【Steam】ロックマンX DiVE オフライン版 感想

ロックマンX DIVE タイトル Steam
タイトル ロックマンX DiVE オフライン版
プレイした機種 PC Steam
メーカー CAPCOM
満足度 B(やや満足。条件付きでお勧めできる。)
要点
  • 100を超えるプレイアブルキャラ
  • 元はガチャゲーだが、課金の必要なくすべての要素を遊べる
  • シナリオは全体的にコレジャナイ感
  • ハイスピード感を損なう足止め
  • 性能格差がひどすぎる
  • シリーズファンなら値段相応には楽しめる
執筆日 2024年1月20日

 

はじめに

ロックマンX DIVE タイトル

Steam版を一部コンテンツを除きクリアまでプレイ。

サービス終了したソーシャルゲーム『ロックマンX DiVE』からガチャやマルチプレイなどの課金・通信要素を廃し、単体で完結するゲームとして調整して買い切りタイプのゲームに生まれ変わった作品だ。

  • ストーリーの設定として公式サイトから引用すると、主人公(プレイヤー、ゲーム内ではなぜかプレーヤ)はロックマンXをこよなく愛する一般人。原因不明のバグによりさまざまなゲームデータが保存されている電脳世界”ディープログ”内のロックマンXのデータがメチャクチャになってしまう。プレイヤーは突如現れたナビゲーター「リコ」に導かれ、ディープログの世界にダイブすることに。電脳世界で再現された「エックス」や「ゼロ」といったおなじみのキャラを操作し、イレギュラーデータを倒してゲームデータを修復しよう!というもの。
  • 「リコ」に加え「ヴィア」「アイコ」といったオリジナルキャラたちを中心とし、バグの原因や謎に迫っていく…という流れになっている。
  • 『ロックマンX』の名がつく通り、基本的なゲームシステムはロックマンXシリーズを踏襲した横スクロール2Dアクションとなっており、ダッシュやジャンプを駆使してステージを駆け、バスターやセイバーで攻撃して敵を撃破していくおなじみなゲーム性。
  • 本作はこれに加え、ソーシャルゲームらしくキャラクターや装備の強化・育成要素やそれに関連する素材集めの要素が追加されている。
  • 元がガチャゲーなだけあって総勢100を超えるシリーズキャラクターを操作できる。

 

良かった点

なんと言ってもさまざまなキャラクターをロックマンXのシステムで操作できるという点。

  • これはロックマンシリーズファンには嬉しいものであり、コンシューマ側のシリーズの展開が止まって久しい中でエックスやゼロ、アクセルで新しいステージを駆けまわれるのはもちろんのこと、本来壁けりができない無印ロックマンで壁けりや2段ジャンプをしたり、流星のロックマンやロック・ヴォルナットなど2Dアクション化が無かったキャラ、アイリスやロールなどのサブキャラやシグマやゲイトなど敵キャラを操作できるというのは純粋に楽しい。
  • 『ロックマンロックマン仕様のエックスとゼロ』や『アイリスとカーネルの本来の姿』『悪事を働きすぎて黒くなったロック』など変わり種なキャラも用意されている。

多くのキャラのセリフやスキル演出などに原作に沿った小ネタが仕込んであり、制作側がロックマンシリーズを愛しているのが伝わる作りになっている。

  • これらのキャラクターを、ガチャを介せず入手でき気軽に最大まで強化(いわゆる完凸)して遊べるというのが本作最大の魅力だろう。

BGMには原作ロックマンシリーズの曲がこれでもかと使用されている。これもファン向けのお祭りゲーとしては良い点と言える。

 

不満点

まずはストーリー。
リコやヴィアといった本作オリジナルのキャラクターが活躍するのだが、肝心の本家エックスやゼロはストーリーに一切絡まない

  • 他シリーズのキャラクターたちもコラボイベントで少し絡む程度で、シナリオの内容には関わってこない。
  • ほぼ全編オリジナルキャラの物語であるため、シリーズファンが楽しめる内容なのかは大いに疑問。
  • せっかくシリーズの垣根を越えてさまざまなキャラが参戦し、原作では死んでしまっているキャラクターも登場できる設定なのだから夢のコラボ的な演出を期待したが、そういったものは全くなかった。
  • そもそもタイトルがロックマンXなのに、エックスもゼロも一切出てこないというのはいかがなものか。

内容に関しても序盤~中盤まではひたすらに『本当に悪いのはどっちかな…?』というようなことを言い方を変えて繰り返しているだけで全く話が進まない。

  • ストーリーの半分以上はそんな調子かと思えば、後半はかなり駆け足で話を畳みに入る。サービス終了が決まったタイミングだろうか。
  • テンポよく進む後半はそこそこ楽しめたが、いかんせん序中盤がひどすぎて内容が頭に入ってこなかった。
  • ソーシャルゲームであるがゆえ、サービス継続中はストーリーを完結できないというのは理解できるが、もう少し段階的に山場を用意して、例えば終盤に突如現れて一気に回収される3姉妹キャラをもっと早く出して1体ずつ回収していけばもう少しマシなストーリーになったのかなと思う。

アクションパートにも問題が多い。
まずロックマンXといえばダッシュジャンプと壁蹴りを駆使したハイスピードアクションが最大の特徴だが、本作ではことあるごとに足止めされてまったくハイスピード感が無い。

  • ステージ中に何度も何度も雑魚敵が無数に湧いてくるポイントがあり、すべて倒すまで先に進めない。
  • 一気に全部出てきてくれれば無双系のゲームのように強力な範囲攻撃でまとめて倒す爽快感があるが、小分けにして少しづつ出てくる上に、倒しても次がなかなか出てこないのでかなりの時間足止めされ不快感が強い。
  • また、本家X5でもさんざん不評だったであろう強制通信会話が本作で待望()の復活。X5と違ってステージ中ではないが、ステージ開始時に本作のオリジナルキャラたちが長々と会話をしてくれる。
  • 前述したとおり話がまったく進まないため会話のほとんどが中身のない話であり、せいぜい『このステージには中ボスが出るよ』『このステージにはボスがいるよ』程度のもので、そんなことはいちいち言われなくてもわかるようになっているので邪魔でしかない。
  • ライターもそこはわかっているようで、途中からは『このタイミングで私が通信してきたということは…もうわかりますよね!』などと言ってくるが、わかっているならやめてもらいたいものである。
  • こういったスマホゲームではよくシナリオパートとバトルパートでステージを別々にする手法がとられるが、本作もそうしたほうが良かっただろう。アクションゲームなのだから会話シーンでの足止め時間の塩梅にもっと気を使うべきだ。

雑魚敵が無数に湧いてくる、それらをすべて倒さないと進めないという割には、敵を倒しても特にアイテムのドロップは無い。

  • せめて本家のように回復アイテムを落とすとか、無印ロックマンのようにネジを落として集めると買い物できるとか、そういった雑魚敵を多く倒す意味があればまだマシだったかもしれない。
  • そうしたところでハイスピード感は無いのでどちらにしても…という感じだが。

ハイスピード感を損ねる仕様として、ディープエレメントの隠し場所にも問題がある。

  • ディープエレメントとはステージのどこかに隠されているアイテムで、集めると報酬がもらえるというものだが、隠し場所に節操がなさすぎる。
  • 普通にプレイしていたら画面外で見えない位置に置いてあったり、落ちたら大ダメージ(本家では穴に落ちたら即死だが、本作は元がスマホゲームでスタミナ制だったことと、スマホでの操作性を考慮してか穴やトゲで即死はせず大ダメージを受けるだけに緩和されている)の穴の先にじつは道があって隠されているなど。
  • これのせいでコンプリートを目指そうと思ったらいちいち画面外が見えるように意味もなく飛び回り、穴という穴に飛び込んで行かなければならず、ハイスピード感など見る影もない滑稽な遊び方をする羽目になる。
  • 無視すればいいのだが、そうなると無視すればいいようなものであることが問題。
  • 本家でもパーツやライフアップ、サブタンクなどステージ内に隠されたアイテムというのは存在したが、明らかに何かあるとわかるようにした上でアクション性や特殊武器のギミックで取るものがほとんどで、ゲームを楽しくする要素としてよく練られていた。
  • 本作のディープエレメントはただ適当に隠しただけ感が否めず、ゲームの楽しさに一切貢献できていない。道端に普通に置いてあるものまである。
  • そも、コンシューマ作品と元がスマホゲーの本作ではステージ数に差がありすぎる。この数では適切に隠したとしてもストレスが勝るだろう。
  • 後述するが、本家と違い特殊武器やパーツによるギミックやアクション性の拡張といった要素がないため、ステージ内になにかを隠そうと思ったらこうするしかなかったという面もあるだろうが、それなら潔く無しにしたほうが良かっただろう。
  • またこれに関連して、一部のステージでどこに進めばいいのかわかりづらい箇所があるのも気になった。全体的に2Dアクションのステージとして作りこみが甘い。オンライン時には定期的に追加する必要があるため開発期間の関係で仕方ないとは思うが…。

先に少し触れたが、2Dアクションロックマンの定番である、

  • 複数のステージのうち好きなステージから攻略できる
  • ボスを倒すと特殊武器がもらえる
  • ボスにはそれぞれ弱点となる特殊武器が存在する
  • ステージ内の一部ギミックにも特定の特殊武器を使用する
  • 特殊武器や強化パーツ、サポートキャラによるアクション性の拡張

といった要素はすべて無くなっている。

  • 一応ボスステージクリアでBOSSチップと呼ばれる装備品を獲得できるが、とくに弱点などの設定はない。
  • 上記したようなハイスピード感を損ねるデザインといい、そもそもロックマンXベースである必要があったのかという疑問を抱かせる。

グラフィック面も、同時期に原神がリリースされていた時代のゲームと考えるとどうしても見劣りする。

  • 規模や予算が違いすぎるため比較するべきではないが、中には正直見ていられないレベルで3Dモデルの出来が酷いキャラもいるのでやはり気になる。
  • アクション時にもエフェクト過多でキャラクターを見失うことがチラホラある。

プレイアブルキャラクターや装備の性能に関してもバランスが非常に悪い。これは元がガチャゲーなので仕方ないと割り切るしかないが、当然ながらいわゆるぶっ壊れキャラというのがいくらか存在する。

  • 特にオンライン時のサービス末期に実装されたキャラはそれ以外のキャラと比べてまさに異次元の性能をしている。
  • 壁抜けホーミング攻撃ができるキャラや装備が非常に強く、画面外の敵も勝手に追尾して倒してくれるため、ステージによっては適当に連打しているだけでほとんど敵に遭遇せずにクリアなんて事態も発生する。
  • シールドや無敵、回復も強い。こういったキャラや装備はすぐには入手できないように、ストーリーを一定まで進めないと解禁されないようになってはいるが、一部のキャラがこれをすり抜けて早い段階で入手出来てしまう。
  • もちろんこういったキャラを使うかどうかは個人の自由だが、前述した敵が無数に湧いてくる仕様やスマホゲーム特有の周回要素もあり、こういったキャラでバランスブレイクしたほうが遊びやすいというのが実際のところで、結局のところスマホのガチャゲーなので仕方ないと割り切るしかない。

UIも元がスマホ向けなだけあってマウスやコントローラーでは操作が煩わしい部分が散見される。

  • 育成要素まわりは特にこの傾向が強い。
  • アクションパートでも壁蹴り中の判定や動作が本家と違う感じがして違和感が大きかった。この点はプレイする端末環境によって印象が違うかもしれない。

キャラや作品による扱いの差も気になる。

  • ロックマンXを名乗っているためXシリーズのキャラが多いのは当然なのだが、エックス14種類、ゼロ10種類に対し、後期登場とはいえメインキャラのはずのアクセルはわずか3種類。ちなみにアイリスは6種類実装されている。
  • エグゼシリーズは人気があるからか実装数が多く、エグゼロックマンはサービス末期に実装された各キャラの最強形態である”ダイヴアーマー”バージョンが唯一実装されている他作品キャラとなっている。
  • フォルテも無印・エグゼ合わせると結構な数で、特に無印フォルテはスーパーフォルテとフォルテ&ゴスペルがわざわざ別キャラとして実装されている。
  • 一度も移植されていないマイナーゲームである外伝作品”コマンドミッション”からの参戦キャラが多い一方で、ZX&ZXAからはエールとパンドラしか登場せず、ヴァンやアッシュ、プロメテはいない。エールとパンドラの衣装違いはちゃっかり実装されているにもかかわらず
  • この辺りはサービス終了したガチャゲーということを考えると売り上げに苦心していたのだろうな、と納得せざるを得ない点ではある。

扱いの差という点ではボイス関連も問題だ。

  • オンライン版で新規に収録されているキャラもいれば、原作から流用しているキャラも多く、さらにはボイスが無いキャラも多い。
  • 声優の都合や予算の問題だろうが、令和の時代のファン向けゲームとしては少々物足りなさを感じてしまう。流用勢の中には演出とボイスがかみ合っていないキャラも散見される。
  • 大した予算も無いのにファン向けゲームをガチャゲーで作るということの悪い部分が如実に出てしまっている部分だ。

そもそもプレイアブルキャラクターの素性に関してゲーム内で解説が一切ないのも問題だ。

  • コラボイベントのストーリーで少し顔見せするキャラもいるとはいえ、これではプレイアブルキャラに愛着がわきづらい。
  • 反面、敵のボスキャラの解説は戦闘前にしっかり表示される。周回時にも律儀に何度も表示してくれるため鬱陶しいことこの上ない。

その他、イベントストーリーの時系列がまったくわからないようになっている。中にはメインストーリーに若干ながら関連したイベントもあるため、この点はマイナス評価。

 

まとめ

さんざんボロクソに書いてきたが、このゲームがファン向けゲームとして楽しめたのも事実。やはりシリーズキャラが垣根を越えて登場するのは嬉しいし、それらのキャラを課金の必要なしに揃えられるのだからファンなら楽しめないわけがない。

オンラインのサービス終了に伴ってこうして買い切り用に調整してオフライン版としてリリースしてくれるというのは本当に素晴らしいことであり、世のソーシャルゲームすべてに見習ってほしいものではある。

しかし、冷静に中身を見てみるとやはりサービス終了するそれなりの理由があるというのが実感できる。

  • とはいえ、ロックマンX DiVEのオンライン版は3年近く運営されており、これはソーシャルゲーム全般で見れば長くやったほうで、ストーリーも内容に難はあるもののしっかり完結している。

ガチャ課金有りなら残念ながら人に勧められる内容ではないが、買い切りのファン向けゲームとしては値段相応に楽しめる作品になっていると思うので、気になっている人はセールで購入してみてはいかがだろうか。

 

 

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