【Steam】片腕のザリガニ – one-armed crayfish 感想

片腕のザリガニ タイトル画面 Steam
タイトル 片腕のザリガニ – one-armed crayfish
プレイした機種 PC Steam
メーカー 斜塔ソンブレロ
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • 青春モノのノスタルジック感や青臭さが詰まったシナリオ
  • 全編スチル演出の豪華さ、没入感
  • 値段に対する満足感
  • 説教臭さ、青臭さ、くどさ
  • 良かった止まり
執筆日 2025年3月1日

 

 

はじめに

片腕のザリガニ タイトル画面

Steamにてクリアまでプレイ。

個人制作サークル『斜塔ソンブレロ』開発のビジュアルノベルゲーム。

「逆張りなんて反抗期の一種でしかない」と順張りを信条とする主人公 野崎優太と、逆張りばかりするクラスメイト 三好岬の青春ストーリー。

 

基本システム

  • テキストを読み進めるテキストアドベンチャー形式。
    • 選択肢による分岐無し。
    • クリアまで1~2時間前後。
  • 最大の特徴としてイラストは立ち絵を一切使わず、すべてスチルで進行する。
    • 本作に限らず、斜塔ソンブレロ作品はすべてこの仕様だとか。(筆者は初斜塔ソンブレロ作品)

 

良かった点

青春の淡い雰囲気や思春期特有の思考を丁寧に描いたストーリーと読みやすいテキスト

  • ”順張りと逆張り””ザリガニ”という題材の元、青春モノのノスタルジック感、良い意味での青臭さが2時間程度のシナリオにギュッと詰め込まれている。
    • テーマこそ一風変わったものではあるが展開そのものは王道のボーイミーツガールとなっており、すんなり入ってくる。
    • 号泣するほど感動するとか、深く考えさせられるといったものでは決してないが、等身大の青春ストーリーとして適度に心に刺さり、適度に考えさせられる、”こういうのでいいんだよ”な物語になっている。
    • クリア後の余韻感も適度に残る。
    • 余計なシーンが一切なく、すべてが必要なシーンとしてスチルとセットで印象に残る
  • 導入はコメディチックに進行。読みやすいテキストで自然に世界観に入り込めるようになっている。
    • 全編スチル使用と併せて、ただテキストを読むだけでありながら没入感はなかなかのもの。
    • 全編にスチルが用意されているおかげで、テキストだけでは掴みづらい細かい状況や雰囲気が伝わりやすい。
    • 細かい描写をスチルに任せることでテキストが冗長にならず、読みやすい。
  • オープニングには青春アニメ感あるアニメーションが用意されている。
    • BGMもシナリオやテキストの雰囲気に合ったものが採用されている。

 

お手頃価格に対しての満足度が高い

  • 1~2時間前後のプレイ時間は軽い読み物としてちょうどいいボリューム。
    • 上記したように無駄なシーンが無くコンパクトにまとまっている。
  • そして低価格ながら圧巻のスチル数。クリア後におまけのスチル集を見て数の多さに驚いた。
    • 下手なフルプライスのノベルゲームより断然多い。
    • スチル集に限らず、クリア後のオマケも充実。
    • 上記オープニングアニメーションも、価格を考えたら破格の豪華演出と言える。

 

不満点

説教感、悪い意味での青臭さ、若干のくどさ

  • 青春モノとしては避けられないところでもあるが、やや説教めいた内容にも感じられ、苦手な人もいるかもという印象。
    • 同時に青臭さも、読んでいて恥ずかしくなるようなシーンはあった。
    • 総じてしっかりと青春モノであり、苦手な人は辞めておいた方が賢明。
  • ”順張り、逆張り”というワードを使いすぎて若干くどさが出てしまっている。
    • テーマであるとはいえ、もう少し違う表現を織り交ぜたり、長く語る場面を絞っても良かったかなと感じた。
    • 1~2時間という短いプレイ時間に必要なシーンだけが詰め込まれている弊害とも言える。

 

適度に良かった止まり

  • 良い点でもあるのだが、号泣するほど感動するとか、深く考えさせられるとか、壮大な伏線回収とかそういうものではないため、印象としては”良かった”で止まりやすい。
    • 全編スチル表示に関しても、数こそ下手なフルプライスより多いとは言ったがクオリティは流石に劣る(もちろん絵の好みはある。筆者は好みの絵柄)し、ほぼ背景イラストみたいなものもスチルとして扱われている。
    • あまり期待しすぎると肩透かし感はあるので、ストアページのスクリーンショットをよく見た上で、あくまで低価格の等身大青春ストーリーとして購入しないと印象が変わってくる。
  • もちろん良かったというのは悪い評価ではない。本作はこの”適度な良さ”が丁度いい作品であろう。

 

まとめ

低価格ながら圧巻のスチル数で値段に対する満足度が高い作品。読みやすいテキストでシナリオには青春らしさがこれでもかと詰まっており、全編スチル演出により没入度も高く1つ1つのシーンが印象に残りやすい。

青春モノらしい”臭さ”はやや気になるものの、適度に良いを見事に撃ち抜いていく、軽い読み物として楽しめる良作だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました