【Switch】STAR OCEAN THE SECOND STORY R 感想

スターオーシャン2R タイトル画面 Switch
タイトル STAR OCEAN THE SECOND STORY R
プレイした機種 ニンテンドーSwitch
メーカー GEMDROPS/トライエース/スクウェア・エニックス
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • 原作に忠実かつ最大限快適に調整された理想のリメイク
  • バランス破壊要素を楽しめるゲームデザイン
  • 不親切で窮屈なファクター要素
  • ストーリーの完成度や大味すぎるバトルバランスも原作準拠
執筆日 2024年4月8日

 

はじめに

スターオーシャン2R タイトル画面

Switch版をゲーム内実績コンプまで、原作は当時隠しボスすべて撃破までプレイ。1998年に初代PSで発売されたSF・RPGのリメイク作品。不意の事故で惑星エクスペルに漂流した少年『クロード』と、エクスペルの小さな村に住む少女『レナ』のW主人公、リアルタイムアクションバトルや素材から様々なアイテムを作成するアイテムクリエイション、パーティメンバー全員で協力して発動する便利能力『スーパー特技』など、全体的なシナリオ・システムは原作をしっかりと踏襲し、当時の雰囲気を強く残しつつも、初代PSの原作にはなかった3Dによる背景演出、リメイクならではの新要素や便利機能を数多く搭載し、懐かしいながらも新しい、忠実かつリッチなリメイク作品となっている。

 

良かった点

良かった点としてまず挙げられるのがリメイクであるということを完璧に理解した数々の便利機能や調整。原作にはなかった機能としてイベントシーンの倍速機能やスキップ、魔法演出の簡易化、アイテムクリエイションの高速化やリスト化、ファストトラベルに加え、次に行くべき場所はもちろん時限イベントまですべて地図上に表示されるようにもなっている。キャラのイラストやボイス・BGMはリメイク前(厳密にはPSPで発売した前リメイク作)のものと選択できるようになっており、グラフィックも上記したように背景に3Dが使用されるようになっていつつも、ドットによる当時再現の表現も組み合わせてあり、当時の雰囲気はしっかり残ったものになっているため、プレイ感は当時のままなのに快適さは令和基準という理想のリメイク体験が味わえる。

雑魚敵は原作ではランダムエンカウントだったが本作でシンボルエンカウントに変更されており、戦闘そのものを回避できるようになったのはもちろんのこと、『用心棒』というスキルにより弱い敵なら戦闘に入る前に倒してしまえるようになった。経験値など報酬も獲得できるためレベル上げも楽になっている。

引継ぎニューゲームもできるようになっており、主人公選択制・パーティメンバーは全12人から8人を選択して仲間にする(うち2人は主人公2人)・数々の時限イベントとそれによる膨大な数のエンディングなど、もともと引継ぎニューゲームと相性のいい要素が詰まったゲームであったため嬉しい変更。上記した倍速やスキップなどの快適要素も噛み合っている。

引継ぎとの相性という点で、アイテムクリエイションやスーパー特技によるバランス破壊も挙げられる。これらの要素を駆使することで、ゲーム序盤で最終盤レベルの武器を手に入れたり、お金を荒稼ぎしたり、本来1つしか手に入らない貴重アイテムを増やしたりなどとにかくやりたい放題できるのだが、これが『知らなければ普通にプレイするし、知れば知るほど周回プレイや本編クリア後の強敵で楽をしたりバランス破壊を楽しめる』というちょうどいい塩梅になっている。本来ゲームバランスを崩壊させる要素は問題点として取り上げられやすいが、あまりにもちょうどいい塩梅で設計されたやりたい放題具合は本作の大きな魅力になっており、引継ぎが無かった原作と比べると序盤でズルできることの重要度は減ったが、プレイの自由度という点で引継ぎニューゲームと相性がいい。

原作から引き続き、アクション要素のあるバトルも楽しい。近年の作品と比較するとさすがにシンプルではあるが、シンプルゆえに普通に楽しい。難易度も自由に変更できるため、上記のバランス崩壊要素と併せて自分好みの難易度で楽しむことができるのも魅力だろう。

全体として、リメイクとしては素晴らしい作品に仕上がっている。

 

不満点

非常に快適かつ理想的なリメイク作品ではあるが、リメイク版だけの難点も存在する。それがファクターという追加要素だ。これは武器や防具など各装備品に追加効果を付与できるというもので、攻撃力UPや防御力UPといったものから、HP吸収、アイテムクールタイム短縮、3つセットで付けると全ステータスUPなど様々な効果が登場する。この付与には新たに追加されたスーパー特技である『リメイク』を行う必要があるのだが、ファクターは素材を消費してランダムに付与される仕様のため、目当ての効果が付与されなかったらロードしてやり直すのが効率的…ということになっている。パーティメンバー8人(戦闘参加キャラだけなら4人)で装備は各キャラ7枠で全56枠、令和の時代の据え置き機用ゲームでこの数のリセマラをさせられる仕様というのは少々不親切に感じた。セーブ・ロード、そして素材の用意自体は快適に行えるとはいえ、ゲーム全体をここまで便利にしたのになぜここで要らぬストレスを与えてくるのかは理解に苦しむ。それでいて、後述するがファクターを自由に弄れるようになる頃には敵のバランスの都合上、付けるファクターの選択肢があまりなくなっているというのもこのシステムがストレスの印象のほうが強い原因になっている。

他の不満はリメイク版ではなく原作から引き続きのものとなるが、まず単純にストーリーの出来が良くない。スターオーシャンシリーズは総じて『システムは良いのにシナリオは…』と感じるが、2は特に出来が悪い。矛盾や突っ込みどころはとても書ききれないほどあるし、全体的に粗が多く1つ1つの展開に説得力がない。特にストーリー後半は主人公たちはほぼリモコン扱いであり、言われるがまま、プレイヤー目線でお使いイベントのような感覚でラスボスを倒しに行くことになる。

仲間枠8人に対して固定キャラが主人公の2人だけということで、せっかくのキャラクターたちがほとんどストーリーに関わらないのも残念。このゲームに限らない問題だが、任意加入のキャラクターは加入イベントを除いてほぼシナリオに関わってこない。本作には『プライベートアクション』という仲間キャラとの個別イベントが豊富に用意されているため、各キャラの掘り下げ自体はそちらでしっかりとされており問題はない。が、それだけにメインストーリーに関わらないのがもったいなく感じてしまう。

ストーリーに関連して、個人的な好みの問題の範疇ではあるが主人公2人があまり好きになれなかったのも残念。上記したように任意加入のキャラがほとんどストーリーに絡まない関係上、固定キャラである主人公2人ばかり目立つことになるのだが、ストーリーに粗が多すぎてどうしてもこの2人にヘイトが向いてしまい最後まで引きずってしまった。『事故により未知の惑星に漂着した少年』『出自に謎がある少女』という点がストーリーの中身にまったく関係が無いというのも2人の魅力を削いでしまっている。

もう1つ不満点として、ゲームバランスの破壊を楽しめるとは言ったが、終盤~クリア後にかけての敵デザインの大味さはさすがに度を越している。『対策してないとほぼ即死するが対策してると楽勝』なボスが散見され、中には『ほぼすべての攻撃が1ダメージしか与えられないけど特定のキャラしか装備できない専用の対策武器を装備していると1撃で倒せる』ボスまで存在する。この対策というのがほぼほぼ装備によって行われるため、上記した追加要素であるファクターなどせっかく自由度の高い装備システムになっているのに、結局敵によってゲーム側に装備を縛られるようになってしまっている。もちろん極めればある程度汎用性のある装備で攻略できるようにはなっているし、敵の行動にある程度のランダム性があるため頑張ればなんとかなることもあるが、難易度調整のベクトルがアクション性よりもパズル方面に向いてしまっているように感じられた。

 

まとめ

総じて、まさに理想のリメイクと呼べる作品に仕上がっており、快適さに重点を置いて調整され、ゲーム自体の良い点も悪い点も原作に忠実。元がストーリーの粗が目立ったりバランス破壊を楽しむという癖のあるゲーム性のため多少人を選ぶが、リメイクとしてはほぼほぼ満点と言って差し支えない完成度なので、原作ファンなら確実に楽しめるだろう。快適すぎて体感ボリュームよりも実際のプレイ時間はコンパクトなのでぜひ手に取っていただきたい。

 

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