タイトル | ポケモン トレーディングカードゲームポケット |
プレイした機種 | iOS iPhone13/iPad Pro |
メーカー | 任天堂(株式会社ポケモン)/クリーチャーズ/DeNA |
満足度 | C(満足できなかったが不満は小さい。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年10月31日 |
はじめに
iOS版にて一人用バトルすべて+オンライン対戦+コレクション要素を一通りプレイ。
任天堂(ポケモン)、クリーチャーズ、DeNAの3社が共同開発するスマートフォン向け基本無料アプリゲーム。略称はポケポケ。
1996年より長らく展開中の『ポケモンカードゲーム』待望のアプリゲーム版であり、カードパックを開封してカードを獲得、手に入れたカードをファイリングしたり、ボードに飾ったり、デッキを組んで対戦したりといった、現実さながらの遊びを体験することができる。
カードパックについて
- プレイヤーは毎日2パック(サブスクサービスを購入で+1パック)無料で開封することができる。
- 現実と同じく1パック5枚入り。
- 通常はダイヤ1が3枚確定、残りの2枚はダイヤ2以上確定。(レアリティについては後述)
- ごくまれに5枚すべてのカードが星1以上確定の『レア封入パック』となる。
- 毎日2パックとは言うが、実態としては『パック獲得権利』の回復時間が1パック=12時間ということ。12時間経過で1パック獲得、24時間で2パックとなる。
- パック開封時はパックの封を切る演出が入り、現実のカードパックを開けている時のような気分を味わえる。
- 毎日の固定無料分以外でパックを獲得する場合、上記した回復時間を短縮する形となる。
- 『砂時計』で1時間、『ポケゴールド』で2時間短縮可能。
- 砂時計はデイリーミッションなど基本無料で入手可能。ポケゴールドも無料配布はあるが基本は課金入手。
- ポケゴールドを課金購入してパックを獲得する場合、まとめ買いでの割引等もあるがおおよそ現実のカードパック(180円)よりも安くなる。
- カードのレアリティは8種類。
- ダイヤ1~4<星1~3<王冠。
- ダイヤ1が現実で言うコモン、ダイヤ2がアンコモン、ダイヤ3がレア、ダイヤ4がダブルレア、星1がアートレア、星2がexやサポートのスーパーレアといった配分。
- ダイヤ3以上のレアリティは所謂キラカード。
- 星3は本作の目玉とも言える『イマーシブルカード』。カードイラストの中に飛び込んでイラストの世界を見ることができる、デジタルならではの演出が見られるカードとなっている。
- 星1~3と王冠に関してはダイヤ1~4のカードの別イラストバージョンとなっており、カードバトルで対戦するだけなら入手しなくても問題はない、コレクション用のレアリティ。
- これらの他、パックからは排出されない『プロモーションカード』も存在する。サブスクサービスの特典や、ショップでの交換品(無課金で入手可能)など。
ゲットチャレンジについて
- 他のユーザーのパック開封結果が共有され、ポイントを消費することでその中から抽選で1枚を自分のカードとして獲得することができる。
- カードを奪う奪われるというものではなく、他人が入手したカードと同じカードを自分も獲得できるというだけ。
- 共有されるパックはランダムだし、入手できるカードも5枚からランダムではあるが、見えている5枚から抽選のためうまく活用すれば欲しいカードをパックと別ルートで入手できる。
- こちらもポイント回復時間は砂時計やポケゴールドで短縮可能。
コレクション要素について
- 入手したカードをボードに入れて飾ることができる。
- ボードと称してはいるが現実でいうカードローダーのような物に入れている形。
- 1つのボードに1枚のカードを収納できる。
- ボードのデザインは追加可能。シンプルな立てローダーからアートレア風なポケモンのイラストなど様々。
- 入手したカードをファイルに入れて保管することができる。
- 1つのファイルに30枚までのカードを収納できる。現実のように空きがあっても問題ない。
- こちらもファイルの表紙デザインは追加可能。アートレア風なイラストが用意されている。
- これらのコレクション要素は他のユーザーに公開することができる。
- 3枚以上ダブったカードを消費することでカードにエフェクトを付与することができる。
- キラキラさせたり、炎や水泡が出たりなど。カードにより付与できるエフェクトは異なる。
バトルについて
- 集めたカードでデッキを組み、対戦することができる。ルールは現実のものと違う簡易版となっている。
- 用意されたデッキを使うCPUとの対戦が楽しめる『ひとりで』と、オンラインで他のユーザーと対戦する『だれかと』の2種類が存在。
- 直接バトルを行う『バトル場』1枠、直接闘いはしないが進化やエネルギーのセットは可能な『ベンチ』3枠の、計4か所にポケモンを呼び出すことができる。
- 手札を5枚引き、その中から『たねポケモン』と呼ばれる未進化状態のポケモンカードを上記した枠にセットする。ベンチにだけセットすることはできず、必ずバトル場にポケモンがセットされていないといけない。
- お互いにセットが完了したらセットしたポケモンが公開され、先攻からターンが開始する。
- コイントスで先攻後攻を決める。
- ターンはカードを1枚引く→ポケモンのセット・進化、エネルギーのセット、サポート・グッズカードの使用、ポケモンの交代→バトル場のポケモンで攻撃→ターン終了という流れで進行する。
- バトル場のポケモンで攻撃を行うと自動的にターン終了となるため、それ以外の行動はすべて攻撃前に行う必要がある。
- たねポケモンカードは空き枠にセットできる。枠の限り1ターンに何枚でも可。
- 進化ポケモンカードは進化前のポケモンに重ねる形でセットする。ただし進化前のカードをセットしたターンには進化出来ない。
- エネルギーは毎ターン1つ自動で供給される。属性はデッキ構築時に選択したものからランダムで1つ。
- 場にセット済みのポケモンならどれでも好きに付けることができる。
- エネルギーは未セット状態で次のターンに持ち越すことはできない。
- サポートカードは1ターンに1枚まで、グッズカードは何枚でも使用可能。
- バトル場にセットされているポケモンの『逃げる』欄に書かれたコスト分のエネルギーを消費することで、ベンチのポケモンと交代できる。
- 逃げるエネルギーはバトル場のポケモンに用意されていないといけない。
- 消費したエネルギーは破棄される。
- ポケモンには技と必要なエネルギーが書かれており、エネルギーが足りている状態なら1ターンに1度技の使用が可能。
- 大半の技が相手のポケモンにダメージを与える効果を持っている。このダメージを用いて相手のポケモンのHPを0にするのが目標。
- 技を使用できるのはバトル場にセットされたポケモンのみ。
- 技を使用すると自動的にターン終了となる。
- ポケモンには弱点が設定されている。弱点属性の技を受けると受けるダメージが増加する。
- 通常の技とは別に『特殊能力』を持っているポケモンも存在。特殊能力は通常の技と違い攻撃扱いではない=使ってもターン終了にならず、特殊能力を使った後にさらに技での攻撃も可能。
- 特殊能力はベンチでも使用できる。
- 相手のポケモンのHPを0にすると1ポイント獲得できる。3ポイント獲得で勝利となる。
- 場のポケモンがHP0になった場合、ベンチから次のポケモンをバトル場に送り出す。
- exポケモンという、通常のポケモンよりも強力な効果を持つ代わりにHP0で2ポイント獲得となるカードも存在する。
- 相手の場にポケモンがいなくなった場合も勝利となる。
- 便利機能としてはオートバトルのみ。
- 最低限まともにプレイはしてくれるが、勝利盤面を逃したりもするのでそこそこ頭が悪い印象。
デッキについて
- 1デッキ20枚のカードで構成される。多くても少なくても不可。
- 同名カードは2枚まで。別イラストの物も同名カードとして扱われる。
- 対戦時に排出されるエネルギーの属性も選択可能。2属性以上でデッキを組む場合や一部複数の属性のエネルギーを使うポケモンが存在。
- コイントスで使用するコイン、スリーブ(カード裏面デザイン)、プレイマット(場のデザイン)もデッキごとに設定可能。
- コイン・スリーブ・マットのデザインは追加可能。
- デッキケースのデザインも選択可能だがこちらは現状デザインの追加は用意されていない。
良かった点
様々な絵柄のポケモンカードや周辺アイテムを集めるのが楽しい。
- 紙のカード同様、たくさんのイラストレーターによって描かれたポケモンやポケモン世界のイラストは魅力的で、ポケモンやポケモンカードが好きなら集めるだけでも楽しさを感じることができるだろう。
- ゲームオリジナルのイラストはもちろん、紙のカードと同じイラストのものもあり、紙のカードを集めている(集めていた)人には懐かしさも感じられる。
- 短期間で獲得できるパックの数はサービス開始直後のブーストを加味してもかなり少なめだが、毎日2パック貰えることを考えれば長く遊べばかなりの数のパックを無料で貰えることになる。
- お金の問題で現実のカードに手を出さなかった人でも続けやすい。デジタル故、場所を取らない・劣化しないのも手を出しやすいポイント。
- カードの世界に入れる『イマーシブルカード』も現時点で数は少ないながらも非常に魅力的なイラストに仕上がっており、ポケモン好きなら欲しいと思えるものになっている。
- 現時点で実装されていないイマーシブルカードへの期待も高まり、自分の好きなポケモンのイマーシブルカードの実装が楽しみになるだろう。
- ポケモン人気には魅力的なトレーナー(人間キャラ)たちの人気も大きい。今後トレーナーカードのイマーシブルカードが実装されるのかは気になるところ。
- パック開封の際の封を切る演出など、コレクター的に嬉しいポイントはしっかり押さえている印象。
- 所持カードリストで図鑑表示モードにすると、カードナンバー順で持っていないカードが空欄で表示される。持っていないカードがわかりやすいと共に、空欄を埋めたいというコレクター魂を刺激するものにもなっている。
- スリーブやプレイマット、コインにボードやファイルといった周辺アイテムも集められるようになっており、好きな絵柄のものを使用するのは楽しめる。
- ただ現状は数が少なく個性を出しづらい。追加実装のペースは1つ重要なポイントになりそうだ。
対戦は無制限に遊べる。
- スタミナは無いため、対戦はソロ・マルチ共にいくらでも遊ぶことができる。
- と言ってもデジタルカードゲームのアプリゲームはほぼこの仕様なので、このゲームならではの良さというわけではない。
- ルールが違うとはいえ、対戦相手を楽に確保できるオンラインでポケモンカードの対戦ができるのはファンには嬉しいポイント。
- 簡易ルールであることと、強力な反面2ポイント入ってしまうexカードが主力なこともあり、1戦あたりの時間も短め。
- ただしバトル周りは問題点も多い。後述。
やることが少ない。
- これは良い点でも悪い点でもある。日課的なやるべきことの少なさや、課金要素の重要度の低さから他のゲームと掛け持ち前提のサブゲームとして適性が高め。
- 『ひとりで』のバトルをすべて終えたら(数も少なく難易度も低め、前述したようにスタミナもない)あとは趣味でオンライン対戦をしない限りはパックやゲットチャレンジ待ちで12時間おきにログインするだけになる。
- 筆者的には元々サブゲームと考えていたため良いが、メインでガッツリ楽しみたい人には大きな不満点となる。
- 動作も軽く、クオリティのわりにバッテリー消費も控えめ。
- サブゲームはどうやって課金してもらうかが難しいところだが、本作はポケモン及びポケモンカードのブランド力で充分課金してもらえるのだろう。
不満点
全体的にテンポが悪い。
- パック開封、コレクション、対戦どれをとっても演出がややもっさり気味でテンポが悪い。
- パック開封時は未入手のカードの登録演出なども入りタップ回数がやたらと多い。
- バトルもやや演出過剰。初見は楽しいが何度もやっていると飛ばしたくなるので演出の簡易化を設定で選べるようにするか、倍速機能などが欲しい。
- ポケモンのセット、サポートカードの使用、エネルギーのセットなどの度にカードの使用を受け付けないウエイトが発生する。
- ウエイト無しでサクサクカードを使用できるゲームも多いため、デジタルのカードゲームに慣れている人からするとストレスになりやすい。
- テンポそのものとは関係ないが、対戦中手札のカードを選びにくく、違うカードを選択してしまうことも多い。これもストレス要因。
ゲームとしての楽しさに欠ける。
- 後述するが、デジタルカードゲームの対戦アプリとしても、コレクションを楽しむためのアプリとしても、現状では物足りない。
対戦バランスについて。
- 主にピカチュウexによる高速ビート、カスミによるエネルギー加速の存在により1戦あたりの時間を短く設定するデジタルカードゲームであることを加味してもバトル展開がかなり速い。
- これにより2進化のポケモンや高コスト技を軸にした戦術がかなり厳しい。
- 強力なポケモンで制圧された状態を解決できるカードは少なく、展開の速さも相まってデッキ構築~先攻後攻決め、最初の引きくらいで勝敗がほぼ決してしまっている印象。
- コイントスで効果が変わる技が多く、かつ成功時の効果が高いため運ゲーになりやすい。
- 上記したカスミ、あとはサンダーexやガルーラ辺りがこの傾向が強い。
- カードゲームなんてどれも運ゲーと言われればまぁその通りではあるが、ゲーム展開の速さからちょっとしたアドバンテージの差を覆せないまま勝負が決することが珍しくない。
- デッキが20枚しかなく初期手札として5枚ドローするにも関わらず、ドロー加速やサーチカード(デッキの中から特定のカードを探して持ってくるカード)が平然と存在している。
- どちらも汎用性の塊のような能力でどんなデッキにも入れられる。
- サーチカードは現状たねポケモンのみのため、これも強力なたねポケモンで制圧して2進化ポケモンなどは出す暇がないという流れをより強固にしてしまっている。
- そもそもデッキ20枚・半数はドロー加速など汎用カードで埋まる・初期故にカードプールも狭いとあってデッキ構築に個性を出す余裕が全くない。
- それゆえに、必要なカードがパックで獲得できなかった時の対戦面でのダメージが大きい。
- 幸いなことに、現状はランクマッチなどもなく趣味以外で対戦する意味はゲーム的にはほぼない状態。
- 現時点ではバトルはオマケ程度という印象。
- 本格的にデジタルカードゲームで遊びたい人にはかなり物足りない対戦環境だろう。
コレクション要素も中途半端さが否めない。
- 手に入れたカードをボードに飾る、ファイルに飾る。ここまでは良いが、これだけでは『カードコレクションゲーム』の遊びとしてはやや弱い。
- 例えば作成したボードを設置するマイルーム(棚とかでも良い)のようなものがあれば、コレクションを楽しむゲームとしてもう少し楽しく遊べるようになるのではないか。
- スリーブやプレイマットなども飾れると良い。
- ただボードに入れたカードというだけでは、わざわざ他人の物を見たいとも思いづらい。自分が持っているカードなら尚更である。
- ファイルは30枚収納でき、中身は3×10で一覧表示されるが、現実のファイルは通常1ページあたり3×3の9枚収納で見開き18枚収納。
- 『カードファイル』なのだから、現実のように見開き形式で表示したいところ。
- 縦画面なので仕方がないところではあるか。
- この辺りの問題は本作が普通にデジタルカードゲームの対戦アプリとして遊べれば、コレクション関連はオマケ要素として見れるため問題ないのだが…
- 現状は上記したように対戦面での楽しみが希薄なため、『コレクションを主軸に遊ぶアプリである』という印象が強く、気になるポイントになってしまっている。
- 紙のカードのデジタル版でコレクション重視と考えると、紙のカードでの人気カードがあまり実装されていないのも気になる。
- 今後に期待か。
カードクラフトシステムは賛否が分かれる。
- 多くのゲームでは不要なカードを削除することでポイントが得られ、そのポイントで好きなカードを入手できる通称『クラフト』システムが導入されている。
- 自分が組みたいデッキで使わないカードを必要なカードに変換できるため、無課金でもデッキを絞れば環境に通用する強力なデッキを比較的安定して用意できるシステムといえる。
- 本作にはこのようなシステムはなく、代わりにパック開封時に一律でポイントが付与され、ポイントを使用してカードを入手するという通常のガチャの天井に近いシステムが導入されている。
- この点は『対戦ゲーム』として考えると『不要カードの有効活用』が出来ず不自由に感じるが、『コレクションゲーム』として考えれば『コレクションを崩さずにカードを揃えられる』ため噛み合ったシステムとも言える。
- とはいえ3枚以上ダブったカードは現状エフェクトに変換するしかなく、バトル用としてもコレクション用としても使う予定のないカードのエフェクトに変換しても嬉しくないため、コレクション重視といえどもやはり通常のクラフトシステムでよかった感はある。
その他気になる点。
- ファン向けゲームとして考えると、ポケットモンスターシリーズやかつてのポケモンカードGBなどで使用されたBGMを使用してほしかったところ。
- UIや各種演出はシンプルで悪く言うと地味。
まとめ
魅力あふれるポケモンのイラストカードを収集する作品として、粗はあるものの最低限無難な出来栄えと言ったところ。
デジタルカードの対戦ゲームとしては正直微妙な内容であり、あくまでもポケモン・ポケモンカードが好きで、勝負や性能は関係なしにのんびりとコレクションを楽しむことができる人向けの内容となっている。
個人的にはもう対戦面は捨てて、コレクション面にかじを切ってシステムや演出を強化してほしいと感じるが、運営会社的にこの先どうなるかは何とも言えないところ。
ポケモンカードGBシリーズの系譜を期待していたり、現行の他の紙カードのデジタルアプリ版のような内容を求めていると期待外れに感じるため、ある程度人を選ぶ。
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