバトルでポケモンを捕獲することはできませんが、本作は『ベット』システムにより、パーティ内のモンスターを賭けて勝負するため人のモンスターも入手可能です。この方法でしか入手できないモンスターもいますが、逆にイベント戦でしか登場しないのにベット不可に設定されている(他のモンスターが代わりにベットされる)せいで入手できないモンスターも一部存在します。
この手の『図鑑に登録されるのに入手できないキャラクターがいる』という問題は本記事でもいくつか取り上げましたが、多くのポケモンフォロワーに様々な形で発生している問題ですね。モンスターを集めるのが楽しみの一つなのにコンプリートできないというのはやはり大きな難点です。どうせコンプリートできないとなると、わざわざ他のモンスターを揃えようという気も弱くなってしまいますし、そうすると通信要素の魅力も下がってしまいます。
バトルはオーソドックスなコマンドバトルですが、技にクールタイムのようなものが設定されており、強い技は連発しづらいようになっています。回復に回数制限があったり、属性ごとに防御力が設定されていたりと子供向けのポケモン風ゲームとしてはやや難易度高めで、しっかり鍛えないとストーリーの進行もままならないです。
会話イベントがすべてイベントシーン扱いで画面が切り替わる、エンカウント時の画面の切り替わり演出がやたらと長い、トレーニング(育成)にやたらとお金がかかるなど、今の時代に改めてプレイするとテンポ面の難点が目立ちますが、なんといっても最大の難点は原作にも登場した美少女キャラクター『にんぎょひめ』を、シナリオの進行上強制的に『サイコダイバー』というモンスターに融合進化しなければならないことでしょう。なんでこんなヒドイことするの…。
…まぁにんぎょひめ以外にも魅力的なモンスターは多数存在するので気にしなければ気になりませんが、子供の頃ですらショックを受けた覚えがあります。せめてサイコダイバーがかっこよければ良かったんですが、なんじゃこのおっさん…。
と、やや難点が目立つ内容になってしまいましたが、原作漫画の雰囲気をしっかり再現しつつ、ポケモン風ならではの収集・育成の楽しみやベット等他のポケモンフォロワーとの差別化もしっかりと盛り込まれ、テンポ問題なども当時基準で考えれば大きな問題ではないと考えれば、ファンアイテムとしてしっかり楽しめる出来になっていると思います。BGMも素晴らしいです。
原作漫画を読んだことがあって、ゲーム版は遊んだことが無いよという方はぜひ遊んでみてください。
アニメ版はアニメそのものの出来は良いのですが、原作からかなり省略・改変されていて原作漫画を読んでいると違和感がすごいです。個人的に嫌いではありませんが、人にお勧めできるかと言われるとなんとも。
原作再現の合体技も好きでした。
余談もいいとこですが、ジンガールではロゼとキルシュが好きです。
がんばれゴエモン ~もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!~
1999年12月16日 | がんばれゴエモン ~もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!~(GB) |
江戸時代の日本を舞台とし、からくりロボット等のSF要素やコミカルなキャラクターによるギャグ要素を加えて人気を博したコナミの和風コメディアクションゲーム『がんばれゴエモン』シリーズからもポケモン風ゲームが登場しています。据え置き機中心でアクションゲームとして展開されていたシリーズですが、GB版の第3弾が『妖怪を集めて戦わせる』というポケモン系システムのコマンドバトルRPGでした。(完全にポケモンフォロワーかと言われるとポケモン要素はやや薄いですが)
ゴエモンシリーズは他にも多数の作品がリリースされていますが、ポケモン風RPGなのはこの作品だけなので本記事ではこの作品だけ紹介します。
元々が江戸時代の日本を舞台としているため妖怪テーマは親和性が高く、登場する妖怪たちのデザインもゴエモンシリーズらしいコミカルでどこか愛嬌のあるものが中心になっており、シリーズファンでも違和感なく楽しめる作品です。
システムはシンプルながらもGB作品としてはかなり遊べる内容になっています。基本的にはひょうたんで妖怪を捕獲し、ゴエモン、エビス丸、サスケ、ヤエの4人のプレイヤブルキャラそれぞれに1匹ずつ妖怪を帯同させたペアで戦闘を行います。
ゴエモン達はもちろん、妖怪たちも能力やスキル、属性に個性があり、組み合わせによっては特殊な合体攻撃が使用出来たりと組み合わせは奥深く、さらには女神転生シリーズのように合体によるスキルの継承も用意されており、スキルに枠が設定されていて強力なスキルは継承するためにスキル枠を3枠消費するなど、パーティ周りだけでも近い時期に発売されたビストロレシピと比べるまでも無い濃さです。
シナリオも子供向けの簡素なものではあるものの、ゴエモンらしいコメディ風味がしっかりと表現されており好感触。本作オリジナルの新キャラも出番は少ないながらも十分に魅力的に描かれています。BGMもシリーズ作品のアレンジバージョンが多数使用されファン向けアイテムとしても楽しめます。
また、多くのポケモンフォロワーゲームと違い本作はバージョン分けがされていません。このため、通信機能はあるものの頑張ればソフト1本ですべての妖怪を揃えることができます。セーブデータが1つしか作れない作品が多い中で本作は2つ作れたりと、当時のゲームとしては豪華な作りだったと思います。
豪華と言えば、140種類以上登場する妖怪たち(+ゴエモン達)のすべてに専用の歩行グラフィックと顔グラフィック2種(通常+やられ顔)が用意されているのも豪華でした。この時代と言うと本家ポケモンも歩行グラフィックは何タイプかの使いまわしでしたからね。先頭にしているキャラによって会話シーンが変化するなど、作り込みがすごい作品です。
GBの作品ながらシンボルエンカウントを採用していますが、テレファング2などと同じく通路の狭さや味方側の移動速度に対して敵の配置が多すぎるためエンカウント率はかなり高めです。倒したシンボルも時間経過やマップ切換ですぐに復活するため、稼ぎプレイには良いですがゲーム進行的には少々ストレス要素になりやすいです。
細かい点としてお金やアイテムの所持数上限が少なすぎるのも気になります。お金は9999両まででカンストしてしまい、預け屋に預けないと無駄になります。アイテムも25個までで、しかも装備中のアイテムでも枠が埋まるためプレイヤブルキャラ4人の武器防具で8枠埋まり、実質17個です。預り屋の預かり数も80上限となっているため自分のような序盤の装備品なども全部コンプしたいプレイヤーにはストレスでした。とはいえこの時代の携帯機作品であることを考えれば大きな問題ではないでしょう。
ポケモン風のゴエモンRPGとして非常に高い完成度を誇り、ファンでなくとも楽しめる名作ですが、シリーズがやや低迷していた時期に発売されたため、出来のわりに陰に隠れがちな作品です。ゴエモンシリーズはコミックボンボンとタイアップしており据え置き機版は長らく漫画版が連載されそちらも人気でしたが、本作の発売時期は漫画版の連載も終了してしまっており、宣伝も弱かったように感じます。
同じGBのRPG作品である前作『天狗党の逆襲』、GB版第一弾のアクション(鬼畜ミニゲーム集)『黒船党の謎』の評価が非常に低かったのも、GBで発売された本作の印象を悪くしているかもしれません。余談ですが筆者は天狗党はそこそこ好きです。黒船党は…ちなみにさらに余談ですが、GB版次作の『星空士ダイナマイッツあらわる』も非常に出来が良いです。
このようにシリーズ内ではやや不遇な作品で、配信もされていないため今からプレイするにはGBソフトを入手するしかないのですが、ポケモンフォロワーとしてもゴエモンファン作品としても(当時物として)非常に高品質な作品のため、気になる人はぜひ遊んでみてほしいです。
とりあえず全員ひとだま付けるゲームです。
久しぶりにプレイしましたが、改めて本記事で紹介した作品の中でもトップクラスに楽しいゲームです。
まとめ
今回紹介した『ボンボン系ポケモンフォロワー』以外にも、サンリオタイムネットやドラゴンクエストモンスターズなど数多のポケモンフォロワーが誕生しました。また、ボンボン系のなかでも今回紹介しなかったもの(『クロスハンター』など)もあり、この辺りは機会があればまた紹介したいなと思っています。
大半が消えてしまったシリーズになってしまいましたが、その原因として大きいのはGBAとロックマンエグゼの登場とコミックボンボンの衰退でしょう。GBAというハードに見合った進化ができなかったシリーズが多く、新ハードの性能をしっかりと活かしたロックマンエグゼに人気を取られてしまったというのはかなり大きいと思います。
また、GB→GBAの通信が絶たれてしまったのも大きいですね。本家ポケモン含め、GB版で育てた相棒とも言えるモンスターたちをGBAの新作に連れていくことができなかったのは、GBAへの世代交代がうまく行かなかった大きな要因のように思います。
全体としてどうかはわかりませんが、筆者の周りでは当時本家ポケモンですらロックマンエグゼのブームに押され、GBA世代はプレイはしたけど他の世代と比べるとやり込まなかったという人が多く、その影響でDS世代も人口が減りました。
そんな状況でしたから、『ポケモンみたいなゲーム』が消えていくのも無理はなかったかなと思います。タイアップ先のボンボンが衰退し、特にメダロットは復活の際に宣伝先に難儀していたように感じます。そもそもポケモンみたいなゲームの中には出来の悪い作品も少なからずあったため、そういったところからも勢いがなくなってしまったのでしょうね。
これらのゲームは筆者はもちろん、当時ボンボン読者だったキッズたちにもいい思い出として刻まれているでしょう。今回記事を書くにあたって久しぶりにプレイしなおしまして、子供の頃の記憶の中の姿と、令和基準になった筆者の感性の両方を基に記事を書きましたが、どの作品にも独自の味があり、思い出の中にしまっておくにはもったいないゲームだと改めて感じました。
筆者は最新のゲームはもちろんレトロゲームも大好きなので、どこかでレトロゲームの記事も書きたいと考えており、今回ゲーム雑記という形でボンボン系ポケモンフォロワーゲームをまとめて紹介してみました。軽い気持ちで書き始めたら20年以上も昔の記憶だけで書くわけにもいかず再プレイに時間がかかり、文字数もとんでもないことになり若干後悔しています。
ポケモンフォロワーという枠でも上記したようにまだまだ紹介し足りませんし、ポケモンフォロワーに限らず、GBに限らず紹介したいレトロゲームは山ほどあるため、不評でなければまた時間のある時にこういった記事を書きたいなと思っています。
それでは、長々とお付き合いくださりありがとうございました。
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