タイトル | Hookah Haze |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | ACQUIRE Corp./ANIPLEX |
満足度 | S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年7月12日 |
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「Hookah Haze」古森くるみの「ナッツ!」[empty]《12月予約》
はじめに
Steam版で実績コンプリートまでプレイ。
難病を抱えた主人公がシーシャ(水たばこ)屋でヒロインたちと出会い、交流していくアドベンチャーゲーム。
ゲームのデザインとしては所謂『VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)』ライク。あちらはカクテルだったが本作はシーシャという違い。
- 主人公がシーシャ屋を続けられる期間は14日間。この間にヒロインたちと交流していく。
- 1日のはじめにSNSにオススメフレーバーを投稿する。
- 投稿したフレーバー次第でヒロインたちから反応があることも。
- 投稿したフレーバーによって来店するヒロインが変化する。
- ヒロインが来店したら、ヒロインの好みに合わせたフレーバーのシーシャを提供する。
- 『フルーツ』『スイーツ』『ドリンク』『スパイス』『ナッツ』の5種類のフレーバーが存在し、3つを組み合わせたレシピを作成する。
- 場合によっては複数のヒロインが同時に来店し、ヒロイン同士で交流が発生することも。
- 接客中にはシーシャの炭交換も発生。炭の数で味や煙の濃さを調整する。
- シーシャを楽しんでいる間、あるいは炭交換の間にヒロインたちと会話が発生する。
- マルチエンド方式となっており、ヒロインたちとの交流次第でさまざまなエンディングに分岐する。
その他にも、シーシャ屋の雰囲気を楽しむための機能が盛りだくさん。
- 1度作成したフレーバーはレシピリストに記録され、以後オススメに投稿したり、ショートカットで簡単に同じフレーバーを作成できるようになる。
- オススメを投稿するSNSではヒロインたちとの個別メッセージのやり取りもできる。
- 店内の照明は3パターンに変更可能、各ヒロインを模したカラーになっている。
- BGMもいつでも変更可能。プレイリストを作成して好みの順番で曲が流れるようにもできる。
オリジナルストーリーの体験版も配信中。
- 2日目まで遊ぶことができるが、ゲーム本編とは全く違うシナリオ展開となっている。
- 製品版にも本編とは別枠で同じ内容のものが収録されている。
ちなみに筆者は普通のたばこもシーシャもまったく触れたことが無いが、問題なく楽しむことができた。
良かった点
抜群の雰囲気作りと個性的で魅力あふれるキャラクター、それらを活かしたシナリオで世界観に惹き込まれる。
- シーシャ屋というゲームとしては珍しい舞台を存分に活かしたシナリオと演出は雰囲気バッチリ。
- シーシャ作りや炭の交換といったゲーム要素がプレイヤーを世界観に入り込ませる要素としても機能していて没入感がある。
- ピクセルアートのグラフィックは非常によく動き、細かいところまで描き込まれており好感触。
- BGMもお店で流れていそうな曲が揃っており雰囲気作りに大きく貢献している。筆者は特に『Takeyabu』がお気に入り。
- 各ヒロインとの出会いから少しづつ打ち解けていく様、結末までが丁寧に描かれており、最後まで惹き込まれたまま読み進めることができた。
- 各ヒロインの話のテーマは重いものの、テキスト自体はかなり軽快。レトロ調のグラフィックに合わせて1度に表示されるテキスト量も少なく抑えられており読みやすい。
- 重めのテーマが世界観とマッチし、各キャラクターの魅力をより引き出している。
- シーシャ屋の店長と客という間柄での他愛ない会話も不足なく差し込まれており、これも雰囲気の向上にうまく機能している。
- 複数のヒロインが来店した際のヒロイン同士のやり取りは特に顕著で、他愛ない会話によって雰囲気が重くなりすぎないよう上手く調整されている。
- 分岐の仕様はシンプルではあるがエンディング数も値段に対して不足なく揃っている。
- 複数のヒロインを来店させられるフレーバーとセーブ機能をうまく活用することで各エンディングまでの工程を並行して進めることができるため、回収作業のテンポが良く作業的なプレイ時間が無暗に嵩張らないよう配慮されている。
- ここで言うシナリオの評価とは、衝撃の結末とか見事な伏線回収といった意味ではなく、世界観やキャラクター性をしっかりと引き立たせ、ゲームとして遊びやすい・読みやすいという意味での評価であるということはご了承願いたい。
ゲーム性とテンポのよさ、ボリュームが噛み合っており最後まで『楽しかった』で終われるいい塩梅でまとまっている。
- ゲーム性そのものは『分岐によるエンディング埋め』『シーシャのレシピ埋め』『炭交換』くらいしかなく、特に炭交換はゲームとしては作業に近いものである。
- しかし上記したようにゲーム性自体が世界観に惹き込むための要素として機能し、スキップ機能も併せてテンポもよく、ボリュームもコンパクトにまとまっている。そしてなによりシナリオがしっかりしているため、少ないゲーム性でも最後まで楽しさが維持されており、気持ちよく遊び終えることができた。
- 1周当たりのプレイ時間もコンパクトで遊びやすい。
不満点
コントローラー操作でのデフォルトのボタン配置が直感的でなく、操作性が悪い点。
- Lスティック押し込みでスキップ、Rスティックでミュージックプレイヤーの操作、十字キーで店内照明の変更などいまいちピンとこない配置になっている。
- せっかくの既存レシピのショートカット機能もRT/LTで呼び出す仕様が面倒で普通に調合したほうが早い。
- 操作しやすい十字キーにほとんど使わない機能が割り当てられているのがもったいない。
- とはいえ設定でボタン配置を変更できるため大きな問題ではない。
- Yボタン(日本配列ならXボタン)にスキップを割り当てるだけでもかなり操作性が改善されるため、これからプレイする方は変に慣れる前に自分なりにボタン配置を調整したほうが良い。
ゲーム自体のボリュームは適正だが、ボイスやイベントスチルの数といった演出面のボリュームはやや物足りない。
- シーシャのフレーバーや炭交換時のヒロインの反応パターンは少なめ。
- 最近では『バニーガーデン』も近い難点を抱えていたが、あちらと比べるとレトロ調なこととシナリオ面である程度気になりにくいようカバーできている。
- ボイス無し。こちらもレトロ調なためそこまで気にはならないものの、キャラクターが非常に魅力的であることを考えるとやや物足りなく感じてしまう。
- イベントスチルも値段を考えると少なく感じる。複数ヒロイン来店時のやりとりにスチルがあれば良かったかなと感じる。
- ボーカル曲が用意されていたり、雰囲気に関する部分の演出はしっかりしているなど力を入れる部分は入れているため大きな問題とは感じにくい。
- 全体的な出来が良かったために生じた前向きな難点と言えるだろう。
まとめ
抜群の雰囲気作りと連動したゲーム性、魅力的なキャラクター、それらを引き立たせるシナリオで、シーシャという珍しい題材を扱いながらもスッと入ってきやすいわかりやすく楽しいゲームに仕上がっている。
『VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)』ライクとしてはもちろんのこと、純粋に1本のゲームとして安価ながら丁寧に作り込まれており、世界観に惹き込む力はかなりのもの。
静かな夜にしみじみと楽しんでほしい、すばらしい作品だった。
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