【Steam】東方Artificial Dream in Arcadia 感想

東方Artificial Dream in Arcadia-タイトル画面 Steam
タイトル 東方Artificial Dream in Arcadia
プレイした機種 PC Steam
メーカー Bar Holographic Otaku/东游鉴
満足度 S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。)
要点
  • 女神転生のシステムに東方の世界観をうまくマッチさせている
  • 難易度、快適性、ボリュームも作り込まれている
  • 合体の楽しさはやや弱い
執筆日 2025年1月7日
関連作品の感想はコチラ
UDONGEIN X

 

 

はじめに

東方Artificial Dream in Arcadia-タイトル画面

Steamにて実績コンプまでプレイ。

先日記事を投稿した『UDONGEIN X』と同じ開発からリリースされているレトロ調の3DダンジョンRPG。

本作も東方Projectの二次創作作品となっており、東方Projectの世界観・キャラクターを使用した『女神転生』風ゲームに仕上がっている。

  • 例によって東方Project原作は齧った程度の筆者でも本作は普通に楽しめた。

 

ストーリー

  • 夢を見ている間は『幻想郷』にアクセスできる超能力女子高生『菫子』が主人公。
    • ある日幻想郷の住民(要するに東方Projectのキャラクターたち)のクローンが出現する異常事態が発生。同時に現れた謎の塔。事件解決のために奔走するというのがシナリオの流れとなる。
    • クローンたちは『スリーパー』と呼ばれる。

 

基本システム

  • オートマッピング機能が採用されており、ダンジョン内を歩くと地図情報が自動で記録されていく。
    • 出入口や施設、宝箱にダメージゾーンなども記載されるが、一部ダンジョンのギミックとして地図に記載されないマップが存在する。
    • ダンジョン内には回復ポイント、ターミナル(合体やアップグレードを行う)、アノマリー(セーブやテレポートを行う)が存在。
  • 女神転生シリーズでは仲間(悪魔)の管理等に『COMP』を使用し、呼び出している悪魔の行動に『MAG』を消費していたが、本作は『スマホ』になっており、消費するのも『バッテリー』になっている。
    • バッテリー消費量は仲間の数や主人公とのレベル差などで決定する。
    • 地図の表示もスマホで行っている設定のため、バッテリーが切れると地図表示も出来なくなるなど死活問題に。
  • 主人公のみレベルアップ時のステータス上昇は振り分け制。
    • 条件を満たすと振りなおし可能。

 

バトル

  • バトルはオーソドックスなターン制コマンドバトル。
    • 仲間として連れているキャラクターの中から最大4名でパーティを編成。
    • MPを消費するスキル、SPを消費する強力なスペシャルコマンドなど。
  • 主人公の菫子が戦闘不能になるとゲームオーバー。
    • 菫子のレベルが1DOWNして最後に利用したアノマリーから再開となるが、アイテム『魔法の人形』を所持していると1つ消費してレベル低下を無効化してくれる。
  • 『ハイジャック』によって敵スリーパーを仲間にすることが可能。
    • 女神転生で言うところの『交渉(TALK)』だが、本作は東方Projectの世界観を活かし弾幕シューティングのミニゲームで勝利すると仲間に出来るというシステムになっている。
    • 非スリーパーのキャラクターはハイジャックによって仲間に出来ないものの、一部を除き合体で作ることはできる。
    • 仲間に出来るスリーパーは霊夢や魔理沙などお馴染みのキャラクターを含め160種を超える。
    • ハイジャックに成功した際は仲間にする以外にもスリーパーごとに設定されたアイテムに変換したり、お金を獲得したりできる。

 

合体

  • 仲間にしたスリーパーたちは『合体』によって強化出来る。
    • スリーパー同士を合体させ新たなスリーパーを生み出す通常の合体。
    • スリーパーを消費して経験値を得る『犠牲』。
    • スリーパーを消費して習得スキルを移植する『スキル継承』。
    • スリーパーを消費して董子に属性耐性を移植する『耐性継承』。
    • 通常の合体と犠牲でのレベルアップは主人公のレベル以下までの制限有り。
  • スリーパーデータベース(図鑑)から、お金を消費してスリーパーを召喚することも出来る。
    • 初期ステータスで呼び出すか、最後に記録した育成状況を引き継いで呼び出すか選択可能。

 

その他システム

  • 『アップグレード』によってスペシャルコマンドを増やしたり、連れていけるスリーパーの数を増やしたり、合体でのレベル制限を緩和したりといった強化が可能。
  • 『妖魔本』を入手し、とある場所に持っていくと様々な常時効果を設定できる。
    • 敵味方のダメージが増加する『パワー』、スリーパーがバッテリーを消費しなくなる代わりに経験値を得られなくなる『ジレンマ』など。
    • 初期から所持しているもの以外はだいたいメリット/デメリットを併せ持った効果になっている。

 

良かった点

オールド女神転生そのままのプレイフィールに東方Projectの世界観を上手くマッチさせている。

  • プレイ感は完全にオールド女神転生。SFC時代の女神転生シリーズはもちろん、3DダンジョンRPGをプレイしたことがある人ならすんなりと手に馴染むだろう。
    • スマホやバッテリーの件のように、女神転生シリーズの定番システムが上手くアレンジされている。
  • 特に交渉代わりの『弾幕ごっこ』のアイデアが秀逸
    • 弾幕ミニゲームは主人公よりもレベルが高かったりHPが満タンに近いスリーパー相手だと難易度が上がり、逆に主人公よりレベルが低かったりHPが低下しているスリーパー相手だと弾幕が薄くなって難易度が下がるなど凝っている。
  • 登場する東方Projectキャラクターたちのドットグラフィックも良く出来ており、可愛らしい。
    • 東方Projectに詳しい人ならより楽しめるだろう。

 

難易度・快適性・ボリュームの調整もしっかり作り込まれている。

  • 難易度はオールドスタイル3DダンジョンRPGらしくやや難し目だが、システムを理解するほど楽しくなってくるちょうどいい塩梅になっている。
    • 最初の内はバッテリー周りや金策に難儀するものの、この辺りの解決方法を理解してくると遊びの幅が広がりやりごたえが出てくる。
    • 逆に言えば序盤から脳死で遊べるようなゲーム性ではないため、セール時の低価格でカジュアルに遊ぼうと思っていると合わない可能性がある。
  • あくまでターン制コマンドバトルの範疇ではあるが戦術の幅も広い。
    • 序盤に登場するような初期レベルの低いスリーパーであっても育成・継承すれば十分最後まで使えるレベルまで強化できるため、好きなキャラを使い続けるようなプレイにも対応している。
  • オートバトルやダッシュ移動、テレポート地点作成アイテムなど快適性も整備されており、難易度が不快感になりにくい。
  • ボリュームも抜群。
    • 実績コンプまでじっくり遊んで50時間程度。セール時はもちろんのこと、通常価格でも満足感のあるボリュームになっている。

 

不満点

合体で未知のキャラクターを作り出す楽しさが無い。

  • 仲間に出来る160種以上のスリーパーはほぼ全種類が雑魚敵としてダンジョンに出現する。
    • このため、合体で新しく作っても次のダンジョンですぐに出現し、徒労に感じてしまうことが多い。
    • ボスキャラクターすら同じダンジョンの雑魚敵として登場する。(当然ボス版は能力が高く、仲間に出来ない)
  • そもそもが東方Projectのキャラクターということもあり、まったく見たことのない未知のキャラクターを作成する楽しさはほぼ無いと言える。
    • せっかくの合体システムだが、楽しさはほぼほぼスキル継承部分に限られる。

 

その他不満点。

  • 終盤、一部の敵の行動が不快度高め。
    • 攻撃を反射するスキルや、戦闘不能から瞬時に復活し防御バフを最大まで積むスキルなどを連発する雑魚敵が多い。
    • 反射に関しては原典である女神転生シリーズでも恒例となっているため慣れている人は不満に感じにくいものの、即時復活の方は連発されると意味も無く戦闘が長引くため不快度が高い。
  • 日本語テキストは誤字脱字多めで読みにくい。

 

まとめ

女神転生のゲーム性に東方Projectの世界観をうまく落とし込み、ファンゲームの枠に収まらず1本の3DダンジョンRPG作品としてガッツリ楽しめる力作。

全体的によく作り込まれ、適度な難易度と現代水準を満たした快適性、値段を大きく上回るボリュームで、プレイしていて目立った不満が見当たらない素晴らしいクオリティとなっている。

合体の楽しさだけはやや物足りなさを感じるものの、些細な不満など吹き飛ばすほどの出来で夢中になってプレイできる時間ドロボウな一作となっているため、東方Projectファンに限らず、3DダンジョンRPG好きにはぜひ遊んでみてもらいたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました