タイトル | 都市伝説解体センター |
プレイした機種 | ニンテンドーSwitch |
メーカー | 墓場文庫/集英社ゲームズ |
満足度 | S(とても満足。自信を持ってお勧めできる。) |
要点 |
|
執筆日 | 2025年2月23日 |
はじめに
Switch版にてクリアまでプレイ。
墓場文庫と集英社ゲームズがタッグで開発するオカルト・ミステリーアドベンチャーゲーム。ひょんなことから『都市伝説解体センター』で働くことになった主人公 福来あざみが、センター長でいわゆる”安楽椅子探偵”の 廻屋渉、現場調査員の 止木休美(ジャスミン)と共に都市伝説にまつわる事件を解決していき、やがて大きな陰謀に巻き込まれていく物語となっている。
基本システム
- SNS調査パート・現場調査パート・推理パートを繰り返してゲームが進行していく。
- シナリオは章仕立てになっており、扱う事件やセンターのメンバー以外の登場人物は基本的に章ごとに独立している。
- 依頼のあった不可思議な事件を調査し、都市伝説を『特定』し、謎を解き明かして『解体』するという流れになっている。
- 主人公の福来あざみは念視の力を持ち、メガネをかけることで人や物の痕跡を見ることが出来る。
- 主にSNSと現場の調査で使用。
SNS調査
- 主にシナリオ中の1日の始まりに挿入される。作中SNSで事件にまつわるワードをチェックして情報を集めるのが目的。
- 全ての投稿でチェック時にあざみや同行している人物のコメントが見られる。
- 上記メガネを使用して動くワードがある投稿をチェックすると新たなワードを入手。入手したワードを1つまたは2つ使って新たな検索結果を得られる。
- さらに特定のワードではシナリオ進行に直接関係のない都市伝説の情報を獲得できる。獲得した都市伝説の情報は捜査メモからいつでも確認可能。
- シナリオ進行に必要な情報を集めきると任意のタイミングで終了できる。
現場調査
- ポイントクリック形式で横スクロール画面のマップ上を探索。
- こちらも進行に必要な証拠をすべて集めると進行する。
- SNS調査と違いすべて揃えた時点で強制進行の場合が多い。
- 上記したメガネによって見えるものが大きく変化する。メガネの有り無し両方を調べないと証拠を揃えることはできない。
- メガネはXボタン(Switch準拠)でいつでもオンオフ切り替えられる。
推理
- 都市伝説の特定や解体、その他進行上必要な時には選択肢形式で推理が行われる。
- 間違った選択をしても正解するまで挑戦できる。
その他
- 体験版有り。チュートリアル+1話の途中まで。
- ジャンプ+で短編漫画が公開されている。
良かった点
現代人に刺さる事件やシナリオの構成が秀逸
- 依頼が来た事件の概要やSNS調査から都市伝説を特定し、特定した都市伝説に絡む人間の思惑を解明し、最終的に都市伝説を解体する流れが丁寧に描かれ、爽快な読み味になっている。
- 各話で扱われる都市伝説も有名なものが採用されているのでシナリオの流れに入りやすい。
- ミステリーにおいて重要な情報提示のタイミングもよく練られており、伏線の張り方・回収も巧み。
- 特にSNS調査は、ソースの無い情報に踊らされる人々や正義の暴走など現代インターネットの悪い面が上手く表現されている。
- 加えて、SNS調査は投稿1つ1つにリアクションが用意されていたり新たなワードを入手したりとゲームならではの捜査システムとしても機能している。
- 各章の終りに挿入されるドットムービーとバックで流れる主題歌による演出も素晴らしい。
- ドットながら良く動き、主題歌の雰囲気も合っている。
- 次の章への興味を惹く内容にもなっている。
個性あふれるキャラクターのおかげで重くなりすぎない
- 主人公のあざみがかなりユーザー視点に近い立ち位置でかつリアクション豊かであることや、あざみとジャスミンの漫才めいた会話劇のおかげでサクサク読み進められる。
- しっかりとキャラが立っていてキャラクター主導で引っ張ってくれる感すらあるため、オカルトを題材にしたミステリーとしてはかなり読みやすい。
- 間違った選択をした際のリアクションも面白く、ペナルティも無いためついついわざと間違った選択をしたくなってしまう。
- シナリオ進行に合わせて内容が追加されていく捜査メモは、あざみのコメントという形で記述されていくため読みやすい。
- 事件とは関係のない都市伝説の情報も、改行等されておらずやや読みづらさこそあるが内容は面白く書かれている。
その他良かった点
- 値段に対してボリューム充分。
- DL版なら2000円を切る価格でありながら普通にプレイしてもクリアまで10~15時間程度はかかる。
- ジャンル的に長すぎてもダレやすい。楽しく遊べて尚且つボリュームも感じさせるちょうどいい分量。
- 操作性良好。
- 現場の調査ではまだ調べていない選択肢が自動的に1番に表示されるようになっており、すでに調べたものはグレーアウトしている。
- ムービーについて先に触れたが、グラフィック周りはドットながらリッチさすら感じさせる。
- 非常に良く動き、エフェクト等も派手で気持ちいい触り心地。
- 併せて、こちらも繰り返しになってしまうが主題歌やBGMも雰囲気に合っていて良き。
- ホラー味はかなり控えめ。本軸はあくまでミステリー。
- オカルト要素有りのミステリーという形。筆者はそういうものだと思ってプレイしたので満足したが、ホラーを求めてプレイすると物足りなく感じる可能性はある。
- ジャンプスケアも苦手な筆者から見て特に見られなかった。
- タイトルから『奇天烈相談ダイヤル』のようなゲーム性をイメージする人も多いが、『逆転裁判』等のポイントクリック捜査+推理のゲーム性。
不満点
SNS調査がやや冗長
- ゲームとしても風刺としても良く機能しているSNS調査だが、各日ごとに毎回やらさせるのと、そこそこの分量があるためさすがに少しダレる。
- 現地での調査と違って画面に動きが無いため退屈で少々飽きやすいのも一因。
- 上記したようにあざみとジャスミンの漫才めいたリアクションが面白いため、進行に関係ない投稿も全て調べてしまい、結果冗長に感じるというぜいたくな悩みではある。
その他細かい不満点
- 任意でのセーブ機能が無い。
- セーブはすべてオートセーブ、セーブスロットは1つのみ。
- シナリオの進行に関係ない部分で調べ逃しがあっても戻ることはできない。特に現地調査では進行に必要な箇所を調べ終わると自動で進んでしまうシーンが多い。
- アルバム機能なども無いため、せっかくのリッチなドットムービー等をもう1度見たいと思ったら、データを初期化して最初からプレイする他ない。
- 読み物として楽しい捜査メモの内容は各章限定品となっており、前の章の内容を確認することはできない。
- 主要キャラであるセンターのメンバーは魅力的に描けている一方で、各章の事件に関係するキャラクターはやや魅力やインパクトに欠ける。
- 『パラノマサイト』や少々ジャンルが違うが『逆転裁判』等と比べると印象に残りにくい。
まとめ
都市伝説を『解体』するという、まさにオカルトミステリーゲームと呼ぶにふさわしい題材を魅力的なキャラとリッチなドット表現で描き上げた傑作。
動きが少なくやや飽きやすいという欠点も抱えるものの非常に風刺が効いていてリアクションも楽しいSNS調査を始めとして独自性もあり、先の気になるシナリオ展開もあって最後まで夢中になってプレイできた。
ドット絵や推理モノが好きなら間違いなく楽しめるし、そうでなくてもキャラモノとして遊べる内容に仕上がっている。値段の安さもあり、幅広い層にオススメしたい作品だ。
コメント