【Switch】剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition 感想

剣と魔法と学園モノ タイトル画面 Switch
タイトル 剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition
プレイした機種 ニンテンドーSwitch
メーカー Zero div/ACQUIRE
満足度 B(やや満足。条件付きでお勧めできる。)
要点
  • 出生に問題あり
  • 当時流行った萌え絵+高難易度
  • Wiz系のゲームとしてふつうに楽しめる
  • Wizのお作法を知っていること前提の不親切デザイン
  • 数々の糞マップ
執筆日 2024年4月17日

 

はじめに

剣と魔法と学園モノ タイトル画面

Switch版を本編クリア後のクエストやダンジョンの制覇までプレイ。PSP版は当時クリアまで。

2008年にPSPで発売された同名作品に追加要素を加えてニンテンドーSwitchに移植したタイトル。略称は『ととモノ。』。

  • 外見は萌え系の可愛らしいイラストだが中身は高難易度3DダンジョンRPGと、当時ヒットした『世界樹の迷宮』シリーズに便乗したような形でリリースされた。
  • ゲーム性は完全にWizardryシリーズのシステムを踏襲しており、キャラクリエイトではまず種族を決め、ランダムに配られるボーナスステータスを割り振ってステータスを調整し、職業を決める。
  • ダンジョンマップはダンジョンのレベルによってあらかじめ決められたいくつかのパターンの中から侵入のたびにランダムで抽選される仕組みになっており、別のダンジョンであっても同じマップであればマッピングやギミックの解除状況が引き継がれる。
  • また左側・中央・右側の複数構造になっており、高レベルのダンジョンは左右が2マップずつ・3マップずつと多くなっている。
  • 中央のマップのみ各ダンジョンごと固定のマップになっており、ボス戦などのイベントはこの中央マップに配置されている。
  • バトルはオーソドックスなコマンドバトル。
  • 戦闘不能になったキャラの蘇生には運が絡み、運が悪いとロストしてしまう。
  • その他ダンジョン内で入手したアイテムはすべて不明品になっており、鑑定しないと正体が判明しない。宝箱には罠が仕掛けられており解除しないといけないなど隅から隅までWizライクとなっている。

Anniversary Editionでは各種バグの修正の他に新たに闘技場と試着室が追加されている。

  • 闘技場ではシナリオ中1度しか戦えないボスモンスターと何度でも戦うことができ、経験値やドロップアイテムを稼ぐことができる。
  • 敵のレベルも99まで自由に調整できるため腕試しにもなる。
  • 試着室は仲間のスキンを歴代シリーズのものに変更できる。
  • また、設定でダンジョンやバトルのBGMをシリーズ作品のものに変更でき、戦闘難易度も3段階調整できるようになった。

感想に行く前に、本作の抱える問題についても記載しておく。本作はWizライクの作品と言ったが、正確にはほぼ全編『Wizardry Xth2(以下エクス2)』という作品のソースコード流用で、イラストや名前などを挿げ替えただけの作品となっている。PSP版は内部データにエクス2からの流用跡が残されておりほぼ確定。Anniversary Editionではどうなっているかは不明。このことについて『ととモノ側、エクス2側、そしてWizadry側いずれからも直接のアナウンスがなく、今でもAnniversary Editionなど展開が続いている』ことから、当ブログでは『大きな問題はないがデータ流用作品であることは前提に感想を書く』という形で扱うことにした。

 

良かった点

良かった点として、まずは様々な点がPSP版から改善されている。

  • 上記した闘技場によって楽な稼ぎプレイが可能になり、特に転職の際のレベルダウンがほとんど気にならなくなったのは、プレイ感の改善に大きく貢献している。
  • それでいてあくまで闘技場としたことにより、縛れば従来通りのバランスで遊ぶこともできる。
  • 敵のレベルを99まで上げられることにより鍛え上げたパーティの腕試しにもなる。
  • この点は原本となったエクス2にはなかった要素であり、ゲーム性にマッチしたすばらしい追加要素といえるだろう。
  • 移動や戦闘時の操作もPSP版と比べてレスポンスがよくなっている。

仲間キャラのイラストの可愛さもGood。

  • 元が2008年のゲームなので若干の古臭さはあるが、筆者的には今でも通用するイラストと感じた。
  • 本家Wizではなく本作を遊ぶ大きな理由としてイラストでの間口の広さというところが大きいと思うため、この点はしっかり機能していると感じる。
  • 試着室という形でキャラに設定できるイラストが増えたのも加点要素。
  • ただしこれは後述する問題点のせいで難点にもなってしまっている。

その他の良かった点は簡単に言うと『ウィザードリィとして楽しめる』というものだ。

  • この作品がエクス2の流用である以上当たり前ではあるのだが、高難易度で時に理不尽な3DダンジョンRPGをしっかり楽しめる。
  • 種族・職業の性能バランスも良好で、自由なパーティ編成で遊ぶことができる。

 

不満点

不満点としてはまず全体的な不親切さが挙げられる。

  • 説明書がないことに加え、ゲーム内のチュートリアルが不足しすぎており、初見では意味不明なシステムが多い。
  • 全体的にWizのお作法を知っていること前提のデザインであるため、はじめてのWiz系ゲームにはまったく向いていない。
  • この点はWizのシリーズ作であるエクス2であればシリーズを知らないと…でも大きな問題ではないが、本作は『剣と魔法と学園モノ』という別タイトルであり、Wizを知らないとでは済まない問題である。
  • せっかくポップなデザインで間口を広げたのにこれでは意味がない。

同じく不親切という点で、錬金まわりのインターフェースも問題が多い。

  • 素材を合成して新たな装備品を作る・手持ちの装備を分解して素材を得る・あるいは素材を消費して手持ちの装備を強化する錬金というシステムがあるが、これが手持ちのアイテムしか参照できない仕様になっており、倉庫に保管している素材を使用できない。
  • 素材の種類は非常に多いうえ、高いレシピを購入しない限りどの素材を組み合わせればいいのかは自分で探ることになるためとにかく不便。
  • また合成後はなぜか『完成した装備が素材として選択された状態』で操作可能状態にもどるため、作ったばかりの装備をすぐに分解してしまったりと誤動作に繋がりやすい。
  • 敵が完成品の装備をほとんど落とさず、店売りの装備もたいして強くないため、シナリオ攻略中でもこの錬金のシステムを使わないと装備の更新ができず戦力が不足しやすい点も、このシステムの不便さを際立たせる原因になっている。
  • また錬金のせいで素材アイテムの種類が非常に多く、ダンジョン内ですぐに荷物がいっぱいになってしまうのも難点。

拠点となる町…というか学校はゲームの進行に合わせて複数あるのだが、学校ごとに利用できる施設機能に差があるのも単純に不便。

  • ゲームの進行で探索中のダンジョンに近い学校に拠点を移しても、職業を変更する職員室の転科、お金を経験値に変換する保健室の募金箱、キャラクターの善性を変更できる校長室の催眠などが使用できないため最初の拠点に戻る羽目になる。
  • 戻る際は飛竜を呼ぶことでワープできるが、飛竜を呼ぶのに消費アイテムが必要で中盤くらいまでは貴重品であるため結局歩いて戻り、また元の学校まで歩いて戻ってくる…と、無駄に時間がかかる。

本作ならではの問題として、仲間以外のイラストのクオリティが低いという点も挙げられる。

  • 仲間キャラに使用できるイラストは良いのだが、敵キャラや非プレイヤブルの先生などはイラストそのもの・あるいはデザインのクオリティが低いものが多い。
  • また敵モンスターのデザインも全体的にポップを通り越してやや幼稚になっているように見受けられる。
  • 遊んでいるうちに慣れては来るが、せっかくゲーム自体は高難易度なのに、まるで絵の下手な漫画のバトルシーンのような間の抜けた緊張感のなさが漂う。

難易度に関しては高難易度であることは前提としてもややバランスが悪い。

  • 闘技場の影響も大きいが、それ抜きにしても元のバランスからして序盤がキツすぎ、逆に中盤ごろからはちょっとヌルいと感じた。
  • 序盤は不親切さもあって鬼のようにつらいが、乗り越えて中盤まで頑張ればそこからは割と消化試合になりやすい。
  • 最後まで楽しさが維持されているかという観点で見るとやや弱いと感じた。

色々書いてきたが、最大の問題は数々の糞マップだろう。小学生がテスト用紙の裏にでも書き殴ったような、とにかく線を増やして脳みそのようにひたすらに複雑にしただけのマップが非常に多い。

  • ワープや暗闇、方向転換、魔法無効などのギミックもメチャクチャに敷き詰めただけのものばかりで、かと思えば固定マップである各ダンジョン中央のマップはスカスカの大部屋だらけのものが目立ち、あらゆるマップデザインから知性も品性も感じられない。
  • 糞マップを1つ乗り越えても次から次へと新たな糞マップが現れ、自分の中の糞マップランキングが更新され続けていく様はある意味面白かった…かもしれないが、高難易度の緊張感、ダンジョン探索の楽しさというのはこういうことではない。

その他細かい点として、試着室によるイラスト変更はイラストごとに決まったステータス補正がかかる仕様になっている。

  • イラストにステータス補正があるのは面白い要素ではあるが、重要な能力である生命力や速度が低下するものばかりで使いづらさが目立つ形になってしまっている。

BGMは悪くないが地味。あまり印象には残らない。

  • シリーズ作品の楽曲に自由に変更できるが、初代の曲とそれ以外で音質の差が大きく本作の曲の音質の悪さが浮き彫りになっている。
  • といってもことあるごとにBGMが頭まで戻るため、いくら曲を変更したところで曲を楽しむことはできない。

 

まとめ

出生に闇を抱え、問題点もあるとはいえWiz系ゲームとして普通に楽しめる内容ではある。萌え系のイラストはもちろん、闘技場など独自のいい点も存在し、ただのパクリゲーと切り捨てるにはもったいない魅力は確かに存在する。

攻略情報などを見る前提でもなければ初Wizにはまったく向かないが、ある程度Wizのお作法を知っていて、萌え系のイラストのWizを求めているのなら楽しめるはず。古い作品でセールで安くなることも多いため、一度手に取ってみてはいかがだろうか。

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