タイトル | リバースブルー リバースエンド |
プレイした機種 | iOS iPhone13/iPad Pro |
メーカー | Happy Elements KK/grimoire |
満足度 | B(やや満足。条件付きでお勧めできる。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年9月30日 |
はじめに
iOS版にて実装済みコンテンツを一通りプレイ。(リバースバベル50層クリアまで)
『Happy Elements KK』、子会社の『grimoire』からリリースされたスマートフォン向けアプリゲーム。
世界を支配する神々によって8回滅ぼされ、9回目となった世界『第九軌道人類史』を舞台に、不老不死の力を持ち『魔王』と畏れられる『騎士』の少年少女たちと、歴史を上書きする力持つ魔剣を用いて元の人類を消し去ろうとする『軌道修正』の戦いを描いた、中二心溢れる作品だ。
- ゲームとしてはスタミナ有り・ガチャ有りのオーソドックスなスマホゲーム。
- ストーリー進行や素材集めにはスタミナ消費、エンドコンテンツである『封印戦』『伝承戦』はスタミナ消費無しという形式。(封印戦は1日の回数制限有り。)
- キャラ・スクリプト(武器)は基本ガチャ入手。ガチャはキャラ武器別々になっている。
- ガチャから排出されるキャラのレアリティは星1~3。同キャラを重ねることで星が増えていくタイプ。
- 同一人物の衣装違いは別キャラクターとして扱われる。同一人物の複数同時使用はできない。
- 武器はR<SR<SSR。こちらも凸あり。
- キャラクター・スクリプトにはそれぞれロール(役割)が設定されており、一致するものしか装備できない。
- 低コスト低ステータスでコストを稼ぐ能力を持つ序盤の尖兵『ブレイカー』、高ステータス高コストの前衛『アタッカー』・後衛『シューター』、バフデバフでサポートする『サポーター』、回復役の『ヒーラー』、ノックバックや気絶など特殊な能力でギミック攻略に使える『トリックスター』の6種。
- バトルシステムは所謂『タワーオフェンス』と呼ばれるジャンル。画面左端に主人公・画面右端に敵ボスが配置され、敵軍が画面右端から左へ侵攻してくるため、自キャラを召喚して侵攻を防ぎつつ右側へと逆に侵攻していき、敵ボスを撃破すれば勝利、主人公が倒されれば敗北となる。
- 仲間の召喚には戦闘中徐々に溜まっていくコストを消費する。
- 各キャラに定められた行動パターンに基づき自動で行動する。
- ゲージが溜まると使用できる必殺技(BLADE)あり。画面タップでプレイヤーの任意で発動できる。
- 敵の攻撃で戦闘不能になったキャラはコストが増加し、一定のクールタイム後に再召喚できる。
- 時間制限有り。
- ストーリーは一般的なテキストアドベンチャー方式。選択肢もあるがシナリオ進行に影響はない。
- 育成要素としては下記要素が用意されており、様々な素材を消費する。
- キャラはレベル・凸・覚醒(スキルレベル)・BLADEレベル・深層覚醒(ランダムステータスボーナス・素材消費で再抽選可)。
- スクリプト(武器)がレベル・凸・スキルレベル。
- 主人公の成長要素としてプレイヤーレベル・魔剣(主人公用の装備)のレベル・スキルレベル・侵蝕率(熟練度のようなもの)。
- その他の要素として『基地』が存在。リアルタイム経過でスタミナや育成リソースが補給される要素、ラーメン屋を経営する要素、素材を消費+リアルタイム経過でガチャを介さずにスクリプトを生成する要素などが用意されている。
- ゲーム内用語やキャラクターのデータベースも実装されており、サービス開始時点でかなりのテキスト量。
- フレンドやギルドといったマルチ機能は現状無し。一方的なフォロー機能は有り。前述した封印戦・伝承戦は獲得ポイントや進行状況のランキング有り。
- 封印戦は1日の回数制限有りで強力なボスと戦い敵HPをどこまで削れるかに応じてポイントを獲得、ポイントによって報酬やランキングが存在するコンテンツ。
- 伝承戦は強力な敵との戦闘をひたすら繰り返すコンテンツ。通常の『リバースバベル』の他、使用できるキャラの制限がある『アナザーバベル』『バベルリビルド』が用意されている。
- ランキング有りではあるが、フレンドへのキャラ貸し出しやマルチバトル・PvPといった要素はないためソロゲーとして遊ぶ形となる。
良かった点
中二心溢れるストーリーや世界設定、ゲームデザイン。
- 猛烈に人を選ぶが、ゲーム全体を通してとにかく中二病全開で一貫しており、刺さる人には強烈に刺さるだろう。
- 『軌道修正』だの『第九軌道人類史』だの『主人公たちは魔王』だの、あらすじだけでも中二具合が伝わってくる。
- 中二病であると同時になろう的でもある。こちらも人を選ぶが好きな人には刺さりやすい要素と言える。
- 敵味方が延々と『まぁ想定内だけど』を繰り返す闘い。伏線も脈絡もないため人によっては苦痛なレベルだが、一種の中二病風ギャグとして軽い気持ちで見るとなかなか面白い。
- 公式のストアページすら中二病全開。ここまで振り切っていると清々しさすら感じる。
- 個性的なシナリオ・テキスト周りに対してBGMはイマドキ風のオシャレでエモい感じの曲が揃っている。これはこれで作風にも合っている。
- 良い意味でも悪い意味でも『中学生の妄想の世界を商業作品として具現化した』ような作品。筆者個人としては概ね良い方向に作用していると捉えているが、合わない人にはとことん合わないだろう。
サブゲー適正高めなデザイン。
- リアルタイム経過でのリソース補給要素(放置要素)を始め、周回ステージの快適なスキップ機能、シナリオの読み返し機能、完全にソロで遊べる、(現時点では/国産としては)緩めなガチャシステムなど、サブゲー適正が高め。
- 掛け持ちで遊びやすいデザインは現代において評価点。
- 逆に言えばメインで遊びたい人はボリューム不足に感じやすい。この辺りは後述。
不満点
ゲーム全体を通してとにかく大味。致命的な問題こそ少ないものの、作り込みの甘さが目立つ。
- シナリオは敵味方が『なんだと!?』『まぁ手の内だけど』を交互に繰り返していく展開の一辺倒。前振りや伏線もほぼ無く、前述したようにギャグとして見れば愉快だが、真面目に読むとうんざりしてくる。
- 大筋自体は悪くないのだが、このやり取りのせいで冗長に感じる。
- ゲーム開始直後のチュートリアルを兼ねたオープニングシナリオだけで1時間以上かかる。中二病が合う合わない以前の問題である。
- スキップ・読み返しがあるため致命傷ではない。
- キャラの召喚にコスト消費があるタイプのタワーオフェンスだが、コストは戦闘開始直後の召喚キャラ数を縛る程度にしか機能していない。
- 戦闘不能後のクールタイムが長すぎることと、制限時間の存在による。
- 戦闘開始時の初期コストが少なく設定されているステージなどコスト制をうまく戦略性に落とし込んでいるステージも一部存在しているため、この辺りは今後の追加ステージの調整次第か。
- キャラごとの性能調整も大味で、一部性能を発揮しきれていないキャラがいる。
- 単に性能が高い低いという話でなく、ヒーラーなのに最前線に出て即死するキャラ、モーションが長すぎて役割を遂行できていないキャラ、攻撃や回復が当たらないキャラなど調整不足に感じる点が目立つ。
- 特に、通常攻撃のモーションが長すぎてスキルをクールタイム通りに使用しないキャラはカタログスペックと実際の使用感の差が大きい。
- キャラの位置取りも不可解な動作が多い。後ろにいたサポーター、ヒーラーが突然前に出てくるケースや、逆に届かないのにずっと後ろに張り付いているケースなど。
- バトル自体は良くも悪くも、ガチガチにコストや行動パターンを管理する戦略的なタワーオフェンスというよりは、ガチャゲーらしくキャラパワーでゴリ押すタイプのバランスに仕上がっている。
- 同キャラの別バージョンを同時に編成できない。にも関わらず、ただでさえサービス開始直後で実装キャラクターの人数が少ない中で同キャラの別バージョンがかなり多い。
- 記事執筆時点ですでに水着バージョンの実装も発表されている。該当キャラは通常(デフォルト)・アナザー・制服ですでに3種類の別バージョンが実装されているキャラである。
- 別のゲームではそもそも同キャラ編成が可能だったり、不可能の場合でもバージョン違いを揃えると各バージョンにステータスのボーナスが入ったり、別バージョンのスキルを使えたり、2つ目以降は育成が緩和されたりといった救済要素があるが、本作ではバージョンが増えるメリットが一切ない。
- 既存のスマホゲームで何度も言われてきたような不満点が多い。
- 回数制限有りのダメージコンテストコンテンツがあるのに模擬戦などのお試し機能が無い。(一応戦闘終了前にリタイヤすれば回数を消費しないため疑似的な模擬戦は可能)
- 敗北時に誰が何ダメージ与えた/受けたのレポートが見られない。
- 後から出てきたミッションで既に条件を満たしていても再度やり直さなければならない。など。
- 上記した同キャラ編成不可などもこれに当たる。
- UIも問題が多い。
- 報酬の受け取りや放置機能の回収、日課的な要素などが様々なページに散らばっており非常に煩雑。
- 特に基地周りと、各キャラクターの育成報酬(キャラや武器を獲得したり、それらを一定まで育てた際の報酬)周りはヒドイの一言。
- それ以外にも無駄にページ数(タップ数)が多い。毎日・長く触るスマホゲームのインターフェースとしてはかなり低品質。
- 特にサブゲー向けであることを考えるとUIでの余計なストレスは排除すべき。
- 編成画面では自由な順番でキャラを並べられるが、戦闘が始まると勝手にコスト順に整列される。
- 戦闘中、敵の耐性によって攻撃が無効化されている時は数字が一切表示されない。ユーザー目線では無効化された理由に応じてなにか表示してくれないと原因がわかりづらく、攻略の道筋を立てられない。
- デザインそのものは全体的にオシャレで世界観に合っている。
- 『アークナイツ』そっくりではあるが、スマホゲーム界ではよくあることだしフォロワーゲームであると考えれば筆者的には特に気にしていない。
- 基地関連で、各施設(リアルタイム経過でリソース補給など)のレベル上げ(収集効率が上がる)に必要なオッターペイ(ゲーム内のお金)の要求量が桁を間違えているレベルで高すぎる。
- 現状ではラーメン屋経営くらいしかオッターペイを稼げる要素がなく、要求量に見合った収入が無い。
売り出し方がややチグハグ。
- ストーリー・世界観重視の作品だが、サービス開始時点で3章までしかストーリーが実装されていない。
- テキストアドベンチャー形式でこの量はさすがに少ない。
- 上記したように冗長さが目立つため、内容以上に長くは感じる。
- 各章はそれぞれ別の陣営(仲間キャラのグループ)を中心にしている。3章までしか実装されていない都合で、まだシナリオで活躍していない陣営がいる状況。
- そしてその活躍していない陣営のキャラがガチャのピックアップになっている。
- キャラクター性も重要と思われるが、キャラごとの個別シナリオ(俗にいうキャラクエストのようなもの)は無い。
- キャラごとのデータベースはあるものの、あくまで設定集のようなものでありシナリオではない。
- キャラ人気での売り方を考えた際に、同キャラ編成不可が足を引っ張る。
- 例えば推しのキャラがいたとして、そのキャラの衣装違いを揃えたとしても使えるのは1体だけである。
- ちなみにフルボイスではない。
- Live2Dでの立ち絵やイラストの動きも無い。この辺りは他作品と比べて明確に低予算感が出ている。
- 2024年のガチャの景品として課金してもらえるかと言うと…これらの要素によりやや怪しい。
- ストーリー重視のゲームはまとめてガッツリ遊びたい人も多い中で、本作はボリューム薄目のサブゲー志向。
- サブゲーとしてはいい塩梅だが、ガッツリ遊ぼうとするとかなりボリューム不足。
- サブゲー前提ならそこまで気にならないが、ガッツリ遊ぼうと思うとスタミナの縛りが非常に厳しい。
- 石でのスタミナ回復は最近多いだんだん高くなっていくタイプ。それは良いが、石とは別にスタミナを回復するアイテム(他のゲームで言うドリンクなど)が存在しないため、スタミナの縛りが一層厳しい。
- ただ、上記したような作り込みの甘さも含めて、低コストで作られ目標売上も低めのサブゲー狙い作品としてはここ最近の作品の中ではよくできている。
- 戦闘中のグラフィックなどはかなりチープなものの、サブゲー狙いの低予算作品として考えれば納得できる範疇。
まとめ
全体的な作りの甘さに加え、全力で人を選ぶ内容のため広く勧められるものでは決してないが、刺さる人には刺さる世界観と高いサブゲー適正を有し、中二心をくすぐる何とも言えない魅力を放つ作品。
あまりにも人を選び、おそらく開幕のチュートリアルシナリオで大半を篩い落としていると思われる。このため逆に続けられる人は意外と長く遊べるのではなかろうか。
今後に望むこととしては、性能を発揮できていないキャラの調整(強くしろということではなく、カタログスペックに沿った動きをしてほしい)、同キャラ編成不可問題への解答、サブゲー適正を崩さない程度の遊びの拡充、模擬戦機能など最低限の機能追加などは急務かと思う。
その上で、サブゲーとして飽きさせずに長く続けてもらえるような継続的な情報の発信、キャラクター売りの強化やサブゲーとして課金してもらえるラインのお得な課金要素の提供が必要か。リリース日にリリースできずサービスインが1日遅れるトラブルに見舞われながらも、幸い現時点での広告戦略はうまくいっているようなので、この先に期待。
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