【Steam】神無迷路 感想

神無迷路 タイトル画面 Steam
タイトル 神無迷路
プレイした機種 PC Steam
メーカー 致意
満足度 B(やや満足。条件付きでお勧めできる。)
要点
  • 『かまいたちの夜』風の作風が良い方向に作用している
  • 低価格にしてフルボイス
  • ユーザービリティ良好
  • やや人を選ぶSFシナリオ
  • 序盤が退屈
執筆日 2024年5月16日

 

はじめに

神無迷路 タイトル画面

Steamで実績コンプリートまでプレイ。インディーゲーム開発者の致意さん製作の、サウンドノベルと呼ばれる今となってはあまり見なくなったジャンルの低価格ゲーム。

  • 基本的には一般的なテキストアドベンチャーゲーム同様にテキストを読み進め、時折発生する選択肢イベントでストーリーが分岐するという流れで進行していく。
  • サウンドノベルはその名の通り小説を意識した演出が取り入れられており、テキストボックスではなく画面いっぱいにテキストが表示されるのが最大の特徴。
  • テキストそのものも、通常のゲームよりいくらか小説寄り。

また、ゲームブック的な要素も含んでおり、ゲーム中の選択肢の数が非常に多く、大小さまざまな分岐を楽しめる。

本作は製作者が明言している通り、同ジャンルの有名タイトル『かまいたちの夜』を強くリスペクトしている。
登場人物が青いシルエット、閉鎖空間で起こる事件、(分岐によっては)突飛な展開、他細かい小ネタといった要素から『かまいたちの夜』感を強く感じることができる。

シナリオの導入としては、お金に困った浪人生の主人公が怪しげな地下研究所の高額バイトに応募し、そこで9年前に死んだはずの幼馴染と再会。
時間の逆行や閉鎖空間での連続殺人の謎を解き明かし、答えを探し出せるのか…というもの。

 

良かった点

まずはシナリオ面。SFミステリーとしては良い意味で王道な内容で、問題点もあるもののサウンドノベルのシナリオとして良くまとまっている。

選択肢による分岐は多岐にわたり、一見よくわからないルートもしっかりと意味があるものになっていて回収する楽しみもある。

  • かなり細かく区切られたチャート機能と高速スキップによりリプレイ性も良好で、全回収にストレスや過剰な作業性はほとんど感じられない作りになっている。

ローカライズは高水準。一部誤字脱字は見受けられたが日本人が読んで違和感のある文章は見受けられず、テキスト主体のゲームとして問題なく楽しむことができる。

500円(筆者購入時は発売記念で400円)という価格で驚きのフルボイス

  • さすがに豪華声優陣がズラリ!ということはないし、演技がやや拙い部分もあるものの、『小説風のテキスト+音響効果』というサウンドノベルの表現を強化するに十分なものになっている。

BGMも満点とはいかないが、『かまいたちの夜』風の演出によく合ったものが多く、こちらも表現の強化に良い方向に作用している。

総じて、『かまいたちの夜』風サウンドノベルとしてテキストを読み、分岐を埋めていくという点で高水準な出来になっている。同作をプレイしたことがあれば、雰囲気やプレイフィールに懐かしさを感じられるだろう。

 

不満点

サウンドノベルのシナリオとしてはよくまとまったシナリオではあるものの、SF色が強すぎてやや人を選ぶものになっている。

  • 『かまいたちの夜』をリスペクトした作風ではあるがシナリオの方向性はどちらかと言うと『シュタインズ・ゲート』や『極限脱出シリーズ』に近い印象。
  • ただし終盤の展開のクオリティは『シュタインズ・ゲート』ほど強くない。
  • 分岐次第ではまだ事件も起きていない序盤から科学要素の長々とした解説が垂れ流され、退屈感がかなり強調されてしまっている。
  • 時間逆行による他ルートの記憶は都合よく思い出したり忘れたりするため、途中から特にチャートの行き止まり分岐においてご都合主義感が漂う。

人物図鑑や地図のアーカイブがいつでも見られるが、用語集のほうが必要だったように感じる。

『かまいたちの夜』風ではあるが、同作のような世界観のぶっ飛んだ遊び心のあるルートは無いため、そういうのを期待しているとやや肩透かしに感じるかも。

  • こういった展開があれば、上記した退屈感やご都合主義感も多少は誤魔化せたと思われる。残念。
  • 誤解のないよう言っておくと、この値段でフルボイスも加味すればボリュームそのものは十分以上である。

チャート機能が高性能ではあるが、表示領域に対してチャートが大きすぎるためゲームが進行するにつれどんどん見づらくなっていく。欲張りだが拡大・縮小機能が欲しかった。

テキストログはコントローラー操作だと操作感度が強すぎて使い物にならず、ここだけマウスが必要になる。おそらく修正されるだろうが念のため記載。

 

まとめ

『かまいたちの夜』風SFサウンドノベルとして程よくまとまった作品。シナリオのノリはホラー味はほぼなくSF色が強いため少々人は選ぶ。

フルボイスで値段以上のポテンシャルは持っており、ユーザービリティも良好なため、『かまいたちの夜』『シュタインズ・ゲート』『極限脱出シリーズ』あたりのタイトルにピンときた人はプレイしてみてはいかがだろうか。

 

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