【iOS】Wizardry Variants Daphne 感想

ウィザードリィ ダフネ タイトル画面 iOS
タイトル Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ)
プレイした機種 iOS iPhone 13/iPad Pro
メーカー ドリコム
満足度 A(満足。たいていの場合お勧めできる。)
要点
  • コンシューマーWizと遜色ないプレイ感
  • サービス開始時点での実装ボリュームもたっぷり
  • 良くも悪くもWizardry
  • 基本無料スマホゲームでありながら、ソシャゲを求める層には全く合わない
  • キャラメイクがガチャ
執筆日 2024年10月21日

 

はじめに

ウィザードリィ ダフネ タイトル画面

iOS版にてメインストーリーミッション『国王救出』クリア+その後数日プレイ。

(悪名高い)ドリコムが送る、現代にいたるまで様々なRPGやファンタジー作品に影響を与えたとされる3DダンジョンRPG『Wizardry』シリーズの最新作。本作は基本無料のスマートフォン向けゲームとなっている。

基本的なシステムは従来のシリーズ作品を踏襲しつつ、様々な点でスマートフォン向けゲームとしての調整が施されている。

  • 主観視点で表現される3Dダンジョンを探索し、シナリオ上の目標の達成やキャラクターの育成等を楽しむという、いつものWizardry同様の内容となっている。
  • ダンジョン内は魔物や悪質な冒険者等が徘徊しており、シンボルエンカウント方式で戦闘に突入する。
    • 所謂ソシャゲによくあるステージ選択式ではなく、従来作と同じように3Dダンジョンを自由に歩き回って探索することができる。
    • 宝箱は固定配置のもの、ランダム配置のもの、敵が落とすものの3種類。固定配置のもの以外はダンジョンに入りなおすたびに再配置される。
    • 宝箱には罠が仕掛けられている。キャラクターごとに発見率と解除率が設定されており、タイミングよくタップすることで罠を解除できるミニゲームになっている。
    • 盗賊のキャラクターは発見率・解除率が高い。
    • 解除失敗時には後述するメンタルの数値が減少する。
  • 戦士・騎士・盗賊・魔導士・僧侶といったおなじみの職業のキャラクターたちで最大6名のパーティを編成する。
    • 主人公は固定でパーティに編成される。職業は条件を満たせば変更可能。
    • 従来のシリーズ作では所謂キャラメイクによってこのパーティメンバーをプレイヤーの好みに合わせて作成することができたが、本作はスマホゲーム故にガチャでキャラクターを入手する形となる。
    • 同じキャラでも個体差があり、初期ステータスに若干の差がある他、ステータスに割り振れるボーナスポイントが違ったり、メンタルという蘇生に関わる数値の最大値が違ったりする。
    • キャラクターのガチャには冒険者の『骨』が必要。骨は課金での入手の他、ダンジョン内でも低確率で入手できたり、ミッションの報酬などで手に入る『石』と交換で手に入れることも出来る。
  • 従来のシリーズ作と大きく異なる点として、主人公が戦闘不能になると強制的にゲームオーバーになる。
    • ゲームオーバー時はコンテニューして死因(主に戦闘)の直前に戻るか、諦めるか選択。コンテニューは回数制限有り。(回数は時間経過やアイテム使用で回復)
    • 諦めた場合はシナリオの最終区切りまで巻き戻される。入手したアイテムやキャラクターの育成状況は引き継がれるが、ダンジョンの探索状況やシナリオの進行具合がリセットされてしまうため、基本的にはコンテニューするべきだろう。
    • コンテニュー時は戦闘突入前に巻き戻るため、勝てないと思ったらコンテニューした上で逃げ帰ることができる。
  • 主人公を除いたパーティキャラが戦闘不能になった場合、主人公の能力を使って復活を試みることができる。QTE風に、タイミングよくタップすることで蘇生に成功するが、失敗すると主人公がダメージを受けたり麻痺したりする。
    • 当然、このダメージで主人公のHPが尽きた場合ゲームオーバーになる。
    • 主人公の能力による蘇生以外にも、従来通り寺院で復活させることも出来る。
    • 蘇生に関わる数値として主人公以外のキャラクターにはメンタルという数値が存在。蘇生やダンジョン内のトラップ、宝箱の罠解除などで減少し、低下すると蘇生時にリスクが発生する。
    • 低下時のリスクについて具体的には、主人公の能力による復活時はタップのタイミングが厳しくなり、寺院での復活時は失敗するようになる。
    • こちらも従来通り、寺院での蘇生で2度続けて失敗すると『ロスト』となりキャラクターが消滅する。
    • ガチャキャラが消滅するというのは厳しいように感じられるかもしれないが、実際にはメンタルが一定以上なら(おそらく)確実に成功するようになっているし、逆に一定以下の場合は警告が入るようになっているため、リスクというよりはシリーズファン向けにシステムを再現したフレーバーのようなもの、かつある程度のプレイ制限のようなもので、まともにプレイしていればロストすることはまずない。
    • メンタルはキャラの生死に関わらず時間経過で回復する。
  • 拠点となる街では宿での回復、ギルドでのクエストや仲間の管理、買い物や武具の強化、寺院での蘇生や治療、ガチャを行うことができる。
    • ガチャは前述したキャラクターガチャの他、装備品のガチャも存在。
    • 従来作でもダンジョンで入手した装備品は『鑑定』しないと正体がわからない仕様になっていたが、本作はそれがガチャという形になっている。ダンジョン内で入手した『ガラクタ』を持ち帰り、主人公の能力で復元することで装備品が獲得できる。
    • この関係でシリーズではおなじみの『鑑定』が存在しない。

 

良かった点

コンシューマー並みのプレイボリュームで遊びごたえ抜群。

  • 実質的にスタミナ無し、3Dダンジョンを自操作で探索可能、持ち帰ったガラクタからより強い装備を獲得するハクスラ的要素、リリース初期時点でもボリューム満載、シナリオ演出も(Wizardryシリーズとしては)凝っている等、プレイ感はコンシューマー作品並み、というかコンシューマーのシリーズ作と遜色なく遊ぶことができる。
  • スタミナに関して上記したメンタルによる蘇生制限やコンテニュー回数の制限などがスタミナ替わりになっているが、そもそも死なないように遊べば制限は無いに等しい。
    • 盗賊だけは宝箱でのメンタル低下が無視できないが、こちらもメンタル値の存在しない主人公で代用したり、予備の盗賊を用意するなどで対策できる。
  • 3Dダンジョンはマップの広さも十分、崩落によるルート変化や水流などギミックも用意されており探索し甲斐がある。
    • グラフィックもスマホゲームとしては十分な品質。スマホ縦持ちにより可視範囲もよく没入感がある。
  • ランダム配置や敵が落とす宝箱から得られるガラクタでの装備ガチャによりハクスラ的な遊びが可能。装備が少しずつグレードアップしていきパーティが強くなっていく楽しみがある。
    • 各装備品にはランダムで追加能力が付与されている(所謂サブオプなどと呼ばれるもの)。
    • 倉庫の容量が少ない点は残念。
  • ボリュームについてもリリースしたばかりであることを考えれば十分以上、というか記事執筆時点でどこまで実装されているのかわからない。
    • ネタバレになるため詳しくは言えないが、シナリオ上のギミックも考慮すれば(プレイ時間換算で)下手なコンシューマータイトルよりボリュームがある。
  • シナリオ演出もWizardryとしては凝っているほうで、現状楽しめている。
    • この手のゲームではシナリオ演出が凝りすぎているとゲームの邪魔に感じることも多いが、本作も凝っているとはいえ邪魔には感じない程度に抑えられている。
    • シナリオと関係はないが演出の1つとして、戦闘終了時にパーティメンバーと一緒に歩いていく演出が入る。テンポを削がない範囲の短くシンプルなものながら、パーティで冒険している感が良く表現されている。
    • この時ランダムで選ばれた1名が主人公の方を向いて声を抱えてくれる。主観視点だからこそできる演出と言える。
    • 欲を言えばパターンが少なすぎるためもう少しバリエーションが欲しかった。

スマホゲームとして必要なお手軽さ・便利さも、Wizardryとしての体裁を崩さない範囲で確保されている。

  • 敵から得られる経験値がそこそこ多く、少なくとも最初のレベルキャップである20までは楽に上げられる。
  • 一度探索した場所ならオートパイロットで自動移動してくれる。繰り返しの探索も楽。
  • バトルは演出倍速・オート有り。ただしオートは通常攻撃しかしないため格下の敵にしか機能しない。
  • ダンジョン内は一定の進度毎に街との行き来が可能になる『ハーケンの祠』が設置されている。1度解放すれば基本的には何度でも自由に行き来可能。
    • これにより1回のダンジョン探索の時間が長くなりすぎない。
    • 祠には他にもコンテニュー回数の緩和やステータスバフなどの効果がある。

 

不満点

キャラメイクがガチャに置き換わってしまった。

  • 基本無料のスマホゲーム故仕方が無いことだが、キャラメイクはできずキャラの入手はガチャでということになる。
    • キャラメイクはシリーズの大きな特徴のため、この点に不満を感じるシリーズファンは少なくないだろう。
    • ガチャ入手で初期ステータスやボーナスポイントに個体差があるというのも印象が悪い。
    • ステータスやボーナスポイントはレベルが上がればそこまで気にならないが、蘇生に影響するメンタルの最大値は現状後から鍛える手段が無く、差を感じやすい。
  • 無課金だとガチャに必要な『骨』の獲得量もかなり限られる。
    • その上で、所謂凸要素が非常に厳しい。一般的な同キャラの凸に加え、別キャラを素材にすることでキャラに応じたスキルを継承する別キャラ凸、さらにそのスキルレベルを上げるための同スキル凸により、キャラクターを完璧に育成しようと思うととんでもない数の凸が必要になる。
    • キャラメイクだけでなくキャラの育成もシリーズの楽しさの一つであり、そこに関わる部分が課金要素になってしまったのは残念。
    • スキルを得るためのアイテムやスキルレベルを上げるアイテムなどは用意されている。現状はほぼほぼ課金限定アイテムだが、今後こういったアイテム(や骨)の配布量次第では改善される可能性はある。
  • ただ、現状はステータスの個体差はそこまで大きな差にならず、凸必須ということも無く、PvPなども無いため凸含む課金要素は時短、あるいは自己満足でしかない状況であり気にしなければ問題はない。

QTE要素が鬱陶しい。

  • 能力による蘇生時・宝箱の罠解除・ダンジョンのギミック・果てはガチャでまでQTE操作を強制される。
    • ほとんどが『成功すれば特典がある』ではなく『失敗するとペナルティがある』タイプのため、成功しても面白くない。
    • 特に宝箱は長くプレイするなら相当な回数触れることになり、単調で面白みのないQTE(宝箱のものはリズムゲーム風)はストレスになりがち。

良くも悪くも『Wizardry』。

  • チュートリアルはあるものの、そもそものゲームデザインがソシャゲではなく完全に『Wizardry』。Wizardryとしての楽しさはしっかり再現されているが、ソシャゲとしての楽しさ(というか気軽さ・簡単さ)は皆無に近いため、ソシャゲを求めている人には全くと言っていいほど向いていない。
    • よくあるコンシューマーで人気のタイトルをガワだけ持ってきてソシャゲにしてファンにガッカリされる…といった類のものではなく、ファン向けにWizardryを基本無料でスマホで遊べるようにしたというのがしっくりくる。
  • 硬派なキャラデザインは世界観に合っているし個人的にも好みだが、2024年の課金ガチャの景品として魅力があるかと言われると…

その他の不満点。

  • レベルキャップの解放が非常に面倒。
    • レベルキャップの解放には試験を受ける必要がある。試験の内容は専用のダンジョンに赴き、ボスを倒すというもの。
    • パーティに編成され、尚且つボス撃破時に生き残っていたキャラクターがレベルキャップ解放の資格を得る。その資格を得たうえで、必要なアイテムを消費することでようやく解放される。
    • 試験を受けなくても資格代わりにできるアイテムも存在するが現状実用的な数の入手は不可能。
    • 新しく育成するたびに試験を受けるところからになるためかなり面倒。ボスの居場所は数か所からランダムで、それなりに難易度も高い。
  • UIは全体的に不便。無駄にタップ数が多くタップ位置もバラバラで指が忙しい。
    • 特に装備回りのUIはかなりタップ数が多く不便。せっかくのハクスラ要素に水を差してしまっている。
    • ステータス画面もキャラの3Dモデルが歩いてくる演出が毎回入るためか、画面の切り替えに時間がかかる。
    • 全体的に表示すべき情報が表示されていない画面が多い。
  • ダンジョン内での移動に関して画面スワイプで移動や向きの変更を行うが、画面両サイドに『向きを変えずに左右に移動』用のボタンが配置されているため暴発しがち。
    • この暴発で敵シンボルや罠に突っ込んでしまうとかなりストレス。
    • 1発で後ろを向く操作が無い。
  • ダンジョン探索の緊張感にやや欠ける。
    • 回数等の制限があるとはいえ短時間のうちに繰り返さない限りほぼ無制限に蘇生・コンテニューが出来てしまうため高難易度特有の緊張感はやや薄れている。
    • ロストも実質無し。ガチャで排出されたキャラがホイホイ消滅したらそれはそれで大問題なので仕方がないが…。
    • ハーケンの祠の設置場所も親切だし、気の利いたショートカットも用意されている。
  • ゲーム中の通信頻度が非常に多い。
    • おそらくはタスクキルでズルされないように逐一サーバーにデータ保存をしていると思われるが、それにしても頻度が異常。
    • 戦闘中の行動一つ一つにすら通信が入る。
    • 現在はほぼ直っているが、サービス開始直後の数日は頻度だけでなく通信時間が長すぎてまともに遊べなかった。
    • それ以外でも細かいバグは未だかなり多い。記事執筆後も大小さまざまなバグが発生しており、バグ修正を最優先するとして予定されていたイベントやガチャの更新が停止されている。幸い筆者は大きなバグに遭遇しなかったため、本記事はバグが無いものとして書いているが、いち早くバグ問題が解決し、イベント等ユーザーが楽しめる形になるよう祈っている。
  • このゲーム性でPC版が同時リリースされていない。

 

まとめ

基本無料のスマホゲームながらスタミナを廃し、コンシューマーのWizardryのようなプレイ感で遊ぶことができる力作。

キャラメイクや育成要素の一部がガチャ要素に併合されてしまっているのは残念だが、その点を除けばほぼほぼ無料で遊べるWizardryであり、ファンなら十二分に楽しむことができるのではないか。

ただしあくまでWizardry。基本無料のスマホゲームという括りの中で強烈に人を選ぶ。スキップだの放置育成だのと言ったよくあるソシャゲを求めている層にはまったく合わないため注意が必要だろう。

現状は課金要素の魅力に乏しく、長くセールスを維持できるかは少々不安だが、ゲームとしての楽しさはここ最近のスマホゲーム新作ラッシュの中では頭一つ抜けている。Wizardryや3DダンジョンRPGが好きな人はぜひ触ってみてほしい。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました