タイトル | UDONGEIN X(ウドンゲイン クロス) |
プレイした機種 | PC Steam |
メーカー | Bar Holographic Otaku/东游鉴 |
満足度 | B(やや満足。条件付きでお勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2025年1月2日 |
関連作品の感想はコチラ |
東方Artificial Dream in Arcadia |
はじめに
Steamにてルナティッククリアとサバイバルモードを数回プレイまで。
タイトルの通り、ロックマンX風横スクロール2Dアクションの東方Project。『鈴仙・優曇華院・イナバ(通称うどんげ)』を操作し、ショットやダッシュ、ジャンプといったアクションを駆使してステージを攻略していく。
基本システム
- 全14ステージ構成。原典同様に8ボスステージは自由な順番で攻略可能。
- 各ボスは原作の攻撃や設定を再現した弾幕攻撃を放ってくる。
- 一部のステージはシューティング風になっている。
- 基本はロックマンXシリーズ同様のシステムとなっており、高速で移動できるダッシュを活用したスピーディなアクションが楽しめる。
- ダッシュジャンプや壁蹴りも完備。
- ショットも長押しでチャージショットが可能。
- ロックマンXには無い独自のシステムとして『ボム』が採用されている。
- ストック制で、使用すると最大溜めショットが即座に撃てる他、フルストック(3回)状態で長押しすることで被弾を3回無効化するバリアを展開できる。
- 後述する強化を施すことで敵の弾消し効果等も付与することが出来る。
- 元がシューティングだけあって、らしい再現要素となっている。
うどんげの強化
- ステージセレクト画面で『パワーアップアイテム』を消費して能力を強化可能。
- パワーアップアイテムは各ステージ初回クリア時に入手できる他、8ボスステージ内に1つずつ隠されている。
- 強化内容は体力の増加、溜め速度向上、ボムの性能強化、ショットをキー操作で上下に誘導など。
その他
- ゲーム開始時に難易度選択可能。
- ノーマル(実質イージー)、ハード(実質ノーマル)、ルナティック(1度クリア後に解禁。実質ハード)の3段階。
- ボスとの連戦が楽しめるサバイバルモードも用意されている。
- 1戦毎にランダムに強化を選択できる、ローグライトっぽいシステムが採用されている。
- 様々な条件を満たすことでうどんげのカラーを変更できるチャレンジも(実質実績)。
- Steamの実績機能と連動している。
良かった点
ロックマンXライクの東方ゲームとして自然に楽しめる操作感
- ダッシュやジャンプ、壁蹴りなどの基本アクションの操作感が本家ロックマンXシリーズと遜色なく、触っていて全く違和感が無い。
- ロックマンクローンゲームはダッシュの操作性やジャンプの感覚が原作と差がある作品も多く、ここまで違和感なく調整されているのは見事。
- そもそもキャラクターが東方Projectのものであるのはもちろんのこと、BGMやSEなどまで東方Project、ロックマンXどちらのファンも『おっ』と思うようなものが満載となっている。
- この点に関して筆者は東方Projectはちょっと齧った程度なので、詳しい人ならより楽しめるのではないだろうか。
- ボスの弾幕攻撃や一部のシューティングステージも、ロックマンX要素を壊さない範囲で東方Project再現としてうまく機能している。
- 本作はFC~SFC時代のドットグラフィックではあるが、PS時代のロックマンXシリーズに存在したライドチェイサーステージのような感覚で楽しめる。
- 個人的には原作のライドチェイサーステージよりもストレス無く、ロックマンXの操作感・スピード感の延長線上で遊べ、よく馴染んでいるように感じた。
値段以上のボリューム感
- 低価格にして14ステージという本家と同等のステージ数が用意されている。
- 加えて難易度選択、サバイバル(ボスラッシュ)モード、チャレンジなど多彩な遊びもあり、プレイボリュームはバッチリ。
- それでいて1プレイ毎のボリュームが不必要に膨れ上がっておらず、本家相当の楽しいボリュームに収まっているためこの点も違和感無く遊べるポイントになっている。
不満点
特殊武器やパーツが無いことに起因するアクション・攻略のマンネリ感。
- ロックマンXライクなゲーム性ではあるが、本家にあるような特殊武器(ボスを倒すとそのボスの攻撃が使えるようになる)やパーツ(ステージ内に隠された強化パーツ)によるアクション性の拡張が無い。
- 代わりにパワーアップアイテムによる強化があるものの、アクション性の拡張機能はほぼ無い。
- プレイヤーができる操作がゲーム開始時点でほぼ完成してしまっている。段階を踏んで楽しさが増すことが無く、マンネリ気味。
- 本家ロックマンXでは各ボスに弱点となる特殊武器が設定されていたり、ステージギミックで特定の特殊武器を使用する関係で、自由に攻略できる8ボスステージの攻略順を考える楽しさがあり、導線としても機能しているが、本作にはそれが無い。
- ステージ内に隠されたアイテムとしてパワーアップアイテムが用意されているが、アクション性の拡張が無いためどれも同じような隠し場所になってしまっている。
- 本家では同じ『アイテムを隠すギミック』でも炎の武器でツタを燃やしたり、頭部の機能がパワーアップして頭突きでブロックを破壊出来たり、レーダーで隠し通路を発見出来たりとバリエーションがあった。
- それ以外にも、例えば上に攻撃できる武器や地形に沿って飛んでいく武器等で攻撃バリエーションも豊富で、それに合わせて敵キャラの配置も含めたステージ構成のバリエーションも豊かであった。
- もちろん本作の主人公であるうどんげは設定上他人の攻撃を使えたりはしないので仕方が無いことではあるが、そうなるとこのキャラが主人公として適切だったのか、ロックマンXライクである必要性があったのか疑問になる。
- 似たような不満を感じた作品として『Gravity Circuit』でも特殊武器や弱点の概念が無かったが、あちらはロックマンゼロをベースにしている点や近接格闘・投げなど独自のアクション性がある点、バーストスキル(必殺技)のバリエーションがあったことである程度カバーしていた。
ハイスピード爽快アクションを損なう要素が目立つ。
- ダッシュや壁蹴りを駆使したハイスピード爽快アクションが売りのロックマンXシリーズを元ネタとしている割に、ハイスピード感を損なう調整が目立つ。
- 一定間隔ごとに進行を阻害するギミック、ショットの攻撃力に対し硬すぎる雑魚敵、細かい操作を要求される即死トラップ地帯など。
- 2Dアクションは難易度に起伏をつけようとするとどうしても上記のような方向性に向いてしまう節があり、実際に本家ロックマンXシリーズでも上記のようなステージ構成が増えて不評になりがちだった。
- 輝針城ステージのギミックはまさにその極地。個人的にはロックマンXライクでやってはならないステージ構成だと感じた。
- 特定オブジェクトに攻撃を当てるとステージの上下が反転するギミックを活用して進むステージになっているのだが、オブジェクトの位置や上下反転させないといけない箇所の関係でステージ内を行ったり来たり、進行方向も上下左右いろんな方に向かい、トゲや穴など即死箇所も多く設置されていてまるで迷路。
- 一応言っておくと上下反転ギミック自体は本家にもあるし、迷路のようなマップ自体もアクションゲームとして悪いものではない。ただ、ロックマンXライクと考えるとハイスピード爽快アクションを完全に阻害するデザインになってしまっている。
- せめて反転オブジェクトの設置場所含めて進行方向は一定であるべき(あるいは進行方向をもっとはっきりわかるようにするべき)だと感じる。
その他不満点。
- 誤字脱字が多く、翻訳の違和感も強め。
- ピクセルフォントの長文も多く、誤字脱字や違和感のある翻訳が組み合わさり非常に読みづらい。
まとめ
ロックマンXライクとして違和感のない操作性と、東方Projectへの愛を感じさせる原作再現要素が魅力のファン向け作品。元がフリーゲームとして作られていたとは思えないプレイボリュームを誇る。
操作性自体はしっかりと作り込まれている反面、ロックマンXライクとしての楽しさは研究不足・再現不足に感じられ、東方版のロックマンXという感覚でプレイすると物足りなさが否めない。
ロックマン感を求めずに東方のファン向けアクションゲームとして遊べば間違いなく値段以上の体験ができるため、東方Project好きで2Dアクションを遊びたい人は触ってみてはいかがだろうか。
コメント