【iOS/PC】鳴潮 感想

鳴潮 タイトル画面 iOS
タイトル 鳴潮(めいちょう)
プレイした機種 iOS iPhone13/PC
メーカー KURO GAMES
満足度 暫定B(やや満足。条件付きでお勧めできる。)
要点
  • 原神系オープンワールドアクション
  • バトルの調整は良好で楽しめる
  • 探索周りは快適性高め
  • 地獄のような序盤のつまらなさと読ませる気のないテキスト
  • バトル以外あまりにも原神
  • 序盤さえ乗り越えれば良質
執筆日 2024年5月25日

 

はじめに

鳴潮 タイトル画面

iPhone13とPCで現状実装されているコンテンツまで一通りプレイ。

『パニシンググレイレイヴン(以下パニグレ)』を手掛けるKURO GAMESが新たに送り出したオープンワールドアクションゲーム。現状はスマートフォンとPCで展開されている。

  • 広大な世界を自由に冒険し、敵を倒したり素材を集めたり、仕掛けを解いて宝箱を手に入れたりといったオープンワールドの一般的な要素を一通り楽しむことができる。
  • 中には所謂ボス格の強敵も出現。パニグレ譲りのスタイリッシュなアクションで緊張感あるバトルを楽しむことができる。
  • メインストーリーはもちろん、特定のプレイヤブルキャラにスポットを当てたキャラクエストやちょっとしたサブクエストまで豊富なクエストも用意されている。
  • プレイヤブルキャラは基本的にガチャで入手。一部ストーリーやイベントで配布される者もいる。
  • 武器も基本はガチャ。原神をイメージすればわかりやすい。
  • 音骸と呼ばれる装備品のオプション能力を厳選する要素もある。これも原神の聖遺物。
  • その他ランダムなバフを選択して敵と連戦するコンテンツや、出撃回数制限のあるバトルコンテンツなどが用意されている。

少し触れたが、身も蓋もない言い方をすればガワとシナリオが変わっただけの原神のコピーゲーム。後述する細かい変化はあるもののプレイフィールは完全に原神。

  • 同社のパニグレも『崩壊3rd』に似たゲーム性だったので、そういうものなのだろう。
  • インターフェースもほぼそのまま。ガチャ画面やステータス画面など圧倒的既視感。
  • 本記事も、原神と比べてどうかという点を感想に盛り込んでいる。

 

良かった点

まずはこのゲームが原神ライク…もといコピーである点を踏まえて、原神から良くなっている点が挙げられる。

  • キャラグラフィックは2024年最新基準で美麗。頭身が高めであったりそもそものキャラデザに好みの問題はあるだろうが、キャラグラフィックそのものはしっかり作り込まれている。
  • 一部のシナリオはスキップ可能。原神では特にデイリー系などモブのどうでもいい話もスキップできないためこの点は大きな加点ポイント。
  • ダッシュでスタミナ消費無し、壁を走ることが可能、上や横への素早い移動ができるワイヤーアクション、2段ジャンプ、乗り物のような要素もありと、移動周りはかなり快適になっている。ただしマップ側がこの点を活かしきれていない節はある。
  • 宝箱の中身や鉱石が飛び散らない。ドロップ品は自動的に入手される。
  • 元素反応(原神の属性システム、火をつけたり凍らせたりする)が無いことにより、ギミック回りで特定の属性のキャラをパーティに編成しないといけない場面がなくなった。(銃キャラは必要になるが)
  • PC版は動作が非常に軽い。原神や崩壊スターレイルなどの同クラスのゲームと比較してPCへの負荷が明らかに軽い。

バトル周りは違いが多い。これらの変更は概ね良い方向に作用しており、バトルの楽しさは個人的に本作のほうが勝っている。

  • パーティ人数が4人→3人になっている。元素反応が無いことも併せてアタッカーが重視されやすいデザインになっている。
  • 元素反応が無いため原神のような『順番にボタン押すだけ』のアクション風コマンドバトルになっていない。
  • キャラチェンジのクールタイムが短く、気軽に交代できるためスキルクールタイム中の退屈さを感じにくい。
  • パリィと回避アクションが楽しい。パリィはほぼボタン連打でできるし回避も判定が緩いためガチガチの高難度アクションを求めていると物足りないかもしれないが、スマホアクションとしてはストレスになりにくく適度に爽快感があって良好。
  • 原神で言う聖遺物に当たる音骸は敵モンスターを模したものになっており、音骸スキルを発動するとモンスターに変身して攻撃することができる。これも個性的で楽しい。

総じて、後発のコピーゲームらしく『既存タイトルを遊びやすく調整した』という点でしっかりと水準を満たすものになっている。

ただし、後述の問題点により多くの人が遊びやすさを感じる前に脱落してしまいそうな危うさを孕んでしまっている。

 

不満点

テキストがあまりにも難解すぎる。読ませる気が全く感じられない文章が延々と垂れ流され、1ミリも内容を理解できないまま進行していくためシナリオのプレイ体験は最悪の一言。

  • まったく常用されない漢字や言い回しが多用され、そこに滝のように大量の造語も組み合わさりとにかく難解で人名や地名を認識するのも一苦労。
  • 小説の地の文をそのままセリフにしたようなシーンも目立つ。
  • 『今州』と『今汐』のような似たような言葉が多用されるのも難解さを高めている。
  • わざわざ造語にする必要のない言葉も無駄に造語にして難解さを高めている。
  • ゲーム内で造語を誤字している場面もある。
  • さらに記憶喪失で終始言いなりかつ行き当たりばったりで旅の目的が見えない主人公、『今はその時ではない』系の核心を語らない展開も完備。
  • この手のゲームはローカライズでこういう問題が発生しやすいが、どうやら中国版の原文でも難解らしい。
  • そもそもアクションゲームのテキストとしてあまりにも長すぎる。このゲームは『オープンワールドの探索』『スタイリッシュなアクションバトル』という楽しさの軸が他にあるため、シナリオのテキストはもっと短くしないとノイズになってしまう。具体的には1/3とか1/5くらいまで削っても問題ないだろう。
  • このため『オープンワールドの探索』『スタイリッシュなアクションバトル』がチュートリアルレベルの序盤はとにかくつまらない。
  • シナリオの内容そのものは王道で決してつまらないものではない。テキストが悪すぎる。
  • ある程度進行するとカタカナの名前のキャラが出てくるようになり、そこまで行ければ多少は楽しめるようになる。
  • 一応擁護ではないが原神も似たようなものではある。
  • 没入感が全くないため、オープンワールドゲームのシナリオとしては大失敗の部類だろう。

上記のシナリオもそうだが、面白さが出てくるのが遅すぎる。良い言い方をすればスルメゲーと言えなくもないが、あまりにも序盤が退屈すぎる。

  • 良かった点で挙げたような原神からの改善点は退屈極まる序盤を乗り越えないと見えてこない。
  • シナリオのランク制限がそこそこ高くたびたびストップされるのも、ただでさえ退屈な序盤のプレイ感をさらに悪化させている。
  • テキストがマシになってくるあたりで突然さまざまな要素が解禁される。バランスが悪い。

最大の問題として、このゲームならではの良さが無い点が挙げられる。良かった点はすべて『類似した既存作品と比較して良くなっている』というものである。

  • ガワの好みはあるだろうが、プレイフィールが原神そのものすぎる。
  • すでに原神をやった人がこのゲームに乗り換えるには固有の魅力が無さすぎる、新規に始めるには原神すぎる、原神と掛け持ちするには重すぎると、どの層を狙って売り出したいのか不明瞭。
  • 明らかに違うのが戦闘部分なので、戦闘をもっと純粋に楽しめるようやはりテキストは削るべきだろう。

また原神から変わらない、あるいはこのゲーム固有の難点もいくつかある。

  • 全体的にカメラワークが悪い。パリィやジャスト回避など敵をよく見て戦うことが重要なデザインなのでカメラワークの問題は大きい。
  • 周回の必要がある素材ボスの出現場所に直接マップジャンプできない。ワープポイントを設置するアイテムはあるがそもそも直接ワープさせない理由が無い。
  • シナリオのオート時に選択肢が表示されると止まってしまう。選択肢自体はまったく意味のないものであり、ただただオートを妨害するだけのものになってしまっている。
  • 選択肢が表示される際に操作不可のウエイトが無く、テキストを読み進める際に押した決定ボタンでそのまま選択肢を選んでしまう。
  • サブクエストまでいちいち長すぎる。無駄に長いのをボリュームとはき違えている傾向がある。
  • 多くの中国ゲームに見られる知育ミニゲームは本作にも登場。合わない人には合わないだろう。
  • キャラのレベル上限解放の際、原神は特定回数で恒常ガチャを引けるアイテムがもらえたが本作はもらえない。この点は別に良いのだが、インターフェースごと削除したせいでレベル上限解放に必要な素材の事前確認ができなくなってしまっている。
  • PC版の軽さに反して、iOS版は異常に重い。最適化不足か。
  • BGMがひたすら地味。同社のパニグレはBGMが非常に良かったのだが…
  • SEもやや地味というか全体的に軽い。

全体的に序盤さえ乗り越えられれば気にならなくなる不満が多い印象。とにかく序盤が最悪で、スマホゲームというのは序盤の掴みが重要なジャンルである。

 

まとめ

原神を遊びやすく改良し、バトル面に独自性を出した意欲作だが、その面白さはかなり奥に配置されておりたどり着くのに難儀する。

  • プレイフィールが原神そのものすぎる点と、地獄のような序盤の退屈さによりユーザーを篩にかけてしまっている。

序盤さえ乗り越えられれば楽しめる作品であり、特にバトル面は良くできている。運営側もこれを把握してか怒涛の配布でユーザーを繋ぎとめようとしているので、これから遊ぶ人はなんとか4幕まで我慢して遊んでみてほしい。

今後は序盤の惨状を乗り越えて続けてくれた人向けにどこまでシナリオを盛り返せるか、魅力的なキャラが出せるか(キャラを魅力的に見せられるか)、バトル面の楽しさを活かした展開が続けられるか、知育ミニゲーム集にならないか、後発らしく快適性を高めていけるか、といった点が問われるだろう。

 

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