【Steam】Gravity Circuit 感想

Gravity Circuit タイトル画面 Steam
タイトル Gravity Circuit
プレイした機種 PC Steam
メーカー Domesticated Ant Games/PID Games
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • ロックマンゼロ風アクションで爽快感抜群
  • フックショットの投げ動作による独自の面白さ
  • 探索ギミックがワンパターンすぎる
  • ダッシュ移動の爽快感、快適性と噛み合わない要素も見受けられる
執筆日  2024年7月3日

 

はじめに

Gravity Circuit タイトル画面

Steam版を実績コンプまでプレイ。

フィンランドのDomesticated Ant Gamesが開発した横スクロール2Dアクションゲーム。あらゆるところから『ロックマンシリーズ』へのリスペクトが強く感じられる作りになっているのが特徴。

  • ジャンプやダッシュ、壁蹴りやスライディングといったアクションを駆使してドット絵で描かれたステージを攻略していく。
    • ロックマンさながらに、ステージ内にはトゲや穴などの即死トラップも設置されているが、本作はこれらに接触しても一定のダメージを受けて少し前に戻されるだけであり、ある程度不快感が軽減されている。
  • ステージはオープニングステージ+8ボスステージ+ラストステージ3つの全12ステージ。
  • 近接攻撃主体、フックショットによるワイヤーアクション、拠点有りと基本的なデザインは『ロックマンゼロ』シリーズの影響が強い。
  • ステージ内には最大HPを上げるアイテムや救出者が隠されており、それらを探す探索要素も有り。
  • 必殺技に当たる『バーストスキル』、パッシブスキルに当たる『ブースターチップ』、主人公のボディカラーを変更して能力を付与する『ペイント』とカスタマイズ要素も用意されている。

当然ながら登場人物は全員ロボット。清々しいまでのロックマンライクゲームとなっている。

 

良かった点

まずは純粋に、ロックマン風2Dアクションとしてのポテンシャルの高さが挙げられる。

  • ダッシュ移動は本家ロックマンシリーズと挙動が違い、ボタン押しっぱなしで常時ダッシュ状態になる。快適性が高い。
  • ステージや拠点の広さに対する自キャラの移動速度が速く、こちらも快適性を高めている。
    • 本家ロックマンシリーズには画面に対して自キャラが大きく視認性が悪い・移動速度が遅く感じるという難点を抱える作品も多いが、本作はその点も問題ない。
  • 大きな差別化点となる近接格闘技主体の攻撃は爽快感に溢れ、インファイトならではの攻撃の当て方、避け方の緊張感が楽しい。
    • 本家で言うところのセイバー系の近接攻撃とはまた違った触感。
    • バスターをチャージしながらダッシュボタンも押しながらジャンプして細かく着地位置を調整して…といった指が痛くなるような操作性になっていないのも個人的には評価点。
  • フックショットにより敵を掴んで投げることができ、高火力の遠距離攻撃として用いることができる。
    • 敵の爆発演出も派手で爽快感抜群。
  • 前述したようなトゲや穴の緩和をはじめ、全体的に『ノーダメージや高速クリアを目指すと難しいが、ただクリアするだけなら初見でも十分対応可能』な難易度に調整されており、スムーズに遊べる。
    • チェックポイントや回復ポイントも多めで親切。
  • ボスの行動もわかりやすく、それでいて簡単すぎず遊びごたえがある。
    • インティ製ロックマンよろしく各ボスに必殺技が用意されている。初見で完全回避するのはなかなか難しいが、理不尽さは感じないレベルに抑えられている。

ロックマン風2Dアクションに徹しつつも、遊びが充実している。

  • 3段階の難易度調整、残機1固定などの縛り要素のON/OFF、ボスバトルモード、各種ゲーム内実績などにより数周はサクッと遊べる。

 

不満点

探索要素の隠し場所がワンパターンすぎる。

  • 各ステージにはそれぞれHPor必殺技ポイントの最大値UPアイテムがどちらか1つ、ペイント用アイテムが1つ、救出者が8名の全10アイテムが隠されている。
    • そのほとんどがヒビの入った壁を破壊した先に隠れているパターンばかり。ワンパターンすぎてさすがに作業感が漂うし見つけた際の達成感が薄い。

本家ロックマンにおける『特殊武器』や『弱点』といった要素が存在しない。

  • これにより、自由に攻略できる8ボスステージの導線が非常に弱い。
    • 特殊武器が存在しないことが、上記した探索要素のワンパターン化の一因にもなっている。例として、同じ『壁を破壊する』でも、植物のツタに火をつけて破壊するのと、鉄球で岩を破壊するのとでは印象が変わるはずだが、そういったものが無い。
    • ボス戦での弱点演出などは本家ロックマンシリーズの面白さの1つであり、それが無いのはロックマン風アクションとしてやや寂しさを感じる。
    • ただ、一応バーストスキルはボスを倒した際にボスに応じたものがショップに追加される。ただし弱点要素であったり、特定のバーストスキルを用いたギミック等は無い。
    • また、ロックマンゼロがベースになっていると考えると、ロックマンゼロシリーズも特殊武器は存在しなかった。
  • 最後まで格闘+フックショットばかりで戦うことになるため、ややマンネリ感はある。

(主に)ステージギミックによる足止めや不快要素の多さ。

  • ステージギミックは各ステージ多彩に用意されているが、足止め系や細かい移動を求められるギミックがやや目立ち、せっかくのダッシュ移動の快適性や爽快感を損ねてしまっている。
    • 高難易度モードにすると目に見えてトゲが増加する。この点もダッシュ有りロックマン風アクションの面白さと噛み合っていない。
    • トゲで即死しないから良いでしょと言わんばかりにトゲがギミックに組み込まれており、窮屈なステージが一部存在する。
  • フックショットで天井に張り付いて移動する箇所が多いが、フックショットの操作性がやや悪い。
    • かなりの頻度で斜めが暴発するためストレスが大きい。
  • ただし、公式ではジャンル名を『ジャンピングパズル』としている。
    • 手触りやビジュアルがあまりにもロックマンなので、プレイヤー側が勝手にロックマンの面白さを求めてしまっているだけと捉えることも出来る。

ローカライズは文章としてはしっかり成立しているが、やや癖が強い。

  • 全体的にいかにも海外製といった言い回しや回りくどい説明が目立ち、直訳とまではいかないがあまり気の利いた翻訳ではない。
    • と言ってもロックマン風アクションでストーリーの比重がそこまで大きくないためあまり気にならないレベルではある。
    • ストーリーに関連して、各ボスキャラは正式名称と渾名が存在するが、まったく関連のない名づけになっているため最早正式名称でも渾名でもピンとこない状態になってしまっている。

 

まとめ

ロックマン(ゼロ)風アクションとしてよくできた作品であり、いずれかの2Dアクションロックマンが好きな人なら必ず楽しめるだろう。

若干の物足りなさや不快要素はあるものの、全体的にはロックマン風アクションの楽しさを存分に詰め込んだ内容になっており、それでいて格闘要素や投げ、各種カスタマイズなどオリジナリティもしっかり盛り込んで独自の作品として確立されている。

低価格であることも踏まえて、往年の2Dアクションファンにはぜひ遊んでもらいたい。

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