タイトル | 精霊機(スピリットマシン)フレイリート |
プレイした機種 | ニンテンドーSwitch |
メーカー | インティクリエイツ |
満足度 | C(満足できなかったが不満は小さい。) |
要点 |
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執筆日 | 2024年11月11日 |
関連作品の感想はこちら |
カルドアンシェル |
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はじめに
Switch版にてクリアまでプレイ。
先日紹介したカルドアンシェル作中で『ゲーム内に登場する架空のゲーム』として登場した作品の中の1つが、実際のゲームとして制作された作品。
元々はエイプリルフールのネタだったが、反響に応え制作されることとなった。
実際のゲームとして制作されたと言っても、『ゲーム内に登場する架空のゲーム』としての設定を遵守しており、本作は『ゲーム内に登場する架空のアニメ作品のゲーム版』という体で作られている。
- ジャンルはレトロライク2Dアクション。
- カルドアンシェル内でも古い作品とされており、全体的に90年代風な作りになっている。
- 所謂『おバカ』なノリやギャグ、古臭くも懐かしいアツさなど、当時のロボットアニメらしさが満載。
- ゲームは主人公『勇人』を操作して剣で敵を倒しながらマップ内を探索するトップビューパートと、精霊機『フレイリート』というロボットを操作して敵の巨大ボスと戦うボス戦パートを交互に繰り返しながら進行していく。
トップビューパート
- 最大3回の斬撃、高威力のチャージ炎斬撃、進行方向に回避移動するローリングが初期状態で可能なアクション。これらを駆使してマップ内を探索し、敵を倒しつつキーアイテムを獲得しシナリオを進行する。
- シナリオ進行によって仲間が増えると、仲間を呼び出して攻撃してもらうことができる。
- 高威力の追尾攻撃、敵弾を打ち消す直線攻撃、勇人を追いかけてくる敵をせん滅する設置型攻撃の3種類が追加される。
- これらの仲間による攻撃と勇人のチャージ攻撃は専用のゲージを消費する。消費量はそれぞれ異なる。
- 炎の斬撃で草を燃やしたり、水を撒いて炎を消したりといったマップギミックにも一部活用する機会がある。
- ローリングによる回避は1度使うとクールタイムが発生する。また、タイミングよく斬撃ボタンを押すことでローリング後すぐに攻撃につなげられる。
- 敵にはそれぞれ特徴があり、適した方法で攻撃することで楽に倒すことができる。
- 敵を倒した時や破壊できるオブジェクトを破壊した時などに回復アイテムがドロップすることがある。
- マップ内のどこかにあるキーアイテムを探し、ボスがいる場所までたどり着くのが目的となる。
- 一定区画ごとにセーブポイントが用意されている。活用すると体力や技ゲージが全回復するがそれまでに倒した雑魚敵たちが復活する。
- といってもセーブポイントから戻ることはほとんどないため、基本的にはノーリスクで活用できる。
- 勇人の体力が0になると最後にセーブしたセーブポイントからリトライとなる。
ボス戦パート
- ロボットに乗り込み、敵の巨大ボスと戦う。
- 照準を合わせた場所に火炎弾を飛ばす、左右別々のガード、ガード状態で照準を合わせた場所を切る斬撃などを駆使して敵ボスの体力を削る。移動はできない。
- 敵ボスが接近して攻撃してくる際、条件が合うと鍔迫り合いになる。ボタン連打に勝利すると敵が一定時間無防備になり、『フレイムセイバー』による大ダメージを与えることができる。
- 勇人と同様に、仲間を呼び出して攻撃してもらうことができる。1回のバトルで各キャラ1度ずつのみ。
- こちらは仲間による性能差はなく、一律で時間を停止させて必中の全体攻撃。威力も同じなので仲間が増えれば単純に使用回数が増える形となる。
- 敵の攻撃は火炎弾や斬撃で撃ち落としたり、うまくガードすることで上記した鍔迫り合いに持ち込んだりと対処法が用意されている。
- 対処法を覚えて戦う覚えゲーの側面がありつつも、一部の戦闘を除き各仲間キャラが攻撃の対処方法のヒントを教えてくれるため初見でもある程度対応できる。
- フレイリートの体力がなくなると、ボス戦の初めからリトライ。
その他
- 仲間を呼び出した時など一部のアクションにはボイス演出が用意されている。
- カルドアンシェルパッケージ版の特典、あるいはDL版の予約特典として、本作を無料で入手できる。
- 実質無料に加え、本作単品での発売よりも早く遊ぶことができる。
- 単品購入時は記事執筆時点での発表で690円。
良かった点
『ゲーム内ゲームのゲーム化』『90年代ファンタジーロボットアニメ風』といった狙いが概ねうまく機能している。
- カルドアンシェルをプレイした前提であれば、『あっちで見たやつだ』という楽しさをしっかり味わうことができる。
- 90年代風という点では、『ラムネ&40』『リューナイト』『ワタル』あたりを彷彿させる絵柄やデザイン・ノリとなっており、この辺りを知る年代なら懐かしい気持ちになれるだろう。
- 絵柄はもちろんのこと、女性キャラの衣装デザインなんかも当時の趣が表現されている。
- 対してボス戦は『がんばれゴエモン』シリーズのインパクト戦をオマージュしているような形となっており、こちらも爽快感があり好感触。
- とあるシーンは最早隠す気がないくらい完全にそれであり、知っていると思わず笑ってしまう。
- 後半の難易度はやや高めなものの、仲間の攻撃が非常に強力なため救済措置のようになっている。
- 問題点は後述するが、全体としてとにかく懐かしさや『らしさ』を意識した作風となっており、『ゲームの中の世界に実際に存在したアニメのゲーム版』というコンセプトを大事にして作られているように感じる。
- 本当にありそうと思わせるのが大事なので、この点は良好。
- ドットの出来も顔グラフィックの微妙さなど良い意味で当時を感じさせる。
丁度いいボリューム。
- カルドアンシェルのおまけと考えれば、長すぎず短すぎずなちょうどいいプレイ時間だった。
- 多少道に迷ったりボス戦でリトライしつつクリアまで2時間弱。
- あくまでオマケのちょっと豪華なミニゲームくらいのプレイボリュームであり、筆者的には完全におまけのつもりで遊んだため前向きに受け止められたが、本作を単品で購入したり、安価とは言え1本の独立したゲームとして捉えていた場合は物足りなく感じるだろう。
- 寄り道要素などは一切なし。
- ゲーム性は非常にシンプルで、そういう意味でもちょっと豪華なミニゲーム感がある。
不満点
『ゲーム内の架空のアニメのゲーム版』というコンセプトの悪い面も目立つ。
- 『精霊機フレイリート』というアニメ作品は実際にはこの世に存在しない。そのゲーム版ということで、多少の置いてけぼり感は否めない。
- 本作内で設定や世界観の掘り下げ、各キャラクターたちのエピソード等はなく、『カルドアンシェルに出てきたあのキャラたち』『どことなく90年代のあのアニメっぽい』以上の存在感はない。
- ここに入り込んで感情移入したり、愛着を持つというのはなかなかハードルが高い。
- もう少しだけでも、各キャラクターの人となりや関係性が知れるエピソードがあれば印象も変わっただろう。
- 本作単体での購入もできることを考えると、上記した『カルドアンシェルに出てきたあのキャラたち』以上の存在感がないというのは大きな難点。
- パッケージやカートリッジが存在するわけでもないので、いっそのことカルドアンシェル内で遊べるミニゲームにしてしまった方が良かったのではないか。
最低限遊べるように作っただけ感のあるインターフェース類。
- キーコンフィグは無し。というかサウンド調整なども含めて設定画面そのものがない。
- 設定できるのはタイトル画面での言語設定と、マイナスボタンでの画面サイズ変更のみ。
- メイン武器の勇人の剣がAボタンなのはいいとして、(あくまで個人的に)押しやすいYボタンが燃費が悪く効く敵も少ない追尾竜巻、防御も兼ねるためとっさに出したい盾突進がBボタン、ギミックの関係で使用率の高い水攻撃がXボタンというのはやや直感的ではないように感じた。
- この辺りはどのように配置しても不満は出そうなので、安価なオマケとはいえやはりキーコンフィグは欲しかった。
まとめ
『ゲーム内の架空のアニメのゲーム版』という一風変わったコンセプトに対し、作り手の熱意やこだわりが感じられ、その結果として架空の作品(ゲームとして存在はしているが)なのに懐かしさや親しみやすさを感じられる。
『90年代ファンタジーロボットアニメ』感も非常によく表現されており、当時を知る人なら尚更懐かしさを強く感じられるだろう。
『カルドアンシェル』をプレイした人向けのお楽しみミニゲームとして見れば十分に楽しめる内容になっている反面、単体販売されることを考えるとどうしても『カルドアンシェルに出てきたやつ』以上の価値が薄く、コンセプトの良い面も悪い面も色濃く出た作品となった。
単体販売もあくまで『遅れてカルドアンシェルをプレイして、特典として受け取れていない』人向けと考えたほうがよさそうだ。
とはいえゲーム内の架空のゲームを実際のゲーム作品としてリリースするという試み自体は面白い。カルドアンシェル内にはまだまだ実際にゲームとしてリリースされたら遊んでみたいと思わせる作品が多く存在するため、流石に無いとは思いつつもさらなる展開を期待したい。
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