タイトル | ミラージュフェザーズ/Mirage Feathers |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | oyasumi Workshop(oyasumi製作所) |
満足度 | A(満足。たいていの場合お勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2024年9月 |
はじめに
Steam版で実績コンプリートまでプレイ。
インディーゲームデベロッパー『oyasumi製作所』開発のハイスピード・レールシューティングゲーム。往年のシューティングゲーム、取り分けSEGA産、中でも『アフターバーナー』シリーズの影響を強く受けたゲームデザインが特徴。
- 画面手前に自機、奥側に敵が配置された(手前から敵が来ることもあるが)疑似3Dの画面構成。
- ドット絵で描かれたグラフィック。
- ストーリーモードの一部シーンではイベントスチルも用意されている。観賞用のアルバムモードも。
- 切り替え式のメインウエポン4種に加え、無制限に使えるサブウエポン、クールタイム有りの回避、回数制の強化状態『オーバードライブ』など、シューティングとしてはオーソドックスなシステム。
- メインウエポンはスタンダードな性能のミサイル、拡散性と弾速に優れたプラズマ弾、画面内滞在時間が長く敵弾をかき消せるエアブラスト弾、自機から真っすぐに伸び高火力かつ敵弾もかき消せるレーザーの4種。
- メインウエポンはいずれも敵をロックオンし、ロックした敵を攻撃する。
- ミサイル以外はエネルギーを消費。ミサイルやサブウエポンのヒットで回復する。
- また、ミサイル以外はストーリーの進行によって使用可能になる。
- ゲーム中に溜まっていくスコアが一定値に達すると残機を補充できる。
その他、重要な要素として
- ストーリーはテキストアドベンチャー風のデモシーンで描かれる。もちろんドット。
- 通常のストーリーモードの他、ステージ構成ランダム、出現する敵もランダム、3ステージ毎のボス戦に勝利するたびに自機の強化(同時に敵の火力と出現スピードも上がる)ができ、終わりのない『エンドレスモード』も用意されている。
- 自機強化は各種ウエポンの性能の超強化や、自機の回避性の強化。
- ゲームをプレイするごとにポイントがもらえ、ポイントの範囲内で自機を強化できるスキルストア。
- HPの強化や回避をシールドに変更したり、ウエポンの性能をアップしたりと様々なものが用意されている。
- 解像度やサウンドなど一般的なものだけでなく、スコアによる残機補充の値やキャラクターの露出度など、設定はかなり細かく調整できる。
良かった点
疑似3Dハイスピードレールシューティングとして、値段に対しクオリティが非常に高い。
- ドットで描かれたグラフィックは疑似3Dのシューティングパート、シナリオのデモパート共に美麗。細かな動きまでよくできている。
- グラフィック全体の雰囲気やステージ演出は往年の疑似3Dシューティングへの愛が感じられるものになっており、ファンはこれだけでも楽しめるのではないだろうか。
- ハイスピード感はバッチリで、爽快感抜群。
- 爽快感によりパッと触ってすぐに楽しさが味わえる。
- ハイスピードと言っても早すぎるということも無く、ゲームとしてプレイしやすいちょうどいい辺りを上手く狙えている。
- シンプルなシステムながら、ストーリー進行に応じて各種ウエポンが解禁され、貯まったポイントで少しづつ自機を強化し、エンドレスモードでも少しづつ自機が強化されていく…といった風に段々面白くなっていくレベルデザインが良くできている。
- 敵がランダムでだんだん強くなる、自機もランダムな強化で少しづつ強くなる、とローグライク的な楽しみ方ができるエンドレスモードも、ストーリーモードとは違った楽しさを提供してくれる。
- 敵の攻撃も最初こそ見辛いものの、いくらかのパターンに分かれており慣れてくると回避の仕方が判ってくる。
- BGMはスピード感に合ったものが多数用意されており、疾走感や爽快感のある楽曲の数々がプレイを盛り上げてくれる。
- SEやエフェクトも派手で気持ちいい。
- ストーリーモードのボリュームは1時間もかからないくらい。物足りなさはあるが、値段とレールシューティングというジャンルを考えれば楽しかったで終われる長さだろう。
- 物足りない人向けにエンドレスモードがあるため、ボリューム不足とは感じない。
自分のちょうどいい難易度で遊べる、豊富な設定項目。
- 通常のオプション設定では初期ライフやオーバードライブの回数、照準の感度、残機追加のタイミング(可否も)などかなり細かく設定可能。
- 難易度は3段階から選択可能。
- 加えて、スキルストアも強化のリセットが容易に可能。
- さらにゲームオーバーになっても1度到達したステージは選択して再開可能。
- これらにより、自分にとってちょうどいい難易度でのプレイがしやすい。
- 酔いやすい人用に各種画面効果の調整ができたり、配信者向けにキャラクターの露出度まで調整できる。至れり尽くせり。
- 参考までに、3Dの一人称視点では確実に即酔うくらい酔いやすい筆者でもデフォルトの設定で問題なくプレイできた。
不満点
ストーリーのデモシーンが長すぎる。
- ゲーム開始早々に、ロクな世界観説明もないまま5分近く会話シーンが続く。
- シューティングのオープニングシーンとしては非常に長い。
- テキスト自体がとにかく冗長で、言わなくてもわかるようなことや繰り返しの説明が多くかなりくどい。
- 一方で、世界観の設定や重要な『主役2人であるノタリとミロイタの絆』に関しては明確に説明・描写が不足している。
- プレイヤーが物語に入り込むために必要な要素を語らずに、すでに入り込んでいるのが前提の内容を語るため、全編通して置いてけぼり感がかなり強い。
- プロット自体は悪くない。
- 説明不足とは言っても、想像で補完できる範疇ではある。ただ、ゲーム開始早々から飛ばしてくるため想像の暇もないというのが実情。
- 例えば件のゲーム開始早々5分程度の会話シーンも、すべてセリフで済ませてしまうのではなく最終試験の下りをチュートリアルステージとしてプレイヤーに操作させ、操作説明の中で『ミロイタと一緒に練習した』風なセリフを言わせるだけでも没入感や納得感が変わってくるのではないだろうか。
- 口調がやや不安定だったり違和感のあるセリフが散見される。翻訳の問題か。
- 最悪スキップはできる。
その他細かい不満点。
- 良かった点の項で触れたが、慣れるまでは敵弾が見辛い。
- 画面内の自機が占める割合がやや大きいことと、派手なエフェクトが災いしてのこと。
- 避け方自体は判りやすくシールドや弾消しなどもあるため、慣れれば問題はない。
- メインウエポン4種はLB/RBでの切り替え選択式。3つ目に配置されたエアブラスト弾へのアクセスが不便。
- ハイスピードゆえに、切り替え式は少々相性が悪かったように感じる。
- エネルギー消費の関係でミサイルに戻すことが多いのも一因。ミサイルとプラズマ弾、あるいはミサイルとレーザーに絞れば切り替えは楽。
- 余っているボタンはあるため、任意のウエポンに直接アクセスできるようにしても良かったかもしれない。
- 豊富な設定により難易度調整が細かくできるものの、デフォルト設定+各強化要素を普通に活用する前提だとバランスは悪い。
- 自機のパワーアップの影響が大きすぎる。敵の強化幅より明らかに強いため、ある程度強化すると途端にヌルゲーと化す。
- 強化要素を一般的なゲームにおける育成要素として見るか、それとも初心者救済要素として見るかで印象は変わる。
- 自機の過剰なパワーアップにより一時的な爽快感は得られるため良い側面もあるが、難易度の破綻による作業感は無視できない。
- 特にエンドレスモードは自機のパワーアップが非常に強力かつ無制限に戦い続けるため、ある程度進むと完全に作業と化す。
- このためシューティングとして楽しい難易度で遊ぶにはある程度自主的に縛る必要がある。
- 強化要素に関連して、スキルストアでの強化が毎回リセットされてやり直しになるため面倒。
- リセットされない永続化をすることも出来るが、要求アイテムを必要数集めるまで相当プレイしなければならない。
まとめ
非常に丁寧に作り込まれたレールシューティング。ストーリー面とやや大味なバトルバランスでケチが付くものの、往年の疑似3Dシューティングへのリスペクトが随所に見られ、愛や気概が伝わる良い作品だった。
作り込みに対して破格とも言える値段で気軽にハイスピードシューティングの爽快感が楽しめるので、セガ好きの方もそうでない方も、ぜひ手に取っていただきたい。
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