タイトル | 未解決事件は終わらせないといけないから |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | Somi |
満足度 | S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年3月25日 |
はじめに
steam版を実績コンプまでプレイ。未解決の行方不明事件の真相を巡り、12年前の捜査を思い出していくという一風変わった推理アドベンチャー。
- 進行によって入手する証言にはハッシュタグのように表現されたキーワードが含まれており、特定のキーワードから別の証言を連鎖的に思い出すことができる。
- そうして思い出した証言は『誰が』『いつ』発言したものかわからないものになっており、事件の流れや言葉遣いなどから推理して正しく並び替えていく必要があったりと、ゲームというプラットフォームならではの形式で推理が進んでいく。
良かった点
まずは純粋に、上記したゲームならではの推理方法が面白いと感じた。
- SNSのタイムラインのように並べられた証言のインターフェースはイマドキ感とドットによるレトロ感がうまく融合しており、本作ならではの魅力を醸し出している。
- キーワードから証言を追っていき、並び替えると繋がって徐々に真相が明らかになっていく様は単純に気持ちが良い。
そして、そんなシステム周りとしっかりと調和したストーリー…というか事件の真相もよくできている。
- オチそのものはわかってしまえばありがちなものではあるが、登場人物全員が別の誰かの為に嘘をついており、1つ1つ紐解いていく度に二転三転していくストーリー構成が見事にシステムにマッチしていた。
- 演出もよくできており、プレイ中は基本的に1曲の同じBGMが常に流れているのだが、謎を解くごとに少しづつ音が足され、同じBGMのままなのに少しづつ盛り上がっていく。
- 悲しい事件の中に、登場人物たちそれぞれの優しさが垣間見え、パズルを解くようなゲーム性に合わせて少しずつ盛り上がっていくBGM。テキスト主体のアドベンチャーゲームでここまで最初から最後まで飽きさせずに遊ばせてくれる工夫は素晴らしいの一言だ。
ボリュームは実績コンプまでで3時間もかからない程度。格安ゲームであるためまったく不足に感じないし、このくらいがこのゲームを楽しく終わらせられるベストなプレイ時間だろう。
不満点
重箱の隅をつつくようなレベルではあるが難点というか残念に感じた点もある。
1つは操作性の悪さだ。SNSのタイムラインのように表現されたインターフェースそのものはよくできているのだが、登場人物の数、証言の数、そして一つ一つの証言の長さに対して同時に表示できる証言の数が少なすぎて、かなりせわしなく画面をスクロールする必要がある。
- このせいで『解放したい証言があるけど必要なキーワードがどこにあるのかわからない』で必要以上に画面をウロウロする時間が長かった。
- プレイ時間が短いこととシナリオ・演出面で惹き込まれているため我慢できるが、未使用のキーワードに直接ジャンプできるようにするとか、この点はもう少しうまく調整できたように思う。
ローカライズにも問題を感じる。誤解のないように言っておくとこのゲームのローカライズは比較的よくできている。海外産のゲームは多く遊んできたが、その中でも上位に入る出来だ。
- しかし、先にも述べたように言葉遣いなどから発言者を特定する必要のあるこのゲームにおいては、些細な単語一つでもチョイスのズレがあればほかのゲームに比べ大きな違和感が生じる。
- 実際、ところどころで質問と答えの微妙な不和が感じられ、それは『なんかしっくりこないけどまぁでも大筋はわからんでもないか』くらいの細かい違和感なのだが、繊細すぎるシステム・シナリオに対してローカライズのクオリティが追い付いていないという印象は残ってしまった。
- 繰り返し言っておくが、ローカライズそのもののレベルは高い。が、このゲームの内容を100%表現するにはこのレベルでもまだ足りなかったということだろう。
- 一部の登場人物の一部の言動もやや整合性が取れていないというか、筋が通っていない感があるが、これもローカライズの問題のように感じる。おそらくは自分が製作者の意図と違う受け止めをしてしまっているのかな…という印象だ。
まとめ
全体として、システム・シナリオ・演出すべてがうまく嚙み合っており、それぞれをより楽しく魅せるために機能していて最後まで気持ちよくプレイできるゲームだ。
ゲームならではの方法で進行していく推理を最大限活かした作品となっており、テキスト主体ながらゲームとしての価値を示した名作であるように思う。ボリュームも値段もコンパクトなので、少しでも興味があればぜひ手に取ってもらいたい。
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