タイトル | ドールズフロントライン2 エクシリウム |
プレイした機種 | iOS iPhone13/PC |
メーカー | SUNBORN/MICA TEAM/HAOPLAY Limited |
満足度 | A(満足。たいていの場合お勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年12月9日 |
はじめに
※前作に関して筆者は序盤少し触った程度で、本作はほぼ新規目線での感想となることをご了承いただきたい。
iOS版、PC版にて闘技場以外の実装済みコンテンツを一通りプレイ。
中国のSUNBORN、MICA TEAMによって開発された基本無料のスマホアプリゲーム。
日本では2018年にリリースされた『ドールズフロントライン』、派生作品の『ニューラルクラウド』に続くシリーズの正統続編となる。
ポストアポカリプスな世界観で、賞金稼ぎの主人公と戦う仲間『戦術人形』たちは、怪しい依頼を受け不思議な『箱』を巡る戦いに巻き込まれていく。
基本システム
- シナリオはテキストアドベンチャー形式。差分や動きのあるイラストでの立ち絵表示とスチル演出がメインになっている他、それなりの頻度で3Dモデルでのムービーが挿入される。
- シナリオ内容について、話の大筋は前作を知らなくても問題無いようになっているが、前作から10年後、共通するキャラクターが登場するということで前作を知っていた方がより楽しめる面はある。
- オーソドックスなスタミナ制。
- シナリオ演出のみのステージと、ハードモード等一部の高難易度やおまけステージは消費無し。それ以外はすべてスタミナ消費あり。
- 回復は時間による回復の他、アイテムでの回復と所謂『石』での回復が存在。
- 時間経過での回復は上限を超えても保持可能、アイテムは固定値回復、石での回復は1日の回数上限ありで回復するたびに消費する石の量が増える、中国製スマホゲームによくある形式。
- バトルはターン制ベースの戦略シミュレーション。
- マス目上に分けられたマップ内でキャラを移動させ、攻撃し、敵を倒していく。
- キャラの育成には様々な素材アイテムが必要となり、対応した素材ステージをクリアすることで素材を集めていく。
- ほぼすべてのステージで初回から最大3倍速とフルオート可、1度クリアすれば以降はスキップ可能となっている。
- キャラや武器の入手経路は主にガチャ。
- 詳しくは省略するが、天井は低いが通常排出率も低い、初回の最高レア排出はすり抜け有り、すり抜けた場合次の最高レア排出で確定、最低レアは武器のみ、天井カウントは同じカテゴリのガチャで引継ぎ。
- わかる人に向けて簡単に言うならホヨバ風ガチャ。原神や崩壊スターレイルのガチャとほぼ同等のシステム。
- 上記タイトルと比べて(あくまでサービス開始時点では)お得パックが豊富なので、課金する場合相対的にはやや優しいか。
バトル
- 基本はターン制戦略シミュレーションだが、銃器を扱う少女(戦術人形)という設定を活かし、シューターモノの要素を取り入れた独自色の強いデザインとなっている。
- マップの広さ(マス数)に対しキャラクターの移動範囲が非常に広く、銃器を扱うだけあって攻撃射程もSRPGとしては信じられないくらい長い。
- そのままだとSRPGとして破綻してしまうが、本作は遮蔽物がマップ内のいたるところに設置されており、隠れることでダメージを抑えたり、逆に隠れている敵に対して遮蔽物に遮られない方向から攻撃することで効果的にダメージを与えるといった要素が採用されている。
- また、攻撃射程内の味方の攻撃に追従して連携攻撃を行うシステムもあり、超長射程・長距離移動が可能でありながらもしっかりと『敵味方の位置取り』が重要なゲームシステムとなっている。
育成
- キャラの育成はシンプルなソシャゲシステム。
- キャラはレベル、ノードと呼ばれるパッシブ能力の強化、ダブりを重ねる所謂凸。
- 武器はレベル、ダブりを重ねる凸、アタッチメントと呼ばれるランダムで能力を持った装備に付ける装備が存在の厳選・強化。
- いずれも対応する素材ステージを周回して育成する形。
- スタミナの回復速度に対し素材ステージの消費が多めのため育成コストは少々重め。
その他
- キャラクター鑑賞機能『休憩室』。
- 衣装の着せ替えはもちろん、ポーズを取らせ、好きなアングルから鑑賞可能。
- 好きな衣装、ポーズ、アングルで撮影した画面をゲーム内ホーム画面で使用することも出来る。
- 多様なバトルコンテンツ。
- ダメージコンテスト系の高難易度バトルや非同期形式のPvPといった、ソシャゲによくあるバトル系コンテンツが用意されている。
良かった点
美麗なグラフィックと魅力的なキャラクター。
- 3Dモデルのクオリティはスマホゲームトップクラス。
- 2024年はハイクオリティな3Dモデルを使用したスマホゲームが多くリリースされたが、その中でもトップクラスの出来。
- 特に布周りの品質が高い。
- エッッッ方面の品質も高く、取り分け尻、脚、黒タイツは素晴らしい出来。
- 主に休憩室で見られるが、足の裏までよく作り込まれている。
- キャラデザインに関しても、銃器の似合うかっこよさと可愛らしさやエッッッさのバランスが良く、あざとすぎない魅力がある。
- スマホSRPGはキャラデザインが硬派(悪く言えば地味)に寄りすぎてガチャの景品として日本人受けしにくい作品が多い。
- 本作のキャラデザインは3Dモデルの出来の良さと併せて、ポストアポカリプスな世界観に合っていつつも、しっかりとキャラクターの魅力でガチャを引きたいと思わせてくれる。
- ハイクオリティな3Dモデルを存分に活かした各種演出。
- 見下ろし型で地味になりがちなSRPGだが、本作は移動時にシューター系ゲームのように銃を構えながら移動するなど派手目な演出が挿入される。
- 倍速が優秀なのでテンポを損なうこともない。
- レベルアップ時にもムービーが挿入される。やや邪魔ではあるがスキップは可能で3Dモデルを活かした演出として考えれば有り。
- シナリオ中も3Dモデルでのムービーシーンが多く挿入される。
- 極めつけは3Dモデルを堪能できる休憩室。ポーズを取らせ、好きなアングルから撮影してホーム画面で使用できるのが素晴らしい。
クオリティのわりに動作が軽い。
- スマホゲーム最高クラスの3Dモデルを有しながらも、動作は比較的軽い。
- プレイする環境にもよるだろうが、モバイル端末でも発熱は軽度でバッテリーの減りも控えめ。
- PC版も軽快に動作する。
スマホSRPGとしては重すぎないプレイ感でサブゲーとしても遊べる範疇。
- スマホSRPGはどうしても見た目や進捗が地味だったり、1プレイ毎の労力や時間が重くなりがちだが…。
- 本作は非常に華やかな3D演出を多用し、それでいて快適な便利機能や1プレイが重くなりすぎないような構成が出来ている。
- 日課・週課は同ジャンル内でかなり軽い部類。
- 超長射程や相対的な長距離移動も派手さや爽快感に繋がっている。
- ソシャゲ的な属性等のシナジーを活用したパーティ編成要素があったり、『位置取り』という適度な難易度設定で頭を使わせてくれたりと、快適ではありつつもしっかりゲーム性を担保出来ている。
- 高難易度バトルでも報酬リセット後はスキップできるなど、常設コンテンツのバランス感覚は見事の一言。
不満点
ストーリーのテンポが悪い。
- 中国産スマホゲームらしく世界観設定が壮大で、造語が多く、様々な組織等が絡んだり前作に関連する要素があったりと複雑さはあるものの、話の大筋はシンプルにまとまっている。ローカライズも悪くなく、わかりにくさはあまり感じない。この点は良いのだが…。
- 本筋と無関係な雑談などとにかく余計なシーンや描写が多く話がなかなか進まない。
- 特に序盤は物語的にも動きが少なく、その上で話のテンポも悪いため非常に退屈に感じてしまう。
- 序盤の退屈さはソシャゲとして致命的。
- 本筋と無関係なシーンもキャラクターの掘り下げや世界観を深める上で必要だったりはするが、本作のシナリオはテンポの悪さが目立ってしまっている。
- 3章後半くらいまで進むと、テンポの悪さは変わらないものの話の展開が面白くなってくるためある程度退屈さがなくなってくる。そこまでたどり着けるかが本作のシナリオを楽しめるかの分水嶺になるだろう。
イベントのプレイ感は重め。
- 常設コンテンツのプレイ感については軽めでバランスが取れている一方、期間限定のイベントコンテンツに関しては少々重め。
- こちらも中国産のゲームにありがちだが、ミニゲーム系コンテンツを中心に全体的にステージ数が多すぎる。
- イベントが重めなこと自体は悪いことではないが、たいして遊びの変わらないステージの数でボリュームを稼いでいるため単純に面白くなく、常設側のバランスの良さとの対比で印象が悪い。
- 特に本作をサブゲーの位置づけで遊ぼうとしていると、イベントを面倒に感じてしまいやすい。
- 記事執筆時点での話のため、今後のイベントがどうなるかは不明。
その他気になる点。
- UI、操作性はやや悪い。
- 様々な要素が別々のページで管理されており、状況が集約されたページ等も無いためわかりづらく、見落としも発生しやすい。
- 戦闘中、移動・攻撃の範囲がわかりづらく、スキル選択も毎回ターゲットを選択し直しとなるため面倒。
- オートは最低限まともに動いてくれるという程度で、頭は悪め。
- 敵が弱い序盤はオートで問題なくクリアできるが、全体的に位置取りが下手で敵から離れていこうとする傾向があるため連携の範囲外に出てしまったり、雑魚を召喚する系のボス戦等は雑魚処理に全力を注いでしまいなかなかボスに攻撃してくれなかったり、位置取りの下手さから一部のキャラが性能を全く発揮できなかったりと難点は多い。
- ただ、簡単なコンテンツはオートで快適、高難易度は手動でじっくりという遊びのモデルが出来ているということでもある。
- 敵から逃げるステージなどでしっかり逃げてくれるなど評価すべき点もあり、少なくともゲームが破綻するような頭の悪さではない。
まとめ
スマホ向け最高峰の3Dモデルを活かした華やかな演出を武器に、スマホ向けターン制SRPGという成功が難しいジャンルに一石を投じた意欲作。
快適性は抜群で、見た目のクオリティも相まって全体的にライトな触り心地に振り切っており、筆者的にはもうこれが無理ならスマホ向けSRPGは全部無理だろうという極地に至ったように感じている。
ただ、シナリオのテンポの悪さによる序盤の退屈さという致命的な欠点も持ち合わせている。位置取りが重要なバトルも敵が弱い序盤は面白さがわかりづらく、全体的にスルメ寄りで序盤を耐えられるかどうかでユーザーを篩にかけてしまっている節がある。
1年先行している中国版でも大成功しているとは言えない売り上げで、3Dモデルのクオリティ的に低コスト運営とも思えないため長期的なサービスの継続はやや不安な面があるものの、激戦だった2024年ソシャゲ界隈の中でも間違いなくハイクオリティで市場が良く見えている作品と言える。
スマホゲームのシナリオはそこまで重視しない方、エッッッ方面で満足できるゲームを求めている方をはじめ、今までのスマホ向けSRPGが重すぎて合わなかった人にもぜひ触ってみてもらいたい。
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